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一兆年の夜 第五十八話 鹿を指して馬と為す(五)

 午後二時三十六分十一秒。
 試験準備にそれほど時間を掛けない。正確には高齢である故に用意出来る物は限られたとするのが正しい。さて、本物の真島ギャルン太は少々血の気の多い生命で銀河連合を倒したくて新天神武軍に入り、数多くの銀河連合を倒し続けた。だが、入隊して僅か二の年の後に彼は百獣型との戦いの後遺症で今のように前後両足を矯正器具で支えないと満足に歩く事も出来ない肉体に成った。
(凄おおい過去だああん。そんんんあな老者でもこんな年齢でえええおも戦いを諦ああめないというのも更に凄おおおい。もしいいいあやさっきの話の表になああい部分には--)
「おや、何か気付いたなああい。言ううううおとあの竹の切れ端はあああああわしが用意しいいいあた」
「何だってッツ!」気付かない養子トガッ太。「じゃああれは偶然じゃなくて--」
「そう、何時までも甘ええええええてばかりのお前さんを勇ううう気付ける為にわしが密かにいいいいいお転がしたんじゃあああい」
(成程おおおう、やはり我が子思い出もありまああうすのねええい。勉強に成りまああす)
「おっおおと、試験じゃったなあああい。早速だが、始めるぞおおおう。お前さんもトガッ太あああああおと同じく甘やあああああかされて育ったよおおおううな気がするんでたっぷり見いいいい極めんとおおおおあな」
「余り叱られるのは好きじゃああありまあああえせん!」
「『叱られるだけで子供は育たん、かと言って甘やかしは布団から出さず』っとおおうな。何事も均んんんお衡は大事じゃああああと隊長の口癖を人族風に言ってみたんじゃあああい」
「早くしてくれ、御父上ッツ」
「有無、三つ尋ねるぞおおおう。お前さああんは我が劣子の真似事で何をおおおあ学んだ? それえええが一つ。
 カメレオン族ううううおの訛りは最後の者おおおいに左右される。そおおおおれについて分かったあああ事は何いいいいあか? それええあが二つ。
 もおおおいしもカメレオン族の訛ああああいりが作動しない時にどおおおうう対処したら良いのかああああい? それが最後だああああう。
 答ああああえろ、研究者の端くれならなあああい!」
 カメレインはギャルン太は既に己の事を知ってるのに気付く。気付いた上でこう考える。
(恐らく軍んんん者を辞めて安全労働うううう局を起ち上げえええあた時の頃をこおおおおのお方は仰っっっられてるんんんんあだ。その環境も性格自体も違えど俺と老真島氏は何おおおお処か通じると思っっっってそう仰られるんだなあああと)
「まさかあああい」
「早くしろッツ。お父上は気が短くて足間が掛かる雄だッツ」
「いや、今から話すッツ」ようやく答え始めるカメレイン。「最初の質問ですがッツ、訛り研究において実に有益な結果を得られたと俺は考えますッツ。理由を述べるなら短く纏めると次の通りですッツ。カメレオン族の訛りはやはり主体性を求めてるッツ」
「主体性いいいいん?」
「はああああい、このようにカメレオン族ううううは体系化した訛ああああいりは持たない代わりに他の種族のおおおおあ訛りで主体性を確立してえええおおります。だああああからこそ鹿族の生命が馬族のおおお訛りを真似えええてもそれ自体に何んんんら迷いはありまあああえせん」
「そうかッツ、じゃあ二番目はッツ?」
「答えは主体性がないのが主体性なのがカメレオン族ッツ。その為に最後の者の訛りに左右されるのは即ちそれで銀河連合かどうかを確認するうえで役に立ちますッツ」
「そおおおうかい。でえええは最後の質問は如何だあああい?」
「その前に夕食の支度をしましょおおおう。出家えええ者は学問すううううるにも生活出来なけえええれば只の足手纏おおおいいと言いまああああよしょう」
 ううううぬぬ--普段から諺を多用する老者だけに己の歩調を貫き通すのは難しかった模様。
「ええ、折角最後の質問を聞きたかったのにッツ」
「いえ、最後の質問の答えは一つではない気がしますッツ」
「ほう、良く気付いたなああああい」
「まさかお父上は--」
「それよりも夕飯の支度を先にしろおおおう。後は水浴びの準備もおおおうなあああ」
 ははッツ--何時まで経とうとも大人に成れないトガッ太だった。
(参ったなッツ。まだまだこの老者を見てると俺自身が子供だと気付かされるッツ。実は容易すら出来なかった事もねッツ。全くこれで何とか凌げても夕食と水浴び、その他諸々を終えた後だとどう答えたらいいかッツ。確かにあの時、カメレオン族特有の主体性のない訛りは機能しなかったなッツ。だけど、だけどもッツ。これは一種の可能性じゃないかなッツ。ひょっとしたらカメレオン独自の訛りが誕生する可能性とやらのッツ……あ、もう少しまともな答えを考えようッツ)
 研究者の研究に終わりがない。それと同時に出家者の修行に終わりは訪れない。常に生きとし生きる生命は死ぬまで働き続ける定めにある。それは真にどうしようもない話である。
(馬か鹿かわかああああらなあああいい……正確にいいいいあは鹿族を指ああああいしたのにそおおおえれを馬族と答えるようなそんなおかしな話は世の中では幾らでえええおもあるからなああい。さああて、カメレオン族はそれとどう向かうべきかあああい?)

 ICイマジナリーセンチュリー百七十九年五月四十三日午後四時一分零秒。

 第五十八話 鹿を指して馬と為す 完

 第五十九話 最強の矛と最強の盾 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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