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一兆年の夜 第五十九話 最強の矛と最強の盾(三)

 十四日午前七時十六分四十三秒。
 睡眠調整を取り、尚且つ食事も済ませた三名。彼らは早速矛盾山に登る準備を始める。その準備とは小鳥体操と遺書作成、それから諸々の包丁又は望遠刀を持参する事。万が一にも他の銀河連合が駆け付けた際には整えないといけない物ばかり。それらを成人体型全長約三の木造四輪に載せて出発。無論、引っ張るのは屈強な二名と成る。但し、亀族の足に合わせる為に凡そ二の日は掛かる事が覚悟される。
「兵は拙速を怠るなあい」
「焦えるのおは好まあしくなあいいんんだね」
「相手はあの銀河連合だぞい」
「お前らの声であいつらに気付かれるだろうが」と荷物と共に乗るバルケミンという雄は勝手に二名の遺書を読んでいた。「お前らもう少し文章上手く成れ」
「勝あ手に読おまあないでえ」
「死ぬかも知れない状況下でそれに封を開けるのは死んでからにしてくれい!」
「それ」サイ銅の文章を指摘する細かいバルケミン青年。「『死んでからにしてくれ』じゃなくて『知らない所にしてくれ』だろ?」
「訛りが抜けてるうい!」
 黙れ、種族慣れした言葉遣いで話をさせろ--とバルケミン青年は少しくらいの粗は無視する模様。
「二名い共お大人げないなあ」
「お喋りし過ぎたな」周囲を確認するバルケミンは気付いた。「まさか倍の数で囲んで来られるのか」
(俺達だって気付いてたがい、まさか獅子型い、虎型い、猪型と来て亀型い、河馬型い、それから小柄ながらも俊敏さと硬さを両立させたアルマジロ型まで出て来られるとはあい!)
「まああ良いかあい、折角の前哨戦だしい戦いますうかあ」
 二名は縄を解くと木造四輪の脇に立って直ぐ様行動を開始。サイ銅は力だけでなく速さも備えるが故に戦闘から一の分以内に三体を仕留めた。
(やっぱり陸上戦ではスポックの鈍重さはあの頭でっかちを危機に立たせてしまうなあい。でも間に--)
 ほうれ--サイ銅の心配は杞憂へと変化……何とバルケミンは鎌鼬流を人族に適した技に仕上げていた!
 その為、戦闘は二の分経つ前に幕を閉じた。三名共傷一つついていない。それならまだ理解出来るが、もっと驚くのは三名共一回も荷物を使ってない所だろう。
「確かに力は非ず。故に俺の鎌鼬流では防塞型を倒せない。それでも半端な銀河連合なら何とか出来るよう鍛錬は積んである」
「要するに防塞型は他者に譲っても良い訳かあい」
「まあね。俺の専門は学問を司るバルケミンだけに頭脳労働が適している」
「でも指示はあ受うけないかあらねえ」
 戦いが終わった三名は五の分だけ一休みすると直ぐに縄を結んで木造四輪の車輪を回し始める。彼らは矛盾山へと入ってゆく。
(待ってろよおい、防塞型銀河連合い。俺の牙でお前の殻を突き破ってやるぞい!)

 午後零時二十八分四十一秒。
 場所は矛盾山標高成人体型六十九第三南区域。
 矛盾山の最大標高は複数の学者及び研究者の発表に依ると凡そ成人体型二百九十八。新山故に標高はそこまで高くない。それでも亀族にとっては一の日で到達出来るか出来ないかの高さであった。
 話はサイ銅達に移す。彼らは昼食を摂る為に見晴らしの良い場所へと向かう。だが、新山故にまだまだ生命の手足が付いてないのか道中尖った石で溢れる。車輪もそのせいで上手く回らない。二名の力でも何度引っ掛かる事やら。
「降りては上がって降りては上がって……頭脳労働の俺に肉体労働をさせる山め!」
「とおころおで矛盾ん山って呼ばあれる所う以は?」
「この山を測った学者達に依ると盾に矛が貫通してるように見える事い。しかも見方を変えれば盾が矛を覆ってるように見える事からそう名付けられたあい」
「コラ、俺の役割を取るな!」
「楽してる奴へのお返しじゃあい!」
 全あく二名はあ大お人げなあい--とスポックは呆れる。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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