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一兆年の夜 第五十八話 鹿を指して馬と為す(一)

 ICイマジナリーセンチュリー百七十九年五月四十二日午前八時二分四秒。

 場所は新天神武。
(最近は古式神武も新天神武も未曽有の出家者流入で俺達は困ってる限りだよ)
 齢二十九にして十一の月と十二日目に成る武内カメレオン族の青年はその流入に乗じて早速新天神武でまだ未踏破の地を目指す。
(最後に見たのが人族だから俺は思考も会話も人族特有のそれに近い。カメレオン族は元々、相手の種族に合わせて訛りを変える種族だからな。俺は産まれた時から何も持たないこの種族を大層悔しがったよ。何で相手に影響されて訛りを変えなきゃいけないんだよ、って。でも今じゃあこの会話はあらゆる訛りの研究に活かせてとてつもなく勉強に成ったよ……が、問題はこの訛りは会話すら存在しない銀河連合に適用するとまるで機能しないんだな。さて、これは何が原因なのか?)
 口伝により伝わりしカメレオン族の特性は時として通用しないのが一つ。それが銀河連合。彼らは七百の年より前以上に流れて生命体を喰らい尽してゆく。初めに出会った最初のカメレオン族の雌は種族特有の訛りの変化が見られない事を受けて酷く己達を馬か鹿のように思った。そう、今回の話の主人公である青年は彼女が命懸けで伝えた事を大事に扱って研究する生命。元来、研究者肌の居ないカメレオン族の中では珍しく研究に熱心なカメレオン。出家する理由も又、研究の為。俗世に浸れば待ってるのは仕事に忙殺される毎日。それを省く為に出家し、自由な時間を求めて開拓されてない地へと降り立つ。
(だが、後で考えたら出家者もまた忙しいと聞く。俺は忙しいのを避けるために武内大陸から離れて新天神武へとやって来たのにそこでも又忙しい毎日が続く。好きじゃないのが続いた為に俺は前の仕事を止めて俗世から離れる事をここに誓った……は良いが、坊主はそれ以上に厳しい事を後で知って今にも逃げたくなる己が居たんだな)
 青年の名前はカメレイン……勿論、訛り研究者。滝の山へと登り、遂にそこで神々が眠る建物へと辿り着いた。だが、そこで待つのは眼が赤黒い一般生命?
「あのう、もしや先住民ですか?」そこでカメレインは気付く。「もしや銀河連合!」
 実はカメレインが対峙するのは馬族の筈? なのに己の訛りが一切変化しない事を受けて彼の全身に恐怖が走る!
(オイオイ、俺は衣食住の為の準備はしたけど自衛の準備は一切しない一般生命なんだぞ! こんな偶然にも銀河連合と遭遇するなんて予想付かねえよ!)
 そうして彼が行う行動、それは逃走。勇猛と無謀の区別を理解する研究者故の正しい判断だった!
(このまま奴が消えるまで逃げるだけだ! 木に登るなり、九さ派に己の肌を変化させるなり、そして極めつけは自然の声色にして奴らを少しでも驚かせてやればそれだけで……だが、三つ目は余りにも無謀!)
 カメレインは五の時も逃げ続ける。三つ目以外の全てを駆使する事で!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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