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一兆年の夜 第六十二話 天上天下唯我独尊(七)

 九月四十七日午前十時二分六秒。
 場所は北アンモ山北アンモ集落。
 その中にある最も大きな石の家にてカバオラ、クレッセ、そしてザリアンは朝食を終えて直ぐに今後の事について話し合う。ザレナスとケロッタが五十八名の子供の面倒を見る中でどうして今後の事について話し合うのか? それはこの大陸の謎が関係する。
「実はザリスモってのはもっと教えておかないといけない事があっタア」
「どうゆう事ですグバア、坊主グバア?」
「あれはここと同様に他の大陸の地面に植えても気が付くと木が生えて実に成るんダアヨ。ところがここだけは木が生えない代わりに地面から顔を出す果物にナアル」
「ああ、その話はざザレナスかざらざ聞きました」
「じゃあこれは一体どうゆう事グバア」
「それだけじゃないゾオ。前にお前達の救出作業の時に幾つかの発見もしてキタア」
 ザリアンから手渡しされたザリスモの皮を何とか紙にした物を鋏足渡しされたクレッセはザリスモ紙を爪でなぞりながら北アンモ集落より高い場所に洞窟らしき物がある事も知るし、更には北アンモ山より成人体型百ほど東に石の森らしき物がある事も記す。
「これはざどうゆう訳かざザレナスがざ勝手にり愛の洞窟とん名付けた奴さざ。子供達からざ隠れる事がざ出来る洞窟だよん」
「そこは俺が行った時はそこまで深く入れなかっタア」
「僕達もん同じです。何故ならざあのん洞窟にりはざ滝がざ流れてます。それもんかなり高温のん滝がざ」
 かなり高温グバア--テオディダクトス大陸を謎たらしめる更なる新事実にカバオラは驚きを隠せない。
「あ、どれくらい高温かは確かめてからのお楽しみダア。兎に角、そこに触れるのは溶岩に触れるのと同じダア」
 溶岩並みの温度グバア--それを聞いて少し心臓を高鳴らせるカバオラ。
「後はざ北アンモをん東にり進んだ所にりある石の森でにしたねに。残念ですけど、子育てとん今をん生きるのんでに精一杯故にり八のん年ものん間はざ遠足がざままざ成らない事をん告白しときます」
「そこに銀河連合は巣を作ってオオル」
 何グバア--カバオラだけじゃなく、ザリアンも驚く。
「そうか。じゃあ銀河連合はざこのん大陸をんほとんどん知らない訳かざ」
「正確には世界観補正に於ける法則に照らして掌握し切れていないと言えるダァロう」
 掌握し切れてない以上は銀河連合は自ら住処を作ってテオディダクトス大陸を掌握してゆくしかない。北アンモ山やカバオルの泉に出て来た銀河連合達はそれぞれ自らのモノにしようとたまたまそこに居合わせた一般生命達を已む無く襲っていた。正確には運が良かったので食べに掛かっていた。そう考えると彼らの行動に説明が付く、と三名は考える。
「まさかと思いますグバア、わしらであの二つをくまなく探索するのですグバア?」
「ああその通りダア。お互い時を越えた者同士であの高温多湿の滝の謎を調べに行くゾオ!」
「いえ、それはざ僕とんカバオラさんだけでにやります」
 何ィ--突然、ザリアンがそれを提案したので謝って咳き込みそうになったクレッセ。
「どうしてグバア! 君には家族がいるだろグバア!」
「居るからこそん僕はざ出来るだけにみんなをん巻き込みたくないんだざよん!」
 ザリアンは覚悟を決めた。それに対してカバオラは未だに迷う。
(もう一度時を越える気グバア、ザリアン君はグバア。だけどわしが彼の意志を止める資格なんてあるものかグバア)
 それからザリアンはザレナスや五十八名の子供達に向けて別れの言葉を交わしてゆく。特に妻のザレナスは猛反対する。だが、ザリアンは何時も以上の気迫でザレナスを口説き落とし、最後の抱擁を交わしてから九月四十八日午前七時零分四秒に出発した。
「行ってらっしゃい、貴方」
「行ってきます、ザレナス」
 一方のカバオラはクレッセとケロッタに向けて別れの言葉を交わしてから尻を向けた。
「またなッケロ、カバオラさんッケロ」
「さよならダア、おっさん」
「じゃあまたグバア」

 四十八日午前九時零分十八秒。
 場所は標高成人体型九十一。
 そこはザリアンの父ザリスが百獣型に襲われて果てる事に成った場所。ザリアンは突然、こんな事を口にする。
「何だかもう死ぬのんがざ恐くないよん」
「何を言い出すんグバア、ザリアン君グバア。死んでは良くないグバア! わしらはこの命を精一杯使ってでも生きなくちゃいけないグバア!」
 そうだけどん、何だかざここにり来るとん父さんのん声がざ聞こえて来たんでに--とザリスの声を聴いたと主張するザリアン。
 その時、ザリアンの尻尾に食らい付く何かが顔を見せる……銀河連合だ!
「ウワアアアアグバア、あれは百獣型グバア!」
「クソウ、お前がざ来たかざ! 離せ、離せ!」
「今助けるグバア!」
 カバオラは百獣型の頭を右前脚で踏みつけてザリアンを救出。対して百獣型はそのまま崖から転がり落ちた。
「助かった……けどグバア、崖からグバア?」
 まさか--ザリアンは崖の下にみんなが居ると思うと震え出す。
 その震えるザリアンを両前足で体を包むように落ち着かせるカバオラ。ここに来てカバオラはザリアンの本当の気持ちを理解する。
「何するんですかざ、カバオラさん」
「良くわかったグバア、ザリアン君グバア。君もわしと同じく迷っていたんだねグバア。でも覚悟を決めた以上は前を向くんグバア」
「で、でもん--」
「ザレナスちゃん達を信じろグバア! 百獣型一体くらい何とかするグバア!」
 あ……わかりました--と自力で震えを止めて覚悟を決めた時の目つきに成るザリアン。
 抱擁を少し交わしてから二名は離れ、愛の洞窟に向けて進んでゆく。
(わしらはもう迷わないグバア! いやグバア、迷っていたらこれから最後の時越えの時にみんなの前に格好良く出来ないグバア! そうだろグバア、クレッセの坊主グバア。そして兄さんグバア!)

 午後二時三分四秒。
 場所は標高成人体型百十一。
 愛の洞窟と呼ばれる洞窟にて二名は恐怖心と葛藤しながら中へと入った。
「只真っ直ぐが進んで下さい。大体僕のん歩く速度でに一のん時半くらいりにり高温のん滝にり着きます」
 暗いグバア、そして暖かいグバア--と高温の滝がある故にどの時期であろうとも温室である事を理解してゆくカバオラ。
 それから一の時と二十四の分より後にその高温の滝と呼ばれる滝の前まで着く二名。
(何て暑さグバア! まるで高温湯気に入った気分グバア。動き回ったら全身火傷してしまいそうなほど暑いグバア)
「それからざこの石をん……アツウウウ!」
 鋏越しにも感じ取られる超高音化した石を何とか投げたザリアン。するとその石は滝に触れただけで溶かされたように見えた。
「まるで溶岩グバア」
「本当はざ回り込んでも良いけどん、この暑さのんせいでに満足にり進めないんだざよん」
「時を越える前にわしらが溶かされてしまうグバア」
「そうだよねに。だからこんそん……ってにカバオラさん、後ろおおおん!」
 うわあああグバア--背後に居たのは先程とは別の百獣型!
 その百獣型に襲われたせいで二名は超高温の場所で走る事に。するとその湯気は突然白く輝き出し、火傷に苦しむ二名と一体を包み込んでしまった!
(またグバア! この光をわしは三度も浴びたグバア! これが最後の時の旅の始まりで--)
 それからカバオラとザリアンは百獣型と共に十の年より後の愛の洞窟の奥にある滝部屋へと跳躍してゆく……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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