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一兆年の夜 第六十話 犬猿の仲(五)

 午後零時十一分四秒。
 場所は変化川。その中間地点。
 チーチェンジェは今、齢二十八にして十の月と十三日目に成る初出場のクレイトス蝙蝠族の青年コモンド・リックマンと激しい走り合いを繰り広げる。しかもコモンド自体は坂里人低空飛行を得意とする蝙蝠族故と更には夜が近付くにつれて元気に成る種族特有の性質を利用して一気に五位以内への浮上を仕掛ける。
 あいつは変化川を渡るのに適した飛行をするからやりにくいな--勿論空中種族という意味ではなく、蝙蝠族という意味で息が荒く成るチーチェンジェ。
 だが、変幻自在な双方は却って体力の消費を促す。故にコモンドは川の流れが突然速まり出した所から岩に乗っかろうとして足を滑らせる。そこで上手く管制制御に力を入れ過ぎた為に吐く息を余計に消耗。一気にチーチェンジェに追い抜かれた。
 追い抜いたチーチェンジェは今度追い抜く相手として齢二十四にして九の月と十二日目に成る三回目の出場と成る武内鳶族のワッセル。彼もまた低空飛行を得意とする生命。しかも流される岩にも力を使わずに飛び乗る為にチーチェンジェは彼を追い抜く為に配分を上げざる負えなかった。
 結果、大きく引き離す事に成功するもチーチェンジェは息を大きく荒れさせる。そんな中で次に追い抜くべきは齢三十五にして八の月と十一日目に成るタゴラスカンガルー族のマンメルメ・レヴィルビー。こうゆう場所に於いて飛び跳ねる事を得意とするマンメルメには上手く配分を上げて追い抜くか悩むチーチェンジェ。
 苦しく成って来た--まだ後二関門も残る中で改めて己の種族が持久走に向かない事を理解するチーチェンジェ。
 それでも俺が証明しないと……証明しないと--だが、種族の誇りを優先……配分を大きく上げてマンメルメを追い抜いた!
「あいつは無茶、スル、ナ、あ」マンメルメも既に限界が来ていた。「安全、ノ、為、ここデ、足、ヲ、止める」
 在れる息が激しく成るチーチェンジェは齢二十歳にして八の月と十日目に成るアリスト鶴族の板垣ツル都留と激しい息遣いで追い抜き追い越しを繰り返す!
 この鶴……必死だ--チーチェンジェはツル都留も限界が近い事を表情見て気付く。
 それでも最速を謳うチーター族の誇りに掛けて追い抜く。その時、川より顔を出した水中型銀河連合の数々。それに気付いてツル都留は荒い息を圧して己を追い抜いたチーチェンジェの背中を押すように彼らに向かってゆく!
 無論、ツル都留だけではない。脱落した三名も更には副審を務める五名も銀河連合掃討に駆け付ける。

 午後一時一分四秒。
 そこは十五森。遂にチーチェンジェは十五森に入る。だが、息遣いは限界に近い。既に開始から約五の時も走り続ける。穢れ払い走りとは生命の肺を破る程の距離を走る限界追求道。ここもまた終着点ではない。まだこれを含めて後二関門も残る……少なくとも記録更新しなければの話だが。
 銀河連合だけじゃなく、副審の三名が骨に成り、二名が怪我を負ってる--ゆっくりとした走りで立札を全て引き裂かれた道を行くチーチェンジェ。
 話し掛けたい気持ちもあったが、走りに集中するのと副審達の気遣いもあってそれは叶わない。彼は副審達の気持ちを汲んで手振り足振りで示した道をゆっくりとした足並みで進む。チーター族の誇りに掛けて。
 まさか第三関門に来てもう勝負の事なんかどうでも良いという気持ちに成るなんて--脱落しない程の足遣いで走ってると示すチーチェンジェは既に明の鏡にして水の一滴が止まる瞬間まで心を落ち着かせていた。
 それから命懸けでチーチェンジェを通そうと銀河連合の猛攻を必死で止める副審達の命懸けの案内を頼りにチーチェンジェは第三関門を三の時掛けて突破……いよいよ第四関門にして未だ越えた事のない名無しの鍾乳洞と呼ばれる当時は第三十三関門と呼ばれた五本の指に入る程の難関へと体を潜らせるチーチェンジェ。

 午後五時零分一秒。
 月が照らす時間帯にてチーチェンジェはやっと上位三名の所まで追い付く。彼らは道に迷っていた。実はまだこの関門では副審一名も居ない為に何処へ向かえば良いのか迷っていた。しかも脱落条項である足を止めてまで彼らは言い争いを演じていた。
「絶対右っだああ!」
「いーいや、左ーね」
「落ち着け、二名共」
 ど、どうしたんだ--とチーチェンジェもまた足を止めて何があったのかを尋ねる。
「実端何処辺進めば良いか於巡って二名共言い争い似成ってる。二名乃主張似耳於傾ける余裕牙あれば聞いてくれ」
 はあはあ、休みたい気分だけど--それでも基本的に生命とはお命良しの集まり故に聞いてやるチーチェンジェ。
「実はここには審判が一名たりとも配置っされてっないのだ」
「そうそう、第四関門ーである名無しーの鍾乳洞ーなのにどうーして配置ーしないか」
 言われてみるとここに入ってからずっと副審を見てないな--と納得するチーチェンジェ。
 さて、二名の言い分は最後の部分を以って明かされる。果たして銀河連合による襲撃を潜り抜けて無事、完走する事が出来るのか? それともここで足を止めた事を理由に引き返すのか?
 なおそこは前回優勝者が進んだ距離よりも先である事を明記しておく。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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