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一兆年の夜 第六十話 犬猿の仲(一)

 ICイマジナリーセンチュリー百八十一年三月三十七日午前八時零分七秒。火の曜日。

 場所は新古式神武六影府第五東北地区。
 常にそこは犬猿道と六影府の生命は口々で語る程に犬族と猿族が多くを占める。彼らは出会う度に火花を散らし、大抵は喧嘩別れする事が多い。故にこの道を別の名称で『喧嘩道』と呼ぶ場合もある。
 さて、第五東北地区ではどうして犬族と猿族が大挙する道と成るのか? それは毎の年の火の曜日に始まる『穢れ払い走り』と呼ばれる耐久走が行われる。そこでは様々な生命が種族を懸けて参加。だが、途中から犬族と猿族のある若い指導者達が独自の装備をする事で他種族よりも早く、そして持続させる走りを実現。しかも年毎に彼らは優勝争いを演じる為に何時しか第五東北地区は犬猿道と呼ばれるに至った。
 さて、今回のお話は犬猿道を巡り犬族や猿族と関係のない齢十九にして十一の月と十四日目に成るロディコチーター族の少年チーチェンジェ・バーバリッタが主人公として走りの行方を追ってゆく。
 やっと参加が認められたぞ--チーター族の思考もまた、このように表現しないといけない。
 親父は死んだ二名の兄の跡を継げってうるさいからな--これも彼の脳内で交わされる言葉。
 この走りに参加して猿族や犬族以外の優勝者になってやる--長文で思考しない為に一々段落を変えながら載せなくてはいけないのがチーター族の面倒な部分。
 走りの限界はない--ここからは穢れ払い走りの補足と成る。
 故に足を止めるまでがこの走りの距離なのだ--そう、優勝者が最後まで走った所までが完走するべき道なのである。
 毎の年とは限らないけど、年を追う毎に距離は長く成る--それだけ持久力のある生命が輩出されるのもこの穢れ払い走りの特徴。
 俺らチーター族は速さに定評はある--成人体型六十六を六の秒で完走するほどに全種族の中で足が速いのである。
 だが、持久走に向かないのも理解出来る--だからって持久走でも速いかと問われれば別である。
 俺は持久走でも俺達の種族が最速である事を証明したいんだ--そうしてチーチェンジェは参加を決めた。
 だが、それが叶うまでに実に六の年も掛かった--それくらい家庭の事情は苦しい物だった。
「オーイ、何ー深刻な顔ーをしてるーんだ?」一名で思考する彼に声を掛けるのは齢二十一にして十の月と十三日目に成る新たに興った六影犬族の青年。「チーターがー持ー久走で頂ー点に立てーると思ーわなーいでな」
 お前はピタゴラ・プーティーだな--と声を掛けられて右に顔を向けるチーチェンジェ。
「その訛りは思ー考する際ーもそうしなーいといけーないんだーよな。だーからチーター族ーは学ー者が出て来ーないんだーな」
 相変わらず滑りに十分な足袋を履いてるようだな--とチーチェンジェはプーティー族が代々この走りで勝つ為に開発した犬族専用の足袋を見て感心する。
「そりゃーまーあそーうだね。今度ーは昨のー年で土をー入れるー羽目ーに成ったのーを晴らーさなくーちゃいけな--」
「何を勝ち誇ってるんだい、プーティーの若造」そこに齢三十一にして九の月と十二日目に成る新たに興った六影猿族の中年がチーチェンジェのもう一つの横に立ってピタゴラを挑発する。「何もなっい所を走るのがこの犬猿道の面白っい物じゃないわ」
「出ーたな、三ーの年連ー続の優ー勝者!」
「何を言っうか! 今まで敗れって来たのを晴らっしてきた数じゃ。また優勝しっても足っりんくらい」
「また高ーい所に登ーって短ー縮を使う気ーだろ! 真面目ーにやれーよ、全生命体ーとしてー!」
「これでも真面目じゃ! お前さんは平等に戦っうにしても無理なもっんは無理だってわかっるだろうがあ!」
「何だーと、こーの!」
「そっちこっそう!」
 まあまあ--とチーチェンジェは二名を宥めるのだった。
 何も六影に住む彼らだけじゃない、各地の犬族と猿族はこのように仲が良くない模様--とまだ始まってもいないのに下を向く程に二名の子供染みた喧嘩に疲れ果てるのである。
 さて、二名のやり取りから五の分の後に走りは始まる。参加者は合計一万六千四百七十一名。それぞれの目的に異なれど、彼らが共通するのは走る事に意義を以って参加するのである。
 これだけは思うだろう--とこれはチーチェンジェの述懐。
 まさかこの走りにあの恐い恐い銀河連合が出てこようとは誰も考えなかっただろう--そう、これだけで終わらないのが今回のお話。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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