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一兆年の夜 第六十一話 前門の虎、後門の狼(六)

 三月四十一日午前十一時二分四十八秒。
 場所は西アンモ平野。
 後にここは立札を建てたザリスに依ってカバオルの泉と呼ばれる。その理由は次の通り。
(んん、右眼にり液体のんようなざ何かがざ飛び散って……え、え?)
 ザリスが目覚めて直ぐに振り返るとそこで目に飛び込んで来たのは……全身血だらけのカバオルが口を上に向けて絶命する瞬間だった!
「カ、カバオルさああああん!」
 ザリスの大声に反応してニカ土も起きる。彼も同様に絶叫! 何が起こったのかをザリスに問うたが、起き立てのザリスも何故こんな事に成ったのかわからない。既にカバオルは想念の海に旅立って訳を聞く事が不可能と成ってしまった。だが、彼の遺体から何か情報を引き出せないかとニカ土は提案。ザリスはそれに応じ、遺体を検死する事に。
「やっぱりそうかざ……口のん中にり虎型のん右前脚首がざ出て来た」
「はカバオルさんは僕達を守る為にさ誰よりも早く起きて……そして銀河連合にみ!」
「僕達はざカバオルさんにり敬意をん表しないとん!」
 ザリスはカバオルが生きた証として転がっていた石を積み上げ、削っていき、やがて石立て札として完成させる。その頃には既にカバオルの遺体も埋葬完了し、明くる日の昼に移っていた。
(僕達のん遺した痕跡はざ直ぐにり消えるだろうが。それでも何れここをん訪れる探検家達のん為にりもんカバオルさんがざ眠るこのん泉をんこうが名付けないとん僕達をん守ってくれたカバオルさんがざ報われない! そして、僕達はざ生き残った者達としてに延命されたこの命をん有効活用するんだ。それがざ死んでいった者達にり出来る恩返しさざ!)
 水だけで心許無い健康状態とはいえ、彼らは繋がった命を大切に燃やす為に到達点なき道を進んでゆく。

 三月四十三日午前八時六分十一秒。
 場所は北アンモ山。標高成人体型五十五。
 二名は昨日の内に湯の湧き出る場所を見つけ、少々温度の高い所で一夜を過ごす。そのせいで彼らは昨日よりも萎びた状態で起きる。
「は湯で眠るのをさ避けたけどみ、は湯気を浴びたらさ変わらないね……少々体調がみ」
「選んでやれない。それにりこのん山はざ先祖をん綴った自伝にりはざ書かれていない場所かざもん知れない」
「は体調の優れない日がさ続く中でどうかしたんじゃないのみ?」
「生意気な! 僕のん先祖ザリオはざ凄いんだぞん! その先祖にり憧れて僕はざテオディダクトス大陸をん調査する為にり志願したんだざ! お前はざ如何なんだざ!」
 は僕はその伝説を塗り替える為にさ来たんだよ……なのにこの有様かよみ--とニカ土は初めて弱気な己をザリスに見せた。
「お前はざ……そうなのかざ! 僕はざ浅はかだったざ! 僕はざザリオにり憧れるだけでにザリオをん越えようとんいうが気概がざなかったんだ! やっと理解したよん、ニカ土! 僕はざ……ええ?」
 確かにそれはニカ土の弱気の吐露である。だが、ザリスにとっては今まで自分に自信がない理由を見つける本音でもあった。ザリスはニカ土に感謝して両鋏で小さな彼を抱こうと試みた……が、それは湯に潜む河馬型に依って阻まれた!
「お前はざ……あの小さいニカ土のん肉体をん呑み込んだとんいうのんかざああ! しかも殻をん潰す音まざでに出して僕にり希望をん抱かせないなんてに! 許せるもんかざ! 折角ニカ土にり依って己自身のん答えをん得たのんにり……それをん噛み砕くなんてに!」
 既に冷静でいられないザリスは恵体で大きく離されてるにも拘らず、河馬型に突撃! だが、鋏すら届かせる事なく彼は丸呑み--
「させるかよ!」を阻む物部刃の一撃が河馬型の右眼を直撃。「助けに来たよ、ザリスの坊や」
 その声……マレイナ船長--振り返るとそこには左腕と右足を失い、傷口を石を詰める事で止血するどうしようもない状態の彼女の姿だった!
「その体でにこのん数のん日をん過ごしたんですかざ!」
「他のみんなは鯨型に食われ、何とかあたしは……眩暈が、どうやら今度こそあたしは最後かも知れない。最後に」マレイナは口で弦を引っ張り、更には右手で器用に物部刃の羽の部分を口に咥えさせてから強くそしてしなやかに放つ。「生き抜け、ザリス・ガニーダアアアア!」
 その刃は河馬型の左眼を貫き、そのまま脳へと達する……そう、河馬型を絶命させる程の一撃で!
「やったあああ! 流石はざ……船長?」
 ザリスはマレイナが仁王立ちしてる事に気付いた。もう二度とヘラルド家の誇り高き彼女を拝む事はない。彼女は想念の海に旅立ってしまった……
(僕はざまだざ生きてる。僕はざまだざ生きてるんだざ。何故なのかざはざこのん通りだざよん。僕はざみんなにり助けられる事でにやっとんザリス・ガニーダとしてに名をん残す為にり生きてる。僕はざやっとん決意したんだざ。何がざ何でにもん生き続ける。そうが決意したんだざ。でもそのん決意はざ結局延命措置でにしかないとん気付くのんはざ直ぐ先だよん!)

 三月四十三日午後六時七分四十一秒。
 場所は標高成人体型七十六。
 既に限界が訪れようとするザリス。そんな中で彼は荒廃した大地でひっそりと成長する果物を発見。それを口にした時、ザリスの体内で素晴らしい変化を齎す。
(スッパ美味しいイイ! こんなにり美味しい物をん食べた事がざない! 僕はざ生きてて良かったとんここでに初めて思ったよん! そうだ、これはこう名付けよう……ザリスモって!)
 先程ニカ土とマレイナの果てた場所にある湯をマレのニカ湯と名付けたように菴羅あんらの色に似た果物の事を己の名に因んでザリスモと名付けた。その味をザリスが記録に記す方法はない。だが、後にここを訪れた者達に依ってその味の詳細が語られる。それは青林檎と苺を両立させる超果物に分類される代物だった。
(僕はざこれをん腹一杯食わずにりはざいられない。こんなにり食べ物ってに美味しいもんだざなざ。どうして食事はざ神様にり感謝する物なざのんかざをんようやくがわかったぞん! ここでに初めて知る事がざ出来るってに僕はなんてに罪深い生命だざ!)
 満腹に成った時、彼は瞼を瞑って深い眠りに入った。
(次のん日がざ僕のん最後。僕のん最後とんはざ果たしてに何なのかざをん詳細にり語る。それは衝撃的でも何でもない。何処にりでにもんあるが悲劇にり衝撃をん求めるのんはざ君達もん銀河連合にり近しく成るのんとん同じだざよん。いやざ、僕達はざ少しずつでにはざあるがけどん銀河連合とん繋がろうとんしてるのんかざもん知れない)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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