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一兆年の夜 第五十六話 再誕の火 再誕の灯火(九)

 ICイマジナリーセンチュリー百七十八年五月二十二日午前一時四分二十九秒。

 場所は古式神武六影府中央地区六影聖堂。
 水の惑星で初めてと成る府の誕生。その誕生の裏にはある仙者の死が関わる。
「母さん、何とか言ってよ!」
 齢十三にして二の月と二日目に成る神武人族の少年天同十五とごは最愛の母の死を悲しむ。その傍らで十五の頭を撫でるのは齢二十八にして四の月と六日目に成る神武人族の女性天同弓八。彼女は只一名だけ、最後まで古式神武の為に尽力。既に古式神武最後の最高官として政務に当たる。
「生命は何れ死ぬ。母は最期までその悲しみを押し込めて突き進んできた。先に想念の海に旅立った父の為に尽力し、それから父が遺した役目を終えて旅立ったのよ、十五」
「わかってる、わかってるけど……けど、こんなの悲しい。僕はずっと誰かの死を見続ける運命なのか?」
「死を見続けるのは生きる生命にとっての通過点。死を通して先に逝った者達の為に尽力する。まあその話は後でしましょう」十五は気付く……弓八は前髪で隠しながらも涙を流す事に。「最愛の生命が死ぬってのはあたしにとって何よりも辛い事だったのよ」
 それから二名はお互いの肩に寄り添いながら号泣。一名だけでは悲しみを受け止められない大きな物であった……
(実現するよ。母さんの遺した物はまだある。それが古式神武から新たな国家神武へと移行する事。だが、今は母の死を悲しむ事が最優先だろう)

 ICイマジナリーセンチュリー百七十九年二月十八日午前九時零分一秒。

 場所は古式神武首都タイガーフェスティ県中央地区。
 そこはかつて十五の母七弓が演説を行った公園。今では観光名所と成った賑やかな人気土地。
 その中央にて大勢の生命に囲まれて齢十六にして二の月と六日目に成る神武人族の少年天同十五は台に立つ。
「どうも僕は天同十五と申します。此度国民の皆様を起こしさせたのは重大発表をする為にあります。そう、今日を持ちまして……古式神武は三百の年近い歴史に幕を閉じる事とさせます」
「何にゃって!」
「俺達が愛したア国家神武が!」
「如何して今更幕を閉じられましょうか」
「最後まで十五様の話を聞ちゅのだ!」
 ふううう--十五は深呼吸した後、次のように語り出す。
「いや、国家神武は無くなる事はありません。国家神武誕生は五百以上の年より前に行われました。当時は水の惑星で初めてと成る国を誕生させた。何故国なのか? それは我々全生命体が銀河連合と呼ばれる謎めいた存在から守る為に、そして全生命体の希望を背負うという天同生子の理想を実現させる為に建国された。しかし、建国から僅か十の年も足らずに生子の希望はあの銀河連合に依って打ち砕かれた。これが最初に起こった国家神武の大まかな歴史。
 次に誕生したのが生子の弟零の曾孫に当たる天同参花が興した新たな国家神武。それは旧国家神武が喰われて百の年より後に近い頃合に彼が興した最新の国家神武。これは三国分領宣言が行われた年まで実に百二十の年近くも繁栄し続けた。何故か? それは旧国家神武での経験と一兆年の神々の助け、そして一名一名が己一名ではどうしようもない事を理解して連続性を保ってきたからである。だが、国家神武の運命を変えた三兄弟……そう、僕の先祖に当たる星央、男系の先祖八弥、そして三国分領宣言をした七の三名は国家神武を三つの分けた。全ては一つに集約する為に。七の予言通り、真正神武は喰われたが、その種は僕の母七弓が受け継ぎ、そうして父である古式神武の斬弥と結ばれる事で七の予言を現実の物にした。その意味するのは次の通り。
 そう其れが古式神武の終焉。それは別に悲しい事ではない。何故ならこれから新たな国家神武が爆誕するからである。少し格好付けるのは僕が雄の子であるが為さ。そこは笑っていいよ」
 父の血を受け継ぐのか、少々文章校正に難がある十五。それでも彼は決める時は決める雄。
「でも僕達が考える新たな国家神武……それは真古式神武。少し長ったらしい名称なのは仕方ない。でもちゃんと多数決で再審議も繰り返して決めた名称だ。その名前の意味は次の通り。
 真正神武の魂を確かに受け継ぐ意味としての真……母の血は間違いなく天同星央から続く連続性を秘める。そこを誰にも異論を挟ませはしない。そして古式神武の魂を受け継ぐ古き格式……これは遥か先代の豪から、いやその弟君に当たる武から連続して受け継がれる純粋なる男系の証。少々回り道もしてきたが、僕の血は……僕の父方は辿れば天同武へと至る。そうした意味での古式さ。
 そしてその二つは交わる。交わる時こそ……ここに新古式神武は爆誕するのであります!」
 決して良い演説ではない。けれども新たな国家神武の国民と成った生命は拍手喝采を送った!
「良いぞオ、十五様!」
「それでこそだぶ!」
「格好付けなくても良いんですね? 十五様はそれでこそですな?」
「イィ今までで一番ですな」
 十五は涙を流す。それを拭くのは齢三十一にして四の月と十日目に成る神武人族の熟女天同弓八。彼女は新古式神武の首相として就任する予定。
「全く最高官たる君がそんなんじゃあこの先どうするんだ?」
「大丈夫だよ、姉さん」
「首相と呼びなさい」
「別に良いだろう、まだ政務活動するんじゃないから」
「全く君って生命は」
「それよりも新婚旅行はまだか?」
「五月蠅いわね、生命の勝手でしょ」
 ハハハ、姉さんらしい--実は婚約するのは弓八だけでなく、十五もまた既に婚約し、新婚旅行の計画を立てようとしていた。
(これで良いんですね、七。僕達は新たな道を進み始めた。その先に待つのは……ここと新天神武が一つに成る時。今は再誕の喜びを分かち合うので精一杯さ。でも何れは僕達はあの銀河連合の脅威を打ち破って希望を掴み取る。何れは--)
 ここに再誕までの話は幕を閉じ、後日談が始まる……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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