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一兆年の夜 第五十六話 再誕の火 再誕の灯火(七)

 五十八日午後十時四分二十一秒。
 場所は旧六影県第五南地区。
 クソウ、もう限界ダアアア--と既に一階では銀河連合を仕留められない程刃毀れを起こす四足歩行専用の雄略包丁で周りを取り囲む獅子型を相手に抗うチーチョス。
「離っち放っても、見えない場所に隠って放っても……どうしてもそっじゃあ心が痛むのか」
「全くそれじゃあ意味ないでしょ?」と齢二十五にして三の月と三日目に成るラテス山椒魚族の糸風サンショウ七は雄略鋭棒で何とか山椒魚型を倒してゆく。「罪深い心と葛藤するからこそ銀河連合は其処を突くんでしょ?」
「言うん通りだ、サンショウ七のな」齢三十三にして四の月と三日目に成るゼノン栗鼠族の中年式部リッ堂はフル降と共に望遠刀で空から降る鳩型の群れを狙撃し続ける。「でも物量の差には流石に質ではどうんしようんもないし、罪深さを気にしてるん場合でもない」
「うわあああ、来ーるな来るなー来るーな!」
「落ち着かれよう、フル降!」と齢三十にして二の月と二十八日目に成るエウク燕族の木戸デュー台はあらゆる方向より嘴による打突を仕掛ける鳩型の群れを躱しつつも距離を離そうと必死であった。「こちらも落ち着かれないと叩き落とされよう!」
「おらあやわ、そりゃああよの!」一方で素足のみで事態を難なく対応する蘇我パタ八十は余裕ある言葉を吐く。「拠点型とやらやまだまだいそうな指揮官型に比べりゃあ強くないのは何体罹ろうと強くないのだやわ!」
 全くパタ八十には困った物だよ--とパタ八十の元へと駆け付けるチーチョス。
「別に俺は問題ないよの」
 そうもいかん--と頑なにチーチョスはパタ八十の加勢をする。
「むしろ、その包丁でどうにか成るんやわ?」
 補給は尽きた後だ--と現状がどうしようもない事も告白。
 そう、バーバリッタ分隊の現状はどうしようもない。ここ第五南地区では既にバーバリッタ分隊以外の部隊は銀河連合の腹の中に収まった。他の地区でもやはりバーバリッタ分隊のように孤軍奮闘するしかない状態。遠征部隊の数は既に千を切ろうとしていた。
 まだなのですか、斬弥様あああ--チーチョスは主の帰りを待つのであった。

 五十九日午前二時一分十秒。
 中央地区で尚且つ、真正神武聖堂があった場所に斬弥は辿り着く。既に彼の衣服は限界近くまで破れ、包丁も既に鞘を無くした状態。雨は降る。それは穢れの雨。斬弥の体力を消費させる為の泥の雨。只でさえ泥塗れの斬弥に尚且つ穢れを纏った雨は容赦も知らない。
(物影と呼べる物は何処にもない。流石は銀河連合の都合が支配する首都跡。蠢く微生物種族共に似た銀河連合共も俺を倒そうと必死な訳だが)
 ただ待つだけの斬弥ではない。後ろを振り向く暇はない。何の為に第一子弓八を帰したか定かじゃない。全ては退路を視ない為……そうして斬弥は銀河連合が詰め込まれた真下に落下--と同時に四、五体を両断!
「待たせたな、銀河連合共。聖堂への観光は今日を以って俺が最終日とする!」
 既によ美がない古式神武包丁ではあったが、斬弥の剣戟は泥の雨だろうと刃毀れさせる事も許さない。銀河連合の錆びを起こす血液さえ付着させない程の剣戟! 斬弥の腕は既に頂点へと達しようとしていた。
(チイ、上手く乗っかるには後数回斬撃を要するな)
 風雷の舞と呼ばれる最新の舞は多用せずに従来の舞で機会が来るのを待つ斬弥。例え都合が支配する地であっても斬弥には機会が訪れる事を知っていた。いや、その気会を強引に抉じ開けた……そう解釈しても良い程に十一体斬った所で動きが鈍い事を確認した斬弥はすかさずそこに飛び乗る。
(後は一兆年の神々の加護を!)
 其れもまた博奕。されど博奕。不思議なのは彼の博奕はここに来て更に拍車を掛ける。それが三体目の型に乗っかると同時に風雷の舞を仕掛けて音の速度へと到達--一気に拠点型の開いた口に飛び込んだ!
(ヘヘヘ、武器とはこの時に使う物。俺の運はここで尽きた。後は命を何処で使うか……ここじゃないもっと奥に!)
 死を覚悟するのはここではない。もっと前に覚悟は決めていた。一時期生きる覚悟もしていたが、それでは後ろを振り向いてしまう。ならば……と斬弥は生きる覚悟の糧を古式神武に返す事で死の覚悟だけで向かおうと決めた。百万以上もの英霊達の魂を背負って……そして親友であるマルータの遺志を継いで!
(ようやくだ。ようやく俺は辿り着いた。後は……おっと、まだ指揮官型が居たもんだな)
 斬弥が見た指揮官型……それは百獣型の体形でありながら指揮官型に相応しい姿を維持したそれだった。
「風雷の舞はお前は知ってる筈だが、俺はそれを使う気はない。でもな、指揮官型。俺はそんな最新の舞を使わずともお前を倒せる」
 その自信は何処から来るかはわからない。けれども斬弥は確信していた--今の自分ならどの舞も使わずとも技だけで圧倒出来る事を。
(さあ、やろうか。何処からでも加勢してこい。俺は全てを弾いてやるからな)
 斬弥の肉体から青い光が放たれる……それは!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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