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格付けの旅 青年デュアンの死闘 終わりの始まり

 終わりの始まり……それは終わりとは何時も一つで締め括られる訳ではない。どんな時でも起承転結、序破急、起承鋪叙結、起承鋪叙過結とキリがない。そうゆう訳で今回は起承鋪叙過結の起に当たるお話を紹介しよう。
 決勝トーナメントは開始された。出場するのは全部で千二十四人。一回戦突破で残り五百十二人。二回戦突破で残り二百五十六人。三回戦突破で残り百二十八人。四回戦突破で残り六十四人。五回戦突破で残り三十二人。六回戦突破で残り十六人。そして七回戦突破で残り八人。準々決勝で四人、準決勝で二人……優勝するまでに十回も勝たないといけない。全くだるいったらありゃあしない。そんな決勝トーナメント。参加するのは俺とラキ、それからマリックと残り手下八人。ちぇ、手下の一人や二人脱落してると思ったのにちゃっかり決勝トーナメントに出場してやがんの。そいつらの名前を一々確認するなら……えっとパワーマジシャンのクライスと騎士道魔法のフェオールを除いて残るのは水魔法のアレンジが上手い高等科三回生のジュンダー・ウンディーナと高等科二回生で火と氷の威力が高いナウマン・ヤッスズ、それから補助魔法の優れた同じく二回生の名前が忘れそうなギャンダラー・バレック……ノートに書き込んで良かった。これで手下は三人紹介した。四人目は……あ、こっちが騎士道魔法の方だったな。脱落したのはフェオールではなくてフェイエンだった。フェイエンは軍師タイプの魔法使いでこっちがフェオール・ドヴィヴァ―レで用属性専門の騎士道魔法の使い手だと手帳に記してある。全く名前が紛らわしいとついつい勘違いするよなあ。五人目は年季を武器にした三十六歳高等科三回生のセリック・ベルチェ。六人目はシュリフト家一の変人ウササギ・シュリフト。七人目はマリックの幼馴染のラリータ・タリーナイ。ウササギの評価のほとんどをラリータが掬い上げたと評される程の評価を持つ。最後がマリックを越えると思われるナンバー2のモリスン・ベンデット。しかもマリック以上の野心家との噂も。これでマリックの手下八人を紹介した。さあ、とっとと決勝トーナメントに足を運ぶとするか。
 そこで俺に待ち受けるのはラキとあのマリック。
「来たのね、やっぱり」
「全く馬鹿野郎め」
「昨日アイスマンと会ったぜ」
 何だって--と二人は口を大きく開けて驚く。
「あの偉大なるガガープ・アイスマンと会うなんて!」
「本当にデュアンは命が幾つあっても足りないわね」
「あ、そうそう……あの爺さんと出会ったようやく節約術とやらを思い付いたぞ」
「何、それは!」
「それは俺が優勝した後に教えてやるよ」
 と俺は初めから優勝出来ると確信する。
「何処までも根拠のない自信を掲げやがって!」
「マリックと意見は同じだよ。デュアンには何処にそんな自信が溢れるの?」
「月を破壊出来た時からだ。それに節約術を見出した今では更に俺は止まらん」
 話に成らん--とマリックは背を向けて抽選会場へと足を運んでゆく。
 別にマリック一人だけ行くのではない。俺もラキも其処へ向かう。何故なら対戦相手を決めないと決勝戦は始まらないしね。後はどんなルールなのかも俺は知りたいんでね。何せ俺は『アトラスの星』の主人公ヒューマ・アトラスみたいに養成ギブスと着用してる状態でトーナメントを勝ち上がって来てるんだからな。
 アトラスの星……それは古き良きスポ根漫画。主人公はアトラスに入団して星として輝く為に父一徹・アトラスの虐待……もといスパルタ特訓を幼少の頃に日々受け続ける。全てはプロ魔弾球団の長嶋アトラス軍に入り、活躍する為に。まあ根くらいで説明は終わりにしよう。俺はこうゆう漫画は興味ないから誰かに教わってやれ。
 籤の結果は……第一試合に引っ掛かったみたいだな。それも相手はあのシュリフト家の三男坊ウササギ・シュリフトと来たもんだ。
「よお、デュアン。マリックさんの忠告を素直に受け入れん愚か者よ。この偉大なる血統である……まあおまけみたいなもんだね」
「そろそろ決闘場にでも行こうぜ、ウササギ」
「呼び捨てるな! 僕はこれでも先輩様だぞ」
 と意外とノリのいいウササギを揶揄って俺は第一試合会場へと赴く。おや……審判は珍しい顔だな。偉い人は簡単に審判何か危ない役職に就けるのかな? 俺はその爺さんに尋ねてみる。
「わしが第一試合の主審を務めるのがそんなに不思議か?」
「な、な、な、何でガガープ・アイスマン様が審判何か為さってますか! 危ないですのでお下がり下さい!」
「お前さん如きに後れを取るわしじゃないわい。わしは興味あるんじゃよ……デュアン・マイッダーが何処まで命知らずなのかになあ」
「あんたの目的は何だ? 俺を観察して何が得たい?」
「ほう、生意気坊主め……これがクラリッサを倒したと噂の魔術師デュアンの口かい?」
「答えろ……何故審判をやる?」
「答えは無事そこの小童に勝ってからにせんかい!」
 右手を高く上げやがって。そうすると下がるのは……もうそこまで行くのかよ--という訳で一回戦第一試合は開始……僅か一秒で決着!
「ほう、炎系下級魔法ファイアーボールで瞬殺か」
「勝てねえ! ルールで縛りのない状態で……クソウ、僕はその為の噛ませ犬だったんだな!」
「そうゆう事か……爺さんが審判やる目的は俺の力量を図る為だったんだな」
「不正解。正解はルールむようにして君を確かめる為じゃ」
 どっちも同じだろ--と呆れかえる俺。
 という訳で俺は第一試合を瞬殺で終わらせたので決勝進出者ほぼ全員から睨みの目を向けられる事に……「よお、デュアン。ウササギを瞬殺した感想は?」肩を乗せるな、マリック!
「俺を縛るルールもない状態じゃあああするしかないだろ!」
「だが、お前はやはり出場するな。嫌な事態が起こった……ラキと対戦するのはあの『ヅアンダ・ガグルビ』って狂人だ」
 ヅアンダ・ガグルビ……それは存命中のクラリッサが指定したカルトサークル『エンリャクジ』のリーダーを務める危険人物。そいうつは俺を弟子に取る前のクラリッサに依って始末された筈だった。だが、大会が始まると同時に奴の名前が登録されている事にマリックを始めとした事情に詳しい奴らは気付く。奴はクラリッサに殺され掛けながらも何者かの手に依って全身の八割をサイボーグ化して生き永らえていた。誰が助けたのかは不明だが、奴は復活した序に禁呪魔法の一つを授けられる。故に奴は予選では対戦相手全てを死ぬよりも恐ろしい目に遭わせてる……との事。
 よりにも依ってヅアンダか。クラリッサとの因縁は何処まで俺の足を引っ張るんだか。でもラキなら大丈夫だろう。俺はそう信じて第二試合でギャンダラーが勝ち上がったのも無視して第三試合を観戦する事に。
 観戦中、俺の隣に座るのが何とも不気味な男だな。
「やあ、デュアン君。初めまして……僕は『全生命体の敵』であるゴリアテ様だよーん」
 ……誰?
「二回戦でチミと戦う最大最強の『全生命体の敵』だよーね」
「最大最強? 俺にはそうは思えない」
「自信満々のようだが、最大最強は冗談だよ。僕は君を殺す為の魔法を持ってるよーん!」
「殺す為の魔法? またまた御冗談を……それで何を持ってる?」
「それは……おっとそれよりも君の恋人の試合を見て予想してみない?」
「何を懸ける?」
「ほう、『ギャンブル』の心得は御存知だねえ」
 ギャンブル……それは人生その物の事。あ、それは哲学過ぎるな。正しくはお金を賭けて一発当てるとお金が増えるというよくわからない代物。時には命を賭けて命に見合ったお金を儲ける事も可能。その場合は一生遊んで暮らせる額は稼げるとの事。最も一発外して一生を終える場合もあるのでわざわざそんなリスクを冒して賭け事に挑戦する筈はないがな。まあ俺としてのギャンブルとはそんな風にしか見てない。他の奴等はどうかは知らん。
「要するにお前は俺に何か対価を払わせたいのだよな?」
「まあまあ、ここで対価というのは君の掌を魅せるという条件だよーん」
「それは拙いなあ。益々負けられないな」
「あ、次使いたい分まで掌は見せてよね。そうでないと次戦う時に新しい手を使われたら賭けの意味ないからねえん」
「そこは公平に見てるんだな?」
「僕は何時だって公平だよーん」
「じゃあ信じよう……では賭けを始める」
「君が主導なのは気に入らんねえ」
「じゃあ俺はラキに賭ける」
「勝つ可能性は薄いよお」
「ラキならこの程度の困難を乗り越える」
「恋人だから?」
「違う。あいつの……ユミル人の偉大なる血統を信じる」
 不思議だねえ、不思議だよーん--こいつは俺のテンポをずらす口調をして!
 まあ良い。どのみちラキは勝つ……例え今回の戦いで苦戦しようとも。俺はそう信じてラキの試合を観戦する。
 その試合ではラキはヅアンダの情報を真っ先に取得。奴の禁呪魔法の裏を掻いて形成魔法に依る先制攻撃を仕掛ける。それに依り、大魔法を仕掛けると考えていたヅアンダは身に付けた禁呪魔法を唱える為の時間を設けられず一方的にやられていった。
「これは凄い試合ですね。まさかの形成魔法に依るジワ攻めですね」
「泥臭く、美しさなどない。だが、魔力も正しく使えば半端な格上相手に有利に立ち回れる訳だ」
「おや、判定で君の恋人は勝ちましたね」
「それに納得しないヅアンダは審判に向けて例の禁呪魔法を仕掛ける……が相手が悪かったな」
 俺とゴリアテなどが見守る中で主審を務めるアイスマンはカウンターマジックで奴を昏倒させた。どれだけ素材が協力でも使い手が未熟だと安い素材で高く扱える相手には全く効果がない事をここに証明する。
「それじゃあ僕は準備して来るね」
 どっち道勝つのは俺だ--と俺は二回戦以降の試合には厳格なルールがある事も知らずに安易な勝利宣言をしてしまった。
 えっと二回戦進出者の中にはラキ以外にはマリックや愉快な手下共も居る……が、その中に俺の中で違和を感じる相手がいた。その男の気配には……何処かで会った事のあるような何かが匂う。何者だ? もしやこいつがグルービィ・マクスウェルか? いや……それなら俺は初めて感じる何かを察知するだろう。だが……この相手だけは何か引っ掛かるな。
「オイ、デュアン!」その声に反応して俺は後ろを振り返る。「俺を知ってるよなあ?」
「……セリックか!」
「セリックさんと呼べ……とは言わんが、俺と対戦する以上は覚悟しとけよ」
「対戦? いやいや、お前とは運が悪ければ三回戦でやるんだろ?」
「一言多い奴だな。まあ気に入った。そんな事よりもお前も気に成るんだろう?」
 気に成る--どうやらセリックも例の奴には興味がお有りだ。
「そいつの名前は『ロマンツェ』らしい」
 ロマンツェ……それはフードを被り、瞳以外を一切晒さないアハマド教の女信者。宗教上の理由から彼女はその姿で大会出場を許される。そして対戦相手を秒殺するほどの魔力と応用力を持つ恐るべき実力者。俺の見込みでは恐らく……魔導士級だろう。
「言っておくが、デュアン。こいつを警戒してマリックさんはお前を棄権するよう促してるんじゃないからな」
「あれ、こいつじゃないのか?」
「上手く実力を隠してるようだが、恐らくお前とはほぼ反対側の位置に登録されてあるこいつの事を指す」
 俺はセリックが指差す『ミスター・グローバリィ』に注目する。滑稽な名称の対戦相手は幾つか見掛けるが、俺はそいつも含めてそうゆう連中は軽視してる筈だったんだがな。
「一度でも良いから奴の試合だけは見ておけよ。あれは実力を隠してるようだが……マリックさん曰く最大の『ダークホース』との事だ」
「最大の『ダークホース』……ねえ」
 ダークホース……それは前馬評を覆す穴馬の事。それまでの予想を大きく超えてギャンブルでは一度出現すると大勢のギャンブラーの金を大きく巻き上げる。そしてそれを偶然賭けていた者に資金を集中させるという恐ろしい存在。
「良いか、デュアン。お前は確かに強い。既にお前は教師陣からは恐れられるほどに……でもな。最後に勝つのはマリックさんだ! マリックさんならグローバリィにだって勝てるぜ!」
「過信だな。あの程度の実力者が優勝出来る訳ねえだろ?」
「お前という奴は……まあ良い。三回戦で仕合おうぜ」
 マリックといい、どうして手下共は俺に対して粘着的なんだろうか? ま、いっか。そろそろ二回戦が始まるからちゃっちゃと終わらせようっと。
 ンで相手はゴリアテ。何でも『全生命体の敵』らしい。そんで主審は……マクスウェルじゃないんだな。
「二回戦からは俺がやる。デュアン……何時までも天狗で居られるなよ!」
 主審のハヤセ・コジマはルール説明して来る。その説明とは……何なんだよ、それ!?
 ルールその一……下級魔法だけで戦え。
 ルールその二……禁呪魔法は使って良い。
 ルールその三……零詠唱はするな。
 ルールその四……禁呪魔法からの連携では上級魔法まで使って良い。但し、連携で誤魔化すな。
 何という事だ。まんま俺対策じゃないか! 一から三まで俺を想定してルールの取り決めをしてるな。さあ、どうしよう?
「これは僕に有利なルールだねえ」
「そうみたいだ。まさかお前に『神輿を担ぐ』ようなルール設定だな」
 神輿を担ぐ……それは大きなよいしょの事。神輿というのはアマテラスという国を行けばわかる言葉。神輿と呼ばれる物がある。それは普通の腕力では担げない為、何人がかりで担がないと持ち上がらない重さ。当然、担げばそれなりの高さにも成る。どれだけの高さか? それは大体肩の高さだと思えばわかりやすい。それを担いで参るのだから担がれた神輿がどれだけ高みの見物してるかを想像すれば意味も理解出来るだろう。そうゆう訳で神輿を担ぐという諺が誕生。神輿を担がれると気分が高揚する物だ……但し、誤って神輿から落ちれば怪我するので担がれた側はそれを重々気を付けるように。
「ごちゃごちゃ五月蠅い、デュアン! 俺が主審を務める以上はお前に勝ち目はないと思え!」
「全く面倒臭いルールを設定したなあ、えっと誰だ?」
 どっちでも良いからもう口を閉じとけ--と主審のおっさんは沈黙を要求。
 そして俺達が開始線の上に立つと……主審の右手は天の方角から試合台の方角へと降ろされた!
「--闇よ……彼の者に裁きを与えたまえ!」ゴリアテは早速、禁呪魔法の一つを唱える。「--グフフフフ、受けよ、エクスキューショナル・ペナントレース!」
 一見魔弾競技の一つであるあの『ペナントレース』を思い浮かべるだろうが、異なる。こいつが唱えるのは立派な禁呪魔法さ。一応、昨日図書館で会って来たアイスマンから禁呪魔法の名称だけは聞いてある。まあ一応ペナントレースも解説しておくぞ。
 ペナントレース……それは優勝したらペナントと呼ばれる三角旗を貰う事から魔弾競技に於いて約百五十日以上もの試合をこなす事をそう呼ぶ。ペナントレースでは短期的な勝利は求められず、常に選手は記録を伸ばしていき、チームは長期的に勝ち続ける事が強いられる戦略性の高いゲームの事。戦術も勿論、正しいだろうがチームが求めるのはあくまで戦略的な強さ、幾ら戦術が優れていても何度も使える物ではない。チームは勝利してこそ意味がある。敗北を恐れる必要はないが、出来る限り敗北を減らして再会或はAクラス、もっと求めるなら優勝を目指さないと意味がない。なので長期的な勝利の継続の実現を促す為にチームは戦略を重視しないと意味がない。
 とそんな訳でこいつの繰り出すエクスキューショナル・ペナントレースとは大体予想付く筈だ。それは戦略面で優位に事を運ばせてから俺を仕留めに入る禁呪魔法だよ。そのせいで俺は魔法攻撃力が激減して……ファイアーボールですらもあいつの前では暖房を掛けるくらいに弱い。一方であいつは俺に向かって徒手空拳による攻撃を仕掛ける。ゴリアテ故に両手で防御するのに痛い。「オラオラアアア! これが僕のゴリアテパンチだああ!」
 五月蠅い--だが、こいつは戦術を軽視した……ルールで御膳立てしときながらも俺が素人ながらも光の速度以上でパンチを繰り出せる事を知らないようだな。
「は……あれ?」
 ゴリアテが一撃で沈んだ事に主審の……思い出したが、コジマは一瞬だけ言葉を失う。
「どうやら魔法以外で決着付けたけど……反則か?」
「いや、ルールに記載されてない。依って勝負あり!」
 はあ、ゴリアテが底辺で良かった--もしも素手で決着出来ない相手だと如何成っていたやら。
「ゴリアテではこの程度だったな」
「ワイズマン、貴様わかっててそうなるよう組み込んだな」
「聞こえるだろう、声が大きい……ウェル」
「では……様、この『ミスター・グローバリィ』が奴めに引導を渡してきます」
「期待してるぞ、私の最大の弟子……よ」
 声が聞こえる。しかも肝心の部分を雑音で誤魔化してわざと俺に聞こえるよう喋ってる。一体誰と誰が喋ってるのか……わかるとしたら声の数は全部で五つ。だとすれば俺はあのグルービィ・マクスウェルの正体について何か誤解してる気がするかも知れない。
「何、黄昏てる訳?」
 背後からラキが声を掛けて来た。振り返ると既に二回戦も無事勝ち上がってきたような顔。どのような顔か? それは煤で顔を塗るようなそんな感じだ。
「何か付いてると思ってる?」
「二回戦の相手は強かったか?」
「『鴨が葱を背負ってる』ような強さ……あれで良く勝ち上がって来たと私は思ってるわ」
 鴨が葱を背負ってる……それは凡庸なのに結果だけが素晴らしい奴らの事。彼らには実力は伴わない。にも拘らず、不思議な事に上位に居て過大評価されがちな存在。故に縁起を持たれて勝ちで己が無能だと気付く前に自惚れ、手痛い竹箆返しを受ける。故にネギを背負わされてると自覚する鴨は決して驕らずに己を高める事だけを考えるように。
「とはいえ、運も実力の内だ。そいつはこれを機に幸福に繋げていけば良いんだよ」
「上から目線だわ、デュアン。それ自覚された人は怒り狂うわよ」
 どうせ俺に遠く及ばん……怒りたい奴だけ怒れば良いんだよ--と俺は三回戦の相手がセリックでもしも勝ち上がっても次の相手はあのラリータだとわかって少しだけランニングする事を決めた。
「あら、別れの挨拶もせずにランニングに向かったわね。まだクラリッサ教官の事を忘れてないのね、デュアンも」
 さて、俺は三回戦説明のアナウンスを聞くまで本戦会場の周りを走ってみる事に……すると俺と同じペースで走るフードと出くわす。
「その匂い……女か?」
「不潔な男だな、噂のデュアン・マイッダー」
 その声……死んだ筈だが--と俺が声を掛けたのは俺にランニングを教えた女と声色と雰囲気が一致する女(?)……ロマンツェ。
「誰と私をだぶらせるのだ?」
「さあな。ところでお前とは恐らく準々決勝で当たるとみてるが」
「君は己の勝ちに偉く自信を持ち過ぎてるみたいね」
「良くないか、過信を?」
 いいえ、悪くはない--となおもその女は呼吸を荒げる事無く、俺のペースに食らい付いて来る……尋常じゃない体力と見た。
 因みに三回戦のアナウンスは今日の夕方に響き渡る……どうやらこのペースでは四回戦以降は明日に成りそうだ。さて、終わりが近付く始まりはこうして幕を閉じ、いよいよ怒涛の戦いが幕を開けるのだな。
 そこには果たしてどんな真実が待ち受けるのか? もしかしたらその真実とは魔導学園を引っ繰り返す一大スキャンダルと成るのかな?


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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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