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一兆年の夜 第五十九話 最強の矛と最強の盾(四)

 十四日午後十時七分四秒。
 場所は標高成人体型百二十第四中央区域。
 三名は五度目の襲撃に遭う。襲撃する銀河連合の数は十一体。五度も襲撃を受けて元々体力の少ないバルケミンは右肩に傷を受ける。
「ほうらあい、言わんこっちゃなあい!」
「済まねえな、サイ銅」
「年下の癖に呼び捨てかい、今更だけどい!」
「こっちは何とかあ終わったあ」
「ええい……はあはあい」
 戦いは五の分経つ前に終わるも三名共息が少々荒い。防塞型と戦う前に五度も襲撃を受けるとこう成るのも無理はない。
(眠る暇さえなあい。銀河連合は俺達を完全に遊んでるとみてるい。これじゃあ着く頃に俺達は銀河連合の腹の中に納まるなあい)
「あいつらあは何なんだあ」
「イデデ……包帯できつく締めると更に痛い」
「我慢しなあさい。これえでえも立い派な応急う措置でえすからあ」
「やはりこう成ったな」
 知ってるなあい、吐けい--とサイ銅は前足で器用にバルケミンの胸座を掴んだ。
「十分手と変わらない器用さだ--」
「そっちじゃねえい。お前の持論を吐けい」
「ああ、矛と盾のどちらが優れるかって奴か」
「そおれ教いえて欲しいいねえ」
「良いだろう、但し今日は眠れよ」
 子守唄を聞かせるようにバルケミンは話し始めた。そう、彼の持論を。
「もしも最強と謳われる矛を作ったと自称する鍛冶者が実は最強と謳われる盾を作ったと自称しよう。果たしてそいつら同士がぶつかり合ったらどうなるか? まあそこから始まるわな。んでその鍛冶者は上手く答える事が出来ない。何故かははっきりしよう。最強の矛ならいかなる硬い物も貫けると主張するからな。一方で最強の盾は如何なる鋭い物も通さないと主張する訳だ。果たしてそいつらがぶつかり合ったら上手く答える事が出来るのか? どちらも壊れないとしたら盾の方に軍配が上がる。どちらも壊れるなら矛に軍配が上がる。だとしたら何だ。壊れたり壊れなかったりすると主張するのか? それじゃあはっきりしないだろう。はっきりしないからこそ俺は興味深いんだ。
 んじゃあそれが今回矛盾山の頂上に居座る防塞型銀河連合とどう関係するのか? じゃあ答えてやろう。奴は--」
 そこでサイ銅達は眠りに就いた。既に声さえ届かない深い眠りに就くのであった。
「フウ、こいつらの内の誰かが目覚めるまで見張りか……眠い。でも寝たらいつまた襲撃が来るかわからないからな」
 さて、バルケミンは忠実に見張りを済ませると朝食を一通り摂ってから木造四輪の台の上に横たわるように熟睡するのであった。

 十五日午後零時八分三秒。
 場所は標高成人体型百八十一第二中央区域。
(そろそろ起こさないといけなあい)
 先程の話の続きをしたくてサイ銅はスポックと共に大声を張り上げる。するとバルケミンは飛び上がるように目覚める。
「何だ……爆発音が!」そう叫んでから半の分もしない内に切り替えを完了する。「って何か尋ねたくて起こしたな」
「さっきの話の続きをしろおい」
「わかった。但し、最初からな」
 いいらあない気い遣いでえすねえ--とスポックは初めからまた聞かされる事に余り好ましくない模様。
「--んじゃあ防塞型とどう関係するのか? まあ見晴らしが良いここなら少しはこの山の謎の解明に繋がるから教えるぞ。この山は銀河連合にとって都合が良い。その証拠に--」
「済まないがあい、話はこの戦いが終わった後にしてくれい!」
「また来たあよお、今ん度はあ前よおりも倍いの数だあ」
 数は二十体。六度連続で矛に優れるのと盾に優れる種類で固められる。
「やはりそうだ! 俺の持論は正しかった! さて、戦いながら話を聞こうか!」
「それは後にしろおい、バルケミンの若造い!」
「そううでえす。喋ったあら余お計い体い力を消費するう」
 全く--と蘊蓄を語れない事に貞成らずに穢れるバルケミン青年。
 戦いは三名共に木造四輪に積めてあった包丁を使う程に追い込まれた。それでも僅か八の分ほどで終わる。だが、三名共傷を負った。サイ銅は右前脚の脛に歯型の傷を、スポックは後ろ左足の脛に抉られた傷を、バルケミンは右頬の筋肉を剥き出す程の傷を。
(俺は大丈夫だがい、スポックはきついなあい。四本足の一つでも抉られると頂上まで運ぶことは困難と成るい。それから頬の皮が少しでも完全に取られたならもう治らない傷だあい。一生そこを覆わないといけないかい)
「ううん、この先は坂道ばあかりでえしいかもまあだあまあだあ石いが大量うに転おがあってるう」
「やっぱりそうだ。これが防塞型銀河連合の真の姿なんだ!」
 いきなり何を言い出すんだあい--サイ銅だけっではない、この後スポックもそれと似たような事を叫ぶ。
「ところで防塞型と会ったという話は聞いた事あるか?」
「えい、い、いやい?」
「何ん名かあに話はあ聞いきまあした。でえもはあっきりしいた答えはあ返えって来まあせんでしたねえ」
「だったらそれが防塞型銀河連合の正体なのだ」
「だから何だい!」
「教えよう。実はこの矢間こそが銀河連合の--」
「まあた襲う撃……休めないなあ」
 説明する暇も与えずに銀河連合は前よりも倍の三十八体で囲った!
(もうこっちは限界が近くてついつい包丁と望遠刀を取り出したというのにい……まさかあい!)
「如う何したあ、サイ銅う?」
「まさかこの山は都合に支配されているのかい!」
「今頃気付いたか、サイ銅」
「都う合? つうまありい、この山あは銀ん河あ連ん合うのお支い配下にいあある訳え?」
 三名はやっと気付く。矛盾山の正体とそれから防塞型銀河連合の真の姿を! それは個体ではない。山その物が銀河連合なのだ!
「そもそも新山にしては大き過ぎる。それと話を聞けば聞く程頂上へ到達した生命を誰一名として知らない。だとすれば頂上こそが防塞型……正式には山型銀河連合の急所だと思えば全ての欠片は揃う」
「そんな所で待つのは噴火……俺達は何でそんな所を目指したんだあい!」
「そもそおもおどうしてバルケミンは目指すうんだよお」
 それはこの戦いが終わった後にしよう--とバルケミンは望遠刀と五本の物部刃を両手に構える。
(バルケミンの目的は果たして何なのかあい? 恐らくそこで何か知りたいんだろうなあい)
 サイ銅は後一回は使える四足歩行式雄略包丁を左前足に取り付けていざ大地を蹴った!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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