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一兆年の夜 第六十一話 前門の虎、後門の狼(五)

 三月四十日午前十時二分六秒。
 場所は新天神武テオディダクトス大陸サッカス地方西アンモ平野。
 名前とは裏腹にそこには草葉一つもない大地。初めて到達したザリオ・ガニータは何時か緑溢れる大地に成る事を願ってこれを名付けた。口だけではなく、行動でもそれを示す。彼は西アンモ平野を訪れる度に挿し木を行う。だが、どれも上手く行った試しはない。その証拠にこの平野には枯れた枝が彼らの目に飛び込む。訪れる度にこの大地には植物が育つ保証がないのである。
(一応、種をん埋める作業もんしてる。それでにもん平野にり成る保障もんない。先祖ザリオがざ行うのんはざ広範囲にり緑のん元をん広める作業だからざねに。やっぱり原因はざ雨がざ降らない事がざ関係してるのんかざなざ? だとしたらざ神様にり頼むしりかざ道はざない)
 ザリスはテオディダクトス大陸に雨が少ない事も作物が育たない理由として挙げる。理由は植物も又、喉の渇きを癒さないといけない。植物も又、水分の潤ってない土を吸収しても栄養に変える事が出来ない。栄養とは水があってこそ果たせる。
「生憎おいらにはそれを植える為の持ち物は全て海に流されてしまったグバア。どうする事も出来ないグバア、これグバア」
「はそれ以前にさお腹が空いたよみ。は米も全部海の栄養源にさ成ってしまったみ」
「仕方ない。僕達はざ水をん求めて何もん口にりせずが進むしかない」
 ザリス達は記録に残す代物は一つもない。だが、生きている限りは何れ記録は残せると信じる。故に彼らは進む。例えその先に到達点が無くとも進む以外に道はない。
(初めてここをん訪れた感想としてにはざこうが考える。ここはざ我々生命もんそれからざ我々のん課題でにある銀河連合もん受け付けない中間のん大陸だざとん。その理由はざ次のん通り。先ずはざプロタゴラス大陸とんいうが雨がざ少ない砂漠地帯のん多い所やざアリスティッポス大陸のんようなざ元々大陸にり氷でに敷地面積をん広げたようなざ特殊なざ環境をん除けばざ先祖ザリオのん頃からざ植えられる挿し木はざ他のん大陸でにはざ通用する方法。なのにりそれがざ叶わない。雨がざ原因? 大地がざ枯れ果ててるのんがざ原因? いやざ、それ以上にり重要なざ何かがざある。そこはざ世界観補正とん呼ばれる現代技術ではざ説明のんつかない原理がざ働いてるせいりだろう。まあ憶測でにそれをん証明するのんはざ学者としてに格にり相応しくないんだけどん)

 午後十時二分六秒。
 三名は両生種族故にやはり水を欲する。幾ら陸と海の両方を熟せても片方に比重が圧し掛かるのは健康上宜しくない。空腹も理由でもあるが、それ以上に特性が原因で三名共目が虚ろに成り、足もふらつき、更には何度も止まるのが確認される。
(このまま想念のん海にり旅立つのんかざ? わかっていたさざ、僕達はざ。船をん一隻沈み、更にりはざ食糧一つない状態でに何もん希望をん見出せる筈もんない。こうして生き残ってる方がざ僕達としてにはざ奇跡だろうなざ。他のんみんなはざ死んだ筈。マレイナ船長もんケロットもん井本とんかざ言う副船長もん旗本さんもんサルマさんもんザリノスさんもんそれとん他のんみんなもん……もうが僕達もんみんなのん所にり向かわないとん--)
 はあさみ、はあれをさ見てよみ--ニカ土は両眼を大きく伸ばして左鋏を突き出す。
 二名は虚ろな瞳でニカ土が示す方角を見つめる。最初こそ只の幻楼だと思っていた光景。それがやがて幻楼ではない事に気付く毎に瞳は大きく開いてゆく。そして、二名は狂ったように叫んだ!
 ヒャッホオオオオウ--それぞれの訛りを残しながらザリスとカバオルの二名は叫びながら走っていく!
 二名を追い掛けるようにニカ土も左横走りで追い掛ける! 速度こそ二名に比べておぼつかないが、それでも見失うほど遅い訳ではない。
(それはざこのん大陸にり唯一あるが泉。僕達はざ生きてる事をんまたざ感謝する。それこそ神様がざ与えて下さった僕達へにのん機会! 僕達がざ生き残る為にり用意した機会! 僕達はざ其処にり辿り着いてに腹一杯水をん溜める! 一杯水浴びする! そして泉のん中でに一杯熟睡する! それをん目指して僕達はざ走ってゆく!)
 他の二名もザリス同様にそう考える。既に守りに入る程の余裕はない。攻めに入る以外に打開策はない。その考えで一杯だった。
 やがて泉に辿り着くとそれを無言実行。一時に幸せを満喫して日を過ごした……
(それはざ神様がざ与えて下さった一つのん幸運でにしかない。僕達はざ朽ち果てる運命にり少しだけに延命をん与えてるにり過ぎない事をん次のん日でに思い知らされる)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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