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一兆年の夜 第六十一話 前門の虎、後門の狼(三)

 三月三十八日午前五時七分四秒。
 見張りをしていたケロットは直ぐ様、皆を起こしに駆け付ける! 彼は蛙族らしく跳ねて進むが、この時だけは成人体型六十六を十秒台で走り切るのと同じ速さで駆け抜ける。しかも一回も滑る事なく的確且つ無駄のない跳躍をして!
 船員八名を起こすのに成功したケロットはそのままザリスが眠る部屋まで直行。扉を開ける音が激しい為にそのままザリスは目覚める。
「な、何だああ!」
「こっちが何だッケロ! それよりも緊急事態だッケロ!」
 待て、先ずはざ水夫服にり着替えてかざらざ操舵室にり向かう--と全裸で向かうという事をしないのは全生命共通の恥の精神である。
「だろうなッケロ。お前は最近、殻越しにもお腹が出てるからなッケロ」
「運動がざ成ってないってに言いたいのんかざ!」
 そんな事よりも先ずは目先の危険を取り除く事だッケロ--とケロットは急かす。
(目先のん事? まさかざ銀河連合のん事かざ?)
 何故そのような考えなのか? それは五感で瞬間的に捉えた情報を基にザリスは銀河連合に依る襲撃だと判断。その判断の根拠は次の通り。
 先ずは船の老朽化に依って今にも沈みそうという考えは有り得ない。何故なら船が老朽化で沈むのなら早い時期から全会一致で港に戻る。だが、そんな事は考えられない。確かに至る所に樹脂で埋めてもう目付せない隙間が目立つ物のそれらはあくまで内側に集中し、外側でそうゆう事態が起こったという話は聞かない。それならば外で見張りをしていたケロットが真っ先に口にする。依って老朽化で沈むという考えは違う。
 次に嵐が発生して船が沈む危機に立たされるという考え……こちらも有り得ない。何故ならそれが本当であればザリスは起きて直ぐに轟音を聞く。だが、それらしいことを二名は口にしない。それだけではない。もしも荒らしであったならば幾ら迅速且つ正確に跳躍出来るケロットも荒らしに依る船の揺れで躓く恐れがある。が、彼は速度を下げる事なくザリスを含む九名を起こした。依って嵐が発生して船が沈む危機は有り得ない。
 そう成ると消去法で銀河連合の襲来という考えに至る。
(まあざこれもん僕のん賢しい結論だからなざ。今はざ操舵室にり入ってどうゆうが状況なのかざをん知らないとんいけないなざ)
 と長文はここまでにして次の場面に移る。

 午前五時八分一秒。
 場所は操舵室。操舵室は展望台と三つの見張り場のほぼ中央にある。
 そう、この船では海洋種族による運転を用いずに風を帆に受けて更には水歯車と呼ばれる特殊な運転装置により、海洋種族が牽引するよりも速くそして快適に進む事を可能にした。だが、海洋種族を用いない事に問題がない訳ではない。あるとすれば各種水歯車に流す海水を秒刻みに監視しないといけない事。その為に歯車室では日に三回は海水魚類海洋種族達で休まず見張り続けないといけない。故に未だに船は海洋種族無しでは動かす事もまま成らない。
 おお、来たか--とこの船で唯一の人族であるマレイナは二名に声を掛ける。
「お早う御座います、船長それにり副船長」
「オオイモォ、お早うリィ。大方お前は銀河連合の襲来を考えてたんだろイモォ、正解リィ」
「大変な事に成ったぞ」やはり馬陸族らしく話す度に騒々しい訛り。「何と鯨型だ、しかも大きい!」
 何て話したんだッケロ--とザリスに尋ねるケロット。
「鯨型でりしかもん前代未聞のん巨大なざ形だってに」
「馬陸はみんな余計な轟音が遮ってまともに聞き取れないッケロ」
「お前らはざ呑気にりしてる場合かざ! これはざ一大事だざぞん!」と老年ザリノスは呑気な二名を注意する。「だからここはざ覚悟をんしろよん!」
「ハハ! それでに具体的にりはざどのようにり対処しますかざ?」
 それは正面から渡り合わずに奴の背後を付くという戦法さ--と船長マレイナは作戦を口にする。
「ですがイモォ、鯨型は後十一の分の内に……何イモォ、潜ったぞリィ!」
「あいつっめ……やはり銀河連合で間違っいない!」今日も操舵を務めるサルマは無言で舵を左に回す。「確っか船長……左側は航路上っでは大きく回る潮の流っれでしたね」
「お日様の位置は見えん。でもあの雲は昨日とほぼ形は変わらない。、それと風向き……ああ、正しいぞ!」
「え、今のでわかるッケロ?」
「例えお日様がざ見えなくとんもん昨日見た雲のん形、高さ、それとん大体のん動きをん予測しり、更にりはざ風向きをん覚えていたらざ大体のん方角はざ読める。何せに僕のん先祖がざ発見した方法だからなざ!」
「だからって子孫まで優秀であるとは限らないリィ」
 一言多いってに--とザリスはやはり井本と馬乗りが合わない様子。
 さて、老朽化の進む船で何処まで鯨型に食い下がるのか? 否、食い下がるのではない。船長マレイナは既に望遠刀と籠一杯に物部刃を入れて戦闘準備に入った後だった。
「競争しておけよ、サルマ。あいつは……何」尚、マレイナは帆の様子を見張る複数名の声を聞き取りながらサルマに的確な指示を出してゆく。「風向きが逆方向に向かいつつある……何時でも脱出出来るよう歩調を合わせろよ」
「了解しっました、船長」
 サルマは操舵に集中し、井本は戦闘態勢に入ったマレイナに変わって指示を送る。それからケロットは引き続き船の見張りをして逐一報告してゆく。それから他の面々はそれぞれの持ち場へと向かう。ではザリスはどうするのか?
(腹はざ減ってはざ戦がざ出来ないとんいうが諺通りにり……僕はざ食事をん作って来る!)
 今日も雑用及び皿洗い係である以上はせめて食事だけは戦ってる者達に運ぶべきだと判断して中へ進んでゆく。
(僕のんこのん判断はざこれからざのん僕のん運命をん左右する。何れはざ死ぬでにあろうが僕のん人生のん中でに僕にり依り意味のんあるが生き方をん示すようにり……)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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