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一兆年の夜 第五十九話 最強の矛と最強の盾(五)

 十五日午後十時七分四十一秒。
 場所は標高成人体型二百五十四第一中央区域。
 そこには百を超す銀河連合が頂上を守るように構えている。
「本当の訳をそろそろ話そうぜい」
「その機会を何度逃してるかわかってるのか? もう遅いぞ」
「といいうかあこおこまできいて後おは素手え素う足だけでえ何とおかしろ……ってえ、出え来ないですう」
 三名だけでしかも体力上の問題も含めて約十体以上と最後の戦いに勝つなどどの歴史からしても無理な注文である。三名共既にわかってる事。気合で何とか出来ない事も理解する。それでも彼らは勝つという意味において全て倒す事ではなく、突破する事にこそ勝利が見えると信じる。最もその確率は期待出来ない。
「遺書書かなかったんだよなあい」
「俺は死なんと信じてるから書きたくないんだ」
「それは後おで悔いいますうね」
「動き始めたぞい」
「そうだな」
 感心しいてえる場あ合ですかあ--とスポックはつっこむ。
「斯くなる上は逃げる事」
「それは生き残るとわかって言ってるのかい?」
「お前は如何だ?」
 質問に質問で返すのは宜しくないって授業で習っただろい--とサイ銅は当たり前の答えを出す。
「もおう成人ん体型かあらして十のお所までえ近あ付きまあしたあ」
「こう成ったら逃げるぞい!」
「オイ、俺を置いてゆくな!」
 三名は銀河連合に背を向けて走り出した--その中でスポックだけは大きく距離を離してゆく。
(済まねえい、スポックい。想念の海に旅立つ事に成ったらその時こそ怒ってくれよい)
 サイ銅とバルケミンは無言で陽動を引き受けたスポックに向かって敬礼をしてから加速を付けて分かれるのだった!
「だあからあってえ死ぬ気いは毛う頭なあいねえ……あ、ああれは!」

 十六日午前零時零分五十二秒。
 サイ銅は第一中央区域に戻っていた。そこには銀河連合が一体だけ。それは犀型銀河連合……己と同じ種類である。
(たったの一体とは…・・されど一体だけなら心強い)
 サイ銅は姿を現す。犀型はサイ銅が何か狙いがあるのかと睨む。真っ直ぐ近付いても何故か犀型は疑念を解いたりしない。周囲に伏兵が居るのかどうかを確認する。それでもサイ銅だけしか居ない。サイ銅は真っ直ぐ突進する。今の犀型の鶏量及び力ならば弱り切った細動を簡単に屈伏出来る。なのに犀型は疑念を捨てようとしない。その考えがやがて勝敗を分かつ!
「俺達生命体がお前らと一緒の事をするかああい!」
 サイ銅の突進に何のからくりもないと知ったのはサイ銅自慢の鋭利な角を首に貰ってからだった。サイ銅は賭けに勝った……どうしてこのような事が起きるのか? それは次のようにサイ銅は考える。
(銀河連合は疑い深い連中だい。常に真っすぐを好まずにこちらの後ろから襲ったりい、とんでもない落とし穴を仕掛けたりい、だあい。そんな事ばかりするから馬か鹿かわからん突撃にも含みがあると考え違いを起こしてこう成るんだい! 参ったか……いやもう事切れていたなあい)
 犀型の死体を丁重に葬ると直ぐにサイ銅は頂上へ向けて走り出す。夜明けまでに間に合うのか?
(待ってろよい、バルケミンの小僧の話なんか本当じゃないと信じてるからなあい)

 午前四時零分零秒。
 場所は標高成人体型二百九十七第零区域。
 そこは誰も到達した事のない区域。故に学者研究者達はそこを零区域に指定する。そんな区域に只一名到達。名前を藤原サイ銅……木の曜日の日の出に照らされながら彼は自らの角を日の神に向ける!
(神々よい、俺は到達したぞい! そして見たぞい、矛盾山の頂上とやらをい!)
 その時、火口より起こりし星の爆発力は山を支配する銀河連合に抗うべく火山活動を始めたのであった!
(喜びは良いがい、ここに留まれなあい! かと言って尻越しに感じるのは戻って来た銀河連合の大群じゃないかい! 眠い上に命の危機が俺に訪れようとしてるかあい!)
 果たしてサイ銅は生きて帰る事が出来るのか……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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