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一兆年の夜 第六十一話 前門の虎、後門の狼(一)

 ICイマジナリーセンチュリー百八十四年三月三十七日午前七時六分四秒。

 場所はルケラオス大陸の向こう側成人体型百の距離。
 とある船の一室にて。
「……きて!」
(いやだね、全身がざ激しい痛みにり襲われてもうそんな命令もん受け付かないってにいうのんにり!)
「……起きて!」
(まだ気付かないのんかざ! こんな状況下でに食べられて全身のん機能がざ一辺にり飛ばされた状態でに全てのん足をん動かせる訳がざ--)
「起きろって言ってるでしょ!」
 齢二十三にして八の月と十八日目に成るルケラオス蜊蛄族の青年は容器成人体型二まで一杯に入った汚れた淡水から放り出された。
「いでえ……木のん板にり当たって……あ、六本足もん触手もんそれからざ二本鋏もん大丈夫みたいだ」
「何やってるのよ」彼を起こしたのは齢二十七にして四の月と八日目に成るストテレス人族の女性。「全くこの船の船長を務めるあたしが水から起こさないといけないのはどうかしてるわ」
「確かにりどうかしてる、そのん格好」
 あら、大事な部分は露出してないわ--どうやらどの種族も露出して良い部分を把握してる模様。
 尚、露出が多いとされる人族の女性の名前はマレイナ・ヘラルド。ルケラオスで立派な豪商として有名なある人族と婚約の予定。何も彼女が恋愛を以て婚約者を選んでる訳ではない。一族の方針である。その方針を尊重して彼女はこの旅が終わったら婚約者と結ばれるとの事。
「そうかざ、その為にりもん僕達はざあの大陸をん少しでにもん僕達生命がざ住みやすいようにりしないとんいけないねに」
「問題は銀河連合……そしてザリスの先祖が命懸けで発見した航路で大丈夫なのか、よ」
 大丈夫大丈夫ッケロ--青年ザリスの部屋に入るのは齢二十二にして四の月と四日目に成るルケラオス蛙族の青年。
 彼は飛び跳ねながらザリスの正面まで近付く。何をしたいのか……いきなり青年はザリスの両鋏の首を持って後ろのメリに倒してきた。何故か? それは両生相撲を懸ける為である。
「意がざ十分でにはざない時にり掛けるなよ!」
「ハハハッケロ、まだまだ修行が足らんなあッケロ」
「コラ、遊ばない」
 へいへいッケロ--と青年は反省の色がない。
 蛙族の青年の名前はケロット・ジネンダ。蛙族の中で比較的身体能力の高いジネンダ家の生まれ。彼は一族の中でも上から数えた方が早い程に良く動き、良く訓練する。それだけ肉体が引き締まる。
「イデデ……参った参った。だからざ起こしてくれ。蜊蛄はざ自力でにはざ起きられない」
 へいへいッケロ--と生命良しでもあるケロット青年はザリスを起こす。
「遊びは終わったな。じゃあ早速見張りを--」
「え、今日はざ何曜日でにしたかざ?」
 あ--彼女は今日が日曜だと気付いた。
「じゃあ食器洗いとか船内の掃除だけに留まるなあッケロ」
「ウググ、日曜なら仕方ない。けれどもサボるなよ、ザリス。まだまだ到着まで後二の日より先は掛かるからな」
「わかりました」
 三名は部屋を後にした。

 午前九時十五分四秒。
 場所は食堂。
 今日の見張り三名以外は朝食を済ませた。ザリスはその食器を洗う為に船一杯に積んである水の内の使っても問題の無い洗浄用の水を取り出すべく副船長を務める齢二十九にして九の月と十六日目に成るエピクロ井守族の青年井本モリに尋ねる。
「お前は使い過ぎるからなリィ。だからイモゥ、俺が付いて行ってやるから有難く思えよリィ」
「ところでに今日どれくらいのん食器かざ知ってる?」
「ああイモゥ、そうだねリィ」と若干目立つ汗を出す井本。「だからってお前に平気で貴重な水を大放出させる訳にもいかんリィ!」
 ザリスと井本は食堂の直ぐ下にある貯水室まで梯子を使って降りてゆく。但し、梯子は木で出来ており、尚且つ三十年ものなので梯子を使う前に井本は一言こう忠告した。
「うっかり切断するなよリィ!」
 全くこれだからざ副船長にり頼むのんはざ疲れるんだよ--とどうやら二名の関係はそれほど上手く行ってない模様。
 降りるのに一の分も掛からない。少々、蜊蛄族の鋏でうっかり傷の一つを付ける所だったと明記しておこう。
「お腹の傷は今でも響くんだよリィ。お前のせいだリィ。お前がなあイモォ、お前が--」
 ああざ、五月蠅い--と小言を我慢するほどザリスは大人しくなかった様子。
 さて、肝心の貯水室はどう成るのか? 保存を良くする為に蝋燭で辺りを照らす。一の日中照らすと気温が僅かに上昇する為にそれが原因であちこちに支障をきたす恐れもある。保存する水も同様である。故に貯水室では部屋を出る際は必ず、密閉させると同時に火事が起こらないよう最大限の注意を払って閉じると同時に中で蝋燭の灯を消す。効果はあるかどうかは不明だが、一般にはこれに依って水の保存が良くなると現在まで船乗りから信仰される方法。それじゃあ保存状態について次から見て行こう。
(何十のん年もん使って来た船だざけにあってやっぱりり隙間はざ何処かにり出来るんだなざ。何回樹脂でに隙間をん埋めてもんそのん度にり傷口がざ広がってゆくんじゃあざ何れはざ……考えてもん始まらないかざ)
「どれどれ……うんイモゥ、飲める程度には使えるぞリィ」
 ってかざ洗い物用をん試飲するなよん--とザリスは井本の行いを注意する。
「だがイモゥ、お前の疑問は間違ってないリィ」
「何のん話だざ?」
「隙間だろイモゥ、さっき考えてたのはリィ」
 心読むなざ--と井本の意外な勘の良さに毎度一本取られた気分に成るザリス。
「何イモゥ、この旅が終わったら新しいのに変えるってルケラオス市長は仰ったぞリィ」
「オイオイり、楽観過ぎるだろうがざ」
「馬か鹿かリィ! 楽観だからこそ意志で行動出来るだろうがリィ! 悲観的なのは健康に良くないってリィ!」
 それなら良いけどん--と返す言葉を考えるのを止めたザリスであった。
(この時僕達はざ気付く事なかった……永遠にりそれがざ果たせない事ばかりでにあるのんをん)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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