FC2ブログ

一兆年の夜 第六十話 犬猿の仲(四)

 午後十一時一分十八秒。
 場所は十五森。そこは真古式初代最高官天同十五の名前に因んだ森。奪還して十五が古式神武最後の最高官を引き継ぐ時期に浄化が完了した最初の森としてそう名付けられた。そこは浄化する前と同じく銀河連合に依って複雑に入り組んだ地形へと様変わりし、現在もまだその複雑さが解消されない。故にここを探検する生命には再三に渡って厳重注意が為され、国が許可した道以外の道を進む事を禁じられている。何故ならそれ以外の道に入ると体内磁場が乱れ、失踪する危険性が高いのである。安全面を考慮してそこでは月に一回或は月に依っては二回以上に渡って案内札を立てに行く。何故か? それは銀河連合に依って毎年のように立札が抜かれて遭難する生命が後を絶たないが故に。
 その証拠に今回の穢れ払い走りでも強引に引っこ抜かれた跡が三名の目に飛び込む。
「こーれはー何だ!」
「また銀河連合が……って囲っまれたぞ、二名共」
「生憎金棒端持参しておらん」
「足ーを止めたーら脱落しーてしまうーけど、止ーめなかーったら犠牲者がー出る」
「何、俺牙脱落して君達牙先似行けば走り端維持される」
 そんな事言っうんじゃない--とゴーリデルルはそれを断った。
「僕達はーそんーな理由でー脱落するー生命なーんか見たくなーい。だから走りは止めなーいでくーれ!」
「お前達端……どう成っても知らんぞ」
「大丈夫だって。わしらはそう簡単に死っぬような生命じゃっないっての」
 全く那亜--と二名のお命良しに呆れて止める足を忘れるドノルダル。
 さて、囲んだ銀河連合は種類判別せずに確認すれば全部で十八体。単純に考えるならこれだけの数を相手に三名がかりで適う筈がないと誰もが思うだろう……いや、訂正。副審を入れると六名掛かり。即ち、飛蝗族二名と蜻蛉族一名が加勢する事で一名三体を相手取るという計算に成る。果たして無事に第三関門最初の壁を越えられたのか?

 午後十一時三十二分四十四秒。
 場所は弓八坂。
 視点を今回の主人公であるチーチェンジェに戻す。彼は既に弓八坂の下りへと差し掛かる。既にデュー八十、ダドルダと言った競い合い手を追い抜き全体で既に十位以内に入った。だが、フランチュルノとラークドルダは意外に粘る相手。しかも彼らは副作用の激しい会話を使ってチーチェンジェを疲れさせる方法を実行。
「ねえねえ、そこまで上がっちゅんだからもうそろそろ諦めよちゅよ。今なら脱落しても誰も攻めないからちゅ」
「返事でも何でも良いからわいらと会話を楽しもうじょお」
 二名共疲れが増大する行為を使ってでもこちらを止めたいようだな--とチーチェンジェは話したい誘惑と格闘しながらそう考察する。
「そろそろ、疲れてきたでちゅ、ちゅ、ちゅ」元々方法は正しかったが、この方法だけは誤った模様。「そろそろ配分を大きく落としまちゅ」
「情けない鼠だじゃあ、あいつじゃあ」
 一方でこちらの駱駝はまだまだ余裕なのが恐ろしい--と駱駝族の砂漠を渡り切る体力の高さに感心するチーチェンジェ。
 それでも下り坂に入ると何時までもラークドルダに構う訳にはゆかず、チーチェンジェは少し配分を上げて追い越した。そして、ラークドルダとは成人体型十五まで引き離していたジャンボッドと並んだ。
「よお、少しだけアア話そウウぜ」なお、ジャンボッドは疲れさせる方法じゃなくて本当に会話したくて話し掛けるのであった。「このまま配分を更にイイ上げてエエ第二関門でエエある変化川かわりばけるがわにイイ入ろウウぜ」
 こいつもあの二名と同じ方法で俺を疲れさせる気か--先程の二名がそうしたのと同じようにやってると思った疑り深いチーチェンジェ。
「オイ、まさかウウ疲れてエエ話しイイたくないって? まアアわかるウウぜ。会話なんかアアしたくなイイって……って」前方に二体の銀河連合が空から降って来た事に気付いたのはジャンボッドだけじゃない。「ウウ済まなイイが、お前さんはそのまま先にイイ行け! 俺は自主的に脱落ウウする」
 何--それには思わず声を出すチーチェンジェ。
「ここは俺達にイイ任せい!」
 ……済まない--とチーチェンジェはまだまだ余裕のあったジャンボッドと副審四名に空から降りて来る銀河連合を頼むのだった。
 当たるかって--勿論、これはチーチェンジェの心の叫び声。
 彼は空から降る亀型、鶴形、超方、蠍型の落下攻撃を躱しながら第二関門である変化川へと入ってゆく……

 午後零時零分四秒。
 場所は変化川。読みはかわりばけるがわ。そう読んだのは当時の古式神武最高官だった天同斬弥きるみ。実は変化川が発見された場所は当時としては第十四関門と呼ばれる地。その理由はいかようにも川の流れが変化し、進攻が難しい事からそう呼ばれた。だが、変化する種類は実に簡単であった。その種とは時間。季節によって変化は異なるものの大抵はお日様が真上に行くまで川上に、真下に降り始めてから川下へと変わる。
 そして、チーチェンジェは今川上に入った。即ち、ここで配分を最大まで上げて川下へと変化する前に突破を懸ける!
 急ぐのだあああ--水流は例え巨大な生命でもあっという間に押し流す為、勢いが弱い内に突破を試みるしかないのだ!
 さて、第二関門である変化川を渡るチーチェンジェとほぼ横ばいに並ぶ四名の選手については次の部分で紹介する。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR