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一兆年の夜 第六十一話 前門の虎、後門の狼(二)

 午後七時五十一分四十三秒。
 食堂にて。
 ザリスは少ない洗浄用水を使用して全ての皿と肉叉と匙命数分、それと使い捨て飲み物入れ数点を洗い終えた。
(ルケラオスやざエピクロでに買って来た入れ物をん持ち込むのはざ勘弁願いたい物だざ。余計にり洗い物がざ増えて益々大変にり成る。でにもんこれでに僕はざ担当された事のん全てをん終えて部屋にり帰れるぞん!)
 そう息巻いてる所に齢三十六にして一の月と一日目に成るエピクロ馬陸やすで族の老年旗本ヤス出巣が正面扉より器用に開けて入って来た。
「よお、ザリスや」因みに馬陸族の訛りは会話をする度に『グルルルル』という唸り声を出す模様。「はあはあ、実は明日お前がやる操舵の件なんだけど……俺に任せてくれないか?」
 ウグググ……旗本さん、そのん訛りはざ何時もん慣れないんですけにどん--どうやら馬陸族の訛りは合わない生命にとっては調子を狂わす代物であるとの事。
 さて、満足な会話をするのは難しいらしく二名は要件を語り合う場面で何と十四の分も掛かったとの事。その為、会話文は大幅に割いて具体的な内容だけを次のように記す。
 それに依ると整備長を務める旗本は一の日中船の機関部を確認した。するとそこで判明したのは至る所で隙間が出来ており、もしも明日の操舵が初めて手に取るザリスでは難破する恐れがある。そこで旗本は引き続き昨日と同じく雑用係を頼ませて昨日と同じく操舵を齢三十四にして五の月と二日目に成るエピクロ猿族のサルマ・シルザに担当して貰う事にした。
 ようやく皿洗いという細かい作業から解放されると思っていたザリスは明くる日も又、皿洗いをやる羽目に成った。それについては仕方ない考えもある一方で得意でない事を引き続きやらされるという苦労をまた背負い込む事に。
(はあ、それもんこれもんこの船がざ古いせいだざ。もうがそろそろん引退がざ近いなざ。隙間をん埋める為のん樹脂はざ足りないしり、かざとん言って木のん板をん使うのんはざ大事なざ森林資源のん余分なざ使用だしり……はあざ、やっぱり皿洗いをんまたざしなくちゃいけないなんてに辛い)
 そう思ってザリスは部屋へと戻ってゆく。その道中にて同じく蜊蛄族である齢四十一にして二十二日目に成るルケラオス出身の老年ザリノス・ガリノダは声を掛ける。
「よおん、若造」
「何だざ、今でにもん夢をん追っかけるザリノスさんかざ」
「冷たいなざ。何時かざらざ生命はざそこまざでに同胞にり冷たく当たるようにり成ったかざ」
「何の用ですか? これかざらざ先祖ザリオのん自伝をん読みにり部屋へにとん戻るんだざよん」
「私はざ占い師でにもんあるんだ。代々のんガリノダ家のん風習としてに占いをん嗜んでるんだ。聞けよん、一回くらいはざ」
 まざたざそれですかざ--と今時の若い者としてザリスはザリノスの占いを避ける行動に出る。
「いやざ、重要だざ。聞けよん、ザリス。これかざらざ私達がざ進む道はざ--」
 だが、ザリスはそれを無視して自室まで走っていった。
「昨のん日かざらざ天気はざ曇り、今日もん曇り。ならば次は雨。だとしたらざどっちみちりこんの船はざ沈むしかない。余りにりもん年寄り過ぎたんだよん……私一名なざらざ良いのんにりここにりはざ若い衆もん居る。安全だざとん約束された航路はざ果たして……いやざ、止めとこう。聞かれない占いでに一名事をん呟いてもん意味ないなざ」
 そう完結してザリノスは明くる日の月曜に担当された後方監視に向けて自室に戻って占い師に六本足を進める。

 午後九時五十八分四十一秒。
 ザリスの自室にて。
 彼はそろそろ就寝時間が来ると判断して新天神武で流行りの螺子巻き時計機で確認する。
「あ、これ時刻がざ七のん時かざらざずっとん進んでない。ええ、どどうしようかざなざ? でにもんもんうがいいやざ! 僕のん感覚でにはざここがざ就寝時間だざ。寝るぞん!」
 ザリスは綺麗な淡水入り容器に入って目を閉じてゆく。それから家族の事を思いながら彼は眠りに就いた。
(ああ、ザリーネはざちゃんとん子をん産んでるかざなざ? 卵のん色がざ良くないとん生まれてくる子供達がざ健やかにり成長しないしりなざ。それにり淡水はざちゃんとん綺麗にりしてるかざなざ? あいつはざ少々加減がざ宜しくない所もんある……でもsどこがざ僕のん惚れた部分でにもんある、し、ぃ)
 さて、螺子巻き時計機とは何か? それは丸い形をしている。丸い中には短い針と長い針が取り付けられていて、更にはそれらの針が刺す部分にそれぞれ一から十二までアマテラス文字で示された数字が示される。尚且つ立て掛けが可能なように底部は面積の広い風に仕上がってる。それが螺子巻き時計機の特徴ではない。特徴としては背面の中央に蝶々族の片羽のような物が取り付けられており、それを右回りに回すと自動的に長い針が回る。尚、長い針が一周すると短い針は三十度周るように成る。そうして新天神武で流行し、一躍体内時計の調節の立役者に成る。
 但し、この時計機には弱点がある。それが蝶々族の片羽のような物で回すのは良いが、最大まで回しても一の時しか動かない。故に一の時毎に最大まで回し直さないと大きく時間が狂う事に成る。故にこの時代では更なる時計機の開発が急がれる。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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