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一兆年の夜 第六十三話 玉と石は混ざりて交じり(急)

 午前九時二分六秒。
 場所はオリゲネ地方。
(ここが石の森を突破しど先なのか。辺り一帯は何もなづ。森一つあっづも良い筈だろ? なのにここにざ--)
「また考え中かやわ、ギッジェよの?」
「頭脳労働者は考えての物ですだ。その為に僕はテオディダクトス大陸に来たんでぜよ」
「そうっだけど、だけどもギッジェだって戦う場面は訪れますよ。望遠刀なり鋭棒なり用意しってくれるか?」
「鋭棒は無理どけど、石包丁くらいなら持じる」
 益々安心出来ないやわ--と小隊長日暮パン堂は益々ギッジェが戦力の外である事を思い知らされる。
「仕方なっだろ。碌に筋肉鍛錬してこなかったんだからこれしか持っつない。仮に持った所で武器を持て余しとしまうのが目に見える」
「それでもん最低限はざ他のん武器もん使いこなさないとん役にり立たないかざらざ」
 オオ、あんたが来ぢいたのか--とギッジェが驚くのは齢十九にして七の月と六日目に成るルケラオス蜊蛄族の少年ザッタ・ガニーダが来た事。
「ザッタ総指揮自ら来られますよの」
「ザットネルがざ重傷してアンモ村までにわざわざ運び終えたからなざ。診断のん結果がざ良好でに良かった……じゃなくてにザットネルのん分まざでに俺はざ石の森のん先にりあるが何かをん知りたいんだざよん! それがざ先代ザリオやざ去年亡くなった父さんとん母さん、そして時をん越えてまざでに俺達のん為にりテオディダクトスのん謎にり挑戦したカバオラさんのん為だざよん!」
「いよっと! 流石はザッタの坊っや!」
 坊やはざ余計ですが、サルートさん--とザッタは一命前でない事を余り好まない様子。
「いや、確かに言う通りぢ」
「ギッジェさんまでに何をん--」
「いや、そっちじゃない。ザッタは十分一命前なので未だに父や母の功績を口々にすづのは少々頭が回らど証拠じゃだか?」
「確かにその通りですよの、それでもザッタ総指揮はやはり認められるまでには若過ぎるやわ。彼がこれから経験を積んで--」
「た、た、大変だよ?」小隊長パン堂に報告するのは齢三十三にして四の月と三十日目に成るルケラオス山椒魚族の中年ショウウン・オウルン。「銀河連合が包囲するように現れました?」
「いやわ、その訛りじゃあ緊張感が薄れるよの! それでどれだけの数で押し寄せるやわ!」
「数えてみましたら、ええっと……五百五十六でする」と報告するのは齢二十にして十の月と二十九日目に成るエピクロ蝶族の青年アゲル・ハチョウ。「更に囲い込んでまするのでこちらに利がありません」
「そんな数でに来られたらざ……銀河連合はざ石の森をんいともん簡単にり奪還出来てしまうが!」
「でも石の森に退却しぢら間違いなく森攻めならず石攻めで押し潰されぞのが目に見える!」
「まだ頭でっかちな計算で言ってくっれるよなあ、学者風情が!」
 頭でっかちで何が良くなどか--とギッジェは学者らしくない感情的な文句を口にしてしまう。
(如何なあ。僕とした事が感情的に成どてさあ)
 とギッジェは言ってから直ぐに怒りで一杯な状態から正常な状態に戻そうと頭の中を考えを巡らしに掛かる。
(そ、そうず。ここは素数を数えぞ。確か素数学者のメエズム・メヒイストは貸借大将宇宙論研究の為に素数を数え始めずな。えっと一、三、五、七--)
 コラ、数えってる場合かあ--と既に戦闘状態に入ったのに状況を読まずに己の頭の中を正常にしようとするギッジェが数を数えてる事に気付いたサルートは左前脚で彼の尻尾を掴んでから雄略包丁を振り回しながら迫りくる銀河連合達を振り払ってゆく!
「ってウワアアアあ、銀河連合が来ぜええど!」
「今頃悲鳴を上っげるな! その石包丁を振っり回しながら抵抗しろ!」
「でも僕の紙資料が--」
「うわっ……この野郎!」とサルートは己よりも巨体の銀河連合に力で押されつつもギッジェを守り通す。「また書っけば良いから今は頑張って頭の中にさっきまでやってたのを叩き込っんでから……うっお!」
 こど野郎こで野郎--言われるがままに頭脳労働者ギッジェは石包丁を右鋏に持ちながら振り回した。
(今度は頭の中が恐怖づそれから痛い思いど一杯だあああ! 死ぬ死に死な死ね死のぞおおおお!)
 頭の中で蠍族独特の棘のある訛りが機能不全に陥る事を理解する。その上で彼は頭脳だけ働かせても生きる上で大事な動かし方を身体に叩き込まないのでは何の意味もない事を理解してゆく。万が一の時にこそ頭脳だけでは生き残れない。だからこそ生命が生きる上で最初に必要なのは心、次に肉体、その次にようやく頭脳が来る。それは武の世界では常識であり、心技体の順番は正に身体技で示される。ギッジェはそれを今に成って理解し出す。
(頭脳訓練ばかりしづ来たからそれだけで体の動かし方を理解しだる振りもしてたんだい。己ながらに情けない)
 そう考えながらも石包丁を振り回して銀河連合を寄せ付けないよう試みる。だが、銀河連合は全生命体とは大きく異なる。故にギッジェの力がないと気付くとすかさず集まり出す。サルートは早めに彼を守ろうと動き回るが、彼に寄越されたのは犀型……当然、突進を防ぐ為に全神経を己に集中せざる負えない。そうすると銀河連合共は自然に振り回してるだけで死なせる意思がないギッジェに向けて集まる。ギッジェもまた既に気付いていた。だが、己の身体能力では包囲網を抜けらない事も計算に入れていた。なのでこうゆう考えに陥る。
(せめて一体どけでも道連れにして全生命体の希望としだ輝いてやるうう!)
 だが、ギッジェの願いは空しく銀河連合は五体纏めて襲い掛かった!
「ウワアアアあ、死なばああああ……って無理でああああ!」
 その時、ギッジェの視界は走馬灯が走る。それは膨大な恐怖が一気に押し寄せた時に起こる生命のに備わる安全装置。これに依り、彼は死ぬ間際にICイマジナリーセンチュリーは八百年を契機に計算方法を大きく変えて一年毎の流れを--
「--って全ての足に何か妙づ感触の液体が絡みつげウウウ!」
 ところが走馬灯は肝心な部分で中断。ギッジェを地中深くまで押し込んでいった!
『--何、本当じゃないって。冒頭を読んでないな。誰も全ての真実を記すとは書いて
ないだろ。こうゆう話を挟み込んでおく事でこのお話に幻想性を高める。それが僕の
物語だ。
 とはいえ、この時に銀河連合が僕に集中したのは正しい。あの時は走馬灯が走って
死ぬかと思った。そして助かったのは何事にも偶然あれが、いや何でもない。あれで
済ませないと良くない。そのまま書いたら本当に信じられないしな。いや、今でも
信じられない事が起こって僕は助かったんだ。
 この続きは次の通りだから心するのだよ!』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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