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一兆年の夜 第五十八話 鹿を指して馬と為す(三)

 四十三日午前九時十一分三十二秒。
 二名は起床。随分遅い起床ではあるが、これにはある理由があった。
(早起きいいいは三マンの得と言わあああれておるのにどうやら日のおおおお出より随分と時をおおおお経てる模様だなああああん)
 カメレインは早速、長い机がある部屋に四足踏み出してゆく。そこでは未だに食事の支度どころか三角建物の主と思われる真島ギャルン太の姿が見えない。
(どうゆう事だああああん? もしや真島氏はあああああの短い時の中でええええい銀河連合に襲われたというのかああああん! だとすれば急いでえええ探さああああねば--)
 おや、どうしたッツ--そこには歯磨き用に塩分調整された塩水で口の中の歯を覆う真島ギャルン太が鹿訛りでカメレインが入って来たところより姿を現した。
「え、どうしたッツ?」
「あ、いああああああだなああああん! ついつい癖で鹿族の物真似をしてしまったああああん」
「お、お、あ、そうだったんだあああなああ。思わああああうず銀河連合に食あああべられてしまったかと思いましたなあああ」
 ワイがそう簡単に喰われてたまるかッツ……アアアア--何処となく鹿に近い馬訛りをするギャルン太であった。
「そ、それよりもさっさあああと食べましょおおおおう。朝より随分遅れえええましてねえええん」
 そ、そうだなああああん--と額から冷えた汗を流すギャルン太。
 朝食は軽く三の分で完成し、二の分掛けて御馳走した二名。それから二名は修行を始めた。
 先ずは建物の床全てに雑巾を掛ける作業。使用するのは水一杯まで溜めた大きな木の容器二つと通常の雑巾八枚、それと箪笥を始めとした家具を置く際に発生する誇りを防止する為の大きな雑巾を合計五枚。
 これらを使ってカメレインとギャルン太は正午より一の時より前までに済まさなくてはいけない。しかも注意するべきなのは拭き方。先ず注意するのは汚れた足を洗わずに作業を始める事。これでは神々への礼儀には成らない。依って足はしっかり洗う。この作業で大体十の分は掛かる。そんなに掛からないという反論に対してこう斬っておこう……それは人族の常識であってそれ以外の種族では腕や手という概念に縁がない為に細かい汚れを落とすのは大変難しい。幾ら爪と手蹄を外す作業の方だって足しかない種族はアシカ最終手段として歯で遂行しないといけない位に辛い。
 その作業はカメレインの方が慣れないせいで二十三の分と思った以上に時間を掛ける事に。
「こりゃああああ大変だねえええん」
「急いでくれえええい。残りの時を掛けて雑巾掛けを……って何やあああってるかああ!」
 あ、いけねえええんん--足を洗う作業は僅かな汚れを少しでも付けたらやり直しと成る。
 さて、雑巾掛けが始まるのはカメレインが起床してから凡そ四十の分経ってからである。それだけに幸先は良くない。
(はああ、これかあああら三角建物全体のおおお廊下あああ及び部屋の床にいいいん雑巾を掛けなあああいといけえええない。辛いのはあああ水替えの時だあああああろうん。また足をおおおお洗わあああないといけなあああいかあああらな)
 廊下全体への雑巾掛けは人族の常識では時間の掛かる作業でも元々四足歩行を得意としていた種族にとっては左程時間を掛けない。その証拠に成人体型凡そ八十もある廊下を何往復も必要な個所も含めて僅か約二十の分で済ませる程だった。
 だが、一つ一つの部屋にある床を拭く作業は思った以上に時間を掛けた。何と五十の分に迫る程に。その理由は置物を退かす作業だけではない。一旦水を汲み替える必要があった。そこで足を洗う作業で十の分も掛けてしまった。それがより時間を掛けた主な理由。
 さて、正午より一の時より前に済ませるという目標は何とか果たした二名。彼らは早速、三面六臂の人族に良く似た神様が見下げる部屋に入る。そこで四足歩行種族式の座禅を組みながら正午に差し掛かるまで瞑想を始める。
(心頭ううううん滅却……しいいいいんんんんとととうううううんんんめえええっけゃぁくううう!)
 心を平穏に保てないのは何もカメレインだけではない。隣で目を瞑るギャルン太は後ろ二本足の膝を曲げ続けるだけの脚力はない。正確にはこの座禅法は重量が重い種族に成る程、重荷も増す。それ故にギャルン太は歯を食い縛って耐え続けるので一杯。
(わかるよおおおん、これえええはそもそもおおおう人族や鬼族の二腕二脚と呼ばあああえれる身体構造で上手く足と手を分けてるから可能とおおおおいしてる。俺達四本足には辛い座り方だとおおうと。でええも出家者はこれに耐えずしてこおおおえれからの厳しい修行を耐え抜けないいいんだ!)
 そうして二名は正午を回ってから一の時過ぎても座禅を組んで瞑想をし続ける。気が付くと昼食を摂ったのは正午より二の時に迫る頃だった。
 そこでカメレインは昨日聞きたかった銀河連合についてギャルン太に尋ねるのだった。
「とこおおおろで真島氏いいいん。昨日この建物にうろつく銀河連合はどう成りましたああかあ?」

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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