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一兆年の夜 第六十三話 玉と石は混ざりて交じり(想)

 午後二時二十五分五十八秒。
 場所は不明。
 その四撃目は何と上から落下してきた何かに依って軌道を大きくずれ、ギッジェの右隣に直撃。横転して動けない彼を何とか元の体勢に戻した!
(今度は走馬灯が一つも見えぜいが……心の臓器が突然止まる程の恐怖を味わっぞ!)
 あれは小隊長パン堂--とギッジェの窮地を救った相手を見てそう口走ったサルート。
「イデデ……何だあの液体やわ!」パン堂は巨大蠍型の正面に立つと右前脚に持っていた雄略包丁の先端をそれに向ける。「それよりもでかい蠍型が出没するよの!」
 サルートと異なり、身体能力も持参する物も十分なパン堂は蠍型が攻撃態勢に入って直ぐに懐に飛び込んで頭部に一撃を加えた。パン堂の鍛え抜かれた筋力の前では東部の硬い部位も何の意味もなく、血を噴き出しながら尻尾をだらしなく降ろして絶命!
「一瞬っで……流石小隊長殿」
「これでもう雄略包丁は使い物に成らなく成ったやわ。ではよの、二名共……行こうかやわ」
 あ、ははあず--思考を現実に戻したギッジェはサルートに続くように彼の背中に回った。
(心の臓器を止めぜうに成った際にこんな考えが浮かぶ)
 パン堂を先頭に進む中で又してもギッジェは考えに囚われる。
(もしかしたらあの液体は一般生命かも知れぞ。それも僕達のように言葉を出せぞにこんな地中深くで暮らしてる。その考えが正しいのならばどうしてサッカス地方にあるカバオルの泉や北アンモ山にあるマレのニカ湯やザリスモといった物があずのか……あの粘液を良く調べる事で謎が解明せれるかも知れない)
「オッオイ、ギッジェ」
 うわあああああご--サルーイに突然声を掛けられて叫び声を上げながら我に戻るギッジェ。
「自分探しに夢中なのも頭脳労働者の良くない癖やわ」
「本当に何でも思っい付くな。俺には信っじられないな、どうしてそんなに思い付っくんだ?」
「その理屈だとお喋り好きに対ずて『どうしてそんなに話したい話題が浮かぶんだ』と言ってるようぞ物だがな」
 やっぱお前とは割が合っわん--とギッジェの返し方に少し苛立ったサルート。
「大人げないやわ。例え頭脳に優れなくともそうゆう時は……と言ってる場合じゃないやわ」

 午後三時十五分四十九秒。
 三名の前に現れたのは同じく巨大蠍型。しかも三体。これには身体能力に自信のあるパン堂も冷や汗をかかざる負えない。
「馬か鹿やわ、この状況よの?」
「奇跡は三度までと昔の生命は言ってました」
 珍しく意見を一致させぞな、サルーイ--と尚も口だけでも余裕で居たいギッジェ。
(逃げる足はもう通用しないだぞ。頭脳労働趣味な僕がやれるのは死ぬ前に走馬灯で閃いぜICイマジナリーセンチュリーについてもう一度しっかりとした考えを纏めないだ。纏めないぢ……纏まらないず!)
「どうやら死に際に誇っらしい考えが思い付かないらしいか、ギッジェ」
「俺も同じ意見やわ。誇らしい戦の術が思い浮かばないよの」
 三名共、この場を切り抜ける方法はない。だからこそ彼らの表情は険しい。険しい理由は皆同じ事。それが行き詰まり。行き詰まると誰もが考えを迷走させ、安易な方法で納得させようと試みる。無論、三名共安易な方法しか思い浮かばない。それが素晴らしい物だと信じる勇気もない。勇気がないと言う事は即ち、意気込みは今一つ。今一つという事は即ち、どうする事も出来ない。三名は最早死んだも同然の状態なのだ!
(近付く。近付け、近付こぞ、えっと……ああ、遠ざかっぞと何度思ったか!)
 ギッジェもそれを理解する生命。頭脳労働者故に二名よりも深く考えの迷走を理解する。いや、理解し過ぎて考えるのを辞めようかと考えていた……その時、三名の頭上にあの粘液が出没!
「んんんよの、この音……これやわ!」パン堂は誰よりも早く自らを引き摺り込んだ粘液を目撃。「お前達は何者よの!」
 蠍型三体はこれを好きな機会だと踏んで一斉に襲い掛かる……が、何とその粘液は頭上だけじゃない。何と複数の粘液は地上に居る蠍型三体の六本足に絡み付き、突進を止めた!
「馬か鹿ぞ。幾ら粘液でも鶏量の差で動きぞ止まらない筈……まさかこの粘液は何かの岩から放たれて弾力性があるぞいうのか!」
「よくわからんやわ、粘液が助け……ウワアアやわ、俺達にも絡み付きやがってよの!」
「まさかこのまま地上まで送っり返すのか!」
 やっぱりこの液体には命ぞ宿ってる--とギッジェは意識を失うまでにそう結論付けた。

 午後六時二分四秒。
 場所は新天神武テオディダクトス大陸オリゲネ地方。
(ウググ……ここぞ?)
 ギッジェだけじゃなく、引き摺り込まれた二名も雲に隠れそうな月を見て意識を回復してゆく。
「どうやら無事でするね」
「数名の命が旅立ちましたが、何とか包囲網を突破出来ました?」
「いやわ、山椒魚族の訛りじゃあわかり難いよの」
「それにりしてもんあんなざ事がざ起こるなんてに……テオディダクトス大陸はざまだまだざ神のん秘術がざ介在するが大陸だとん言えようぞん」
 と意識を取り戻した三名は何が起こったのかを生き残った彼らに尋ねる。すると三名は一斉に様々な質問を投げて真実かどうかを探りに掛かった。
「だから本当だよ? ギッジェがどうやって助かったのかもそれで説明がつくよ?」
「いやつかないかぞ!」
「本当に本当だとも!」
「それは聞いた事がなっい!」
「でするからそうるして僕達は助かりました」
「いやわ、そんな創作話の出来事を信じられるかやわ!」
 一体何が起こったのか? それはここで記すのは余りにも先を進み過ぎる事だらけ。故にここでは主人公を務めるギッジェに依る考察で全てを片付かせるしかない。
(とすると本当の出来事は僕達が突然の地盤沈下に巻き込まれど集団で襲い掛かっぢ銀河連合を纏めて倒しどな。それから僕達はテオディダクトスの地盤沈下の進行にで生き埋めにされ……そして生き埋めは多くの銀河連合だけじゃず制圧隊の殆どを巻き込んだ。そして戦闘が終わってみんなが救助班に成って……る途中で銀河連合の援軍が来て今に至っど)
 ギッジェはそうゆう考察で済ました。それだけに起こった出来事について夢を見出せない。見出せない故に何が起こったのかを現実視点で考察してゆく。
「どうだ、素晴らしい案は見っつかったか?」
「こんな案は如何づ?」
 ギッジェは夕食を口にしながら今思い付いた案を披露する……が、サルートは納得がいかない。
「それで納得すっると思うかよ!」
「仕方ない。じゃあこんど--」
「声が大きいよの。お前らはまだその事を引き摺ってるのやわ!」既に己で納得させたパン堂。「みんなの話で十分じゃないかやわ、それで十分じゃないやわ!」
 良いっんですか、あんな幻想塗っれな話を信じちゃって--とパン堂があっさり受け入れた事に呆れるサルートだった。
「実際にはザッタ総指揮もお認めに成られた事実やわ。でないと……現実に対応出来ないぞよの!」
「認めるしかないのかぞ」
 ギッジェは生涯掛けてもそれを認めようとしなかった。故に彼は就寝前にサルートにこんな話をしたとの事。

 午後十時零分二秒。
 場所はオリゲネ地方。サッカスとの距離は凡そ成人体型三千四十二。
 複数配置された中で南側にある仮設民家にてギッジェとサルートは話し合った。
「つまり幻想塗れの事実を打破っする為に敢えて幻想塗れの話を日記に記っすのか」
「そうで。僕は学者だからあんな事実は認めん!」
「わかった。俺もお前の学説を信っじる!」
 有難ぞ--そう感謝しながらサルートの後を追うように就寝するギッジェ。
『--これはまだ創作話の中間地点に過ぎない。このように僕達は幻想塗れの話よりも
現実に即した話を信じる事にした。それがこの日記を創作塗れにした理由。創作故にそこ
には真実という物はほぼ少ない。シンジツじみた話なら確かに記してはいるが、その殆ど
が僕の創作。
 なので粘液の生命が実在する筈もない。あれは僕の造りし創作生命なのだから。創作
された種族故に実在しない。いや、実在してはいけない。幻想塗れの話を信じないように
僕も又、創作で何とかするしかない。
 もう一度記す。これはまだ中間地点に過ぎない』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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