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一兆年の夜 第六十二話 天上天下唯我独尊(三)

 午後四時二十四分五十秒。
 場所はサッカス地方西アンモ平野カバオルの泉。
 十六の年が経とうとも未だに残り続けるカバオルの名前。その石碑を見てカバオラは鼻水から先に出るほど号泣。河馬族だけに巨体故、船長のクレッセしか彼を受け止められる生命は居なかった。
「兄さあああああんんグバア、兄さああああんグバア!」
「こいつメエ、何て力ダア!」
「この石碑はざ……若干鋏のん欠片がざ混じってますねに。もしや父さんがざ鋏とんいうが状況下でに器用にり石でに削ってやったんでしょうかざ?」
「それをん立証する術がざないのんでにどうしようもんありません」
「はひょっとするとニカ土がさやってくれたんじゃないだろうなみ。あいつの鋏先はわしも認めるくらいに器用だしな」
「それにしてもここは熱いなあ」『グルルルル』が特徴的なのは齢三十四にして五の月と十八日目に成るエピクロ馬陸やすで族の中年旗本ヤス出亜。「お前達は水浴びかなんかしたらどうだ?」
「オオイ、おっさん! お前が喋ると何時も隊長整ってないように聞こえるから無理して喋らないでくレエイ!」
「馬陸訛りはあんまり認められないねえ」尚も『グルルルルル』と唸るヤス出亜は船と運命を共にしたヤス出巣の息子である。「ここで喋らないなら何処で喋ったら良いんだろうか?」
「兎に角、僕達はざここでにゆっくりしてにかざらざ……おやざ?」
「如何しグバア?」
「いえ、石碑のん下にり何かがざ--」
 その時、ザリアンの右鋏に何か緑色の液体が絡みつき、次の瞬間には地面を抉って彼を引き摺り込--
「ザリアン坊をやらせはしなあああいグバア!」
 間一髪でザリアンの尻尾を強く噛んで引き込みを阻む事に成功するカバオラ。彼に続いてクレッセもザリアンの左鋏を掴んだら二名は呼吸を合わせてザリアンを引っ張り上げた!
「イデデデ」幾ら掴んでも河馬族及び熊族の大きさは蜊蛄族からすれば皮膚を剥がす程に痛みを伴う。「もう少しでに筋繊維がざ断裂するかざとん思いましたざ!」
「御免グバア」
「いえ、とんでも……ってに--」
 ザリアンが緑の粘着性の高い液体の事を口にしようとした時、それはカバオラの右前脚に強く絡み付いて彼を地面に……いや、途中でザリアンが両鋏で彼の左後ろ足を掴んだが、質量差もあって巻き込まれてしまった!
「ザ、ザリアアアアアアン!」
「カバオラマアデ! 今直ぐ--」
「船長リィ! 穴が塞がっていきますリィ!」
 何だっテエ--仲間達は驚きながらも二名を助ける為に地面を掘り進めてゆく!
 だが、彼らの尽力も空しく掘り進めれば進むほどに泉に湧き出る水が勢いを増してゆき、とうとう断念した。
「ちょうど水脈とぶつかり、俺達はもうどうしようもない」
「えイモォ、何て言いましたリィ?」
「水脈層にぶつかっテエ救出が出来ない、とヤス出亜のおっさんが言っテエル」
「そんな! まだあの子にりお姉さんらしい事一つもんしてないのんよん! ねえに、本当じゃないってに言ってよん!」
「そうっだな。まだまだこんな所で諦っめきれない。滞在日を少し超っえてでもやり切るぞ!」
「ああ、そうダア。だが、調査も並行して行うから気合い入れてゆくのダゾオ!」
 滞在日数は一の月。本来ならば調査に費やす為に用意された日数。だが、カバオラとザリアンの為に調査に割く日数を大きく減らして救出作業に全てが費やされた。例え日数が大きく超えようとも彼らは仲間の救出に全力を注ぐ。だが、この大陸に来てから七十一日目にして断念。あらゆる手も足も羽も鋏も尽くしてとうとう断念。彼らは意が失う思いでザレス二号に乗船し、帰路へと向かうのであった。
 そう、彼らの調査は一転して救出作業に全てを費やした。だが、結果は二名の死を受け入れる形で頓挫。ここに来て彼らの物語はこうして始まる……それは長い長い時を経て。

 ICイマジナリーセンチュリー百九十年九月四十五日午後五時零分零秒。

 場所は新天神武テオディダクトス大陸サッカス地方西アンモ平野カバオルの泉。
 その周辺の地面が隆起。やがて円を描き、やがては破裂。そこからカバオラとザリアンは飛び出すように出て来た。しかも緑の液体の主である特殊蜘蛛型銀河連合と共に!
「うがあああ、ああっだざ!」
「ウワアアグバア、イデデデ……ここはグバア?」
「その前にりカバオラさん! あれはざ銀河連合です!」
「ウワアアアあグバア、銀河連合がグバア、銀河連合がグバア!」
 二名にとって初めてお目見えする相手は二名を地面の底に引き摺り込み、遥か明日のテオディダクトス大陸まで引き摺り込んだ張本物だった!
(戦えないグバア! わしが銀河連合と戦えるわけないグバア! ここはクレッセ達に……ってクレッセの坊主達は何処行ったあグバア!)
 二名は気付かない。ここが明日のテオディダクトス大陸である事に……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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