FC2ブログ

一兆年の夜 第五十六話 再誕の火 再誕の灯火(一)

『俺は斬弥。勿論、お前にはわかるよな。
 もう直ぐ俺は帰って来る。それまでに弓八、七斬、斬美、斬実、斬三、九七、九六と
 後数の月より後に産まれて来る双子の為にも俺は帰って来なくてはならない。何故なら
そいつらこそ俺達天同家が求めていた世継ぎだと思ってな。だからそれまでに七弓、
しっかりと健康には気を使え。もう三十九歳だろう。十分過ぎる程の高齢出産さ。そう、
俺達生命にとって、俺達仙者にとってはな。おっと仙者で言いたい事があるがそれは
順を追って説明しないと良くなかったな。
 じゃあ先ずは真正神武の奪還状況だな。今度で三回目。数は二回目の三十万に
比べて二十万多い凡そ五十万。それから四中にもある銀河連合真正神武防衛網の内、
十五まで突破した。十五だぞ。前に比べて七多い。立派な進歩だ。まあほんの少しだけ
じゃあ今まで死んでいった三十万もの英霊達は満足しない。彼らの為にも今度こそ
全て奪還しようと試みたんだが、奴らの防衛網はそう簡単じゃあないな。それに俺の所
に居た歴戦の戦士であるチーチョスが土に還ってしまった。もうあいつ以上に素早い
チーター族はもう居ない。俺はあいつの死にざまを見てこれ以上は無理だと判断した。
 速攻戦を得意としたあいつだからこそ三回目は上手く行った。舞台の運用は全て
あいつが引っ張るからこそ果たせた。だが、あいつが死ねば迅速な戦いは考えねば
成らなくなる。全く恐ろしいぜ、今度の指揮官型は。俺は十二回も戦った。だが、何れ
も決着がつかず。そいつに依って絶体絶命と成った俺は死ぬと思ったその時、あいつ
が駆け付けて。そうだ、俺が死なせたような物だ。俺がもっと強ければチーチョスは
死なずに済んだ。俺の心が折れてしまっては兵の士気に関わる。都合への影響
にも関わる。だからこそチーチョスの死と共に引き返す事を選択したのだ。
 何、帰って来る数だって? それはわからん。銀河連合には隠密戦を得意とする
種類も居る。そいつらの奇襲にも備えないといけないからな。依って引き返す事を
選択して実行に移した時点で数はまだ三万は居た。正確に数えてはいないが、
それくらいさ。だから首都に帰還するまで銀河連合の奇襲を凌げるかが重要さ。
俺だって生き残れるかわからん。
 だが、生き残るさ。何故なら俺には生まれて来る双子だけじゃなく、
弓葉、七斬、斬美、斬実、斬三、九七、九六、それにお前も居る。帰るべき場所を守る
仙者のみんなが待ってるんだ。こんなに嬉しい事はない。俺は幸せ者だ。
 そうだ。仙者で話がある。どうやら俺達から産まれてくる子供はみんな仙者だな。
これは一体何が起こってるんだ? 君は知ってるのか? 帰ってきたら君の意見
を聞きたい。
 話はここまでだ。俺は必ず帰って来る。それまでは神武聖堂を必ず守ってくれ。
                               愛する斬弥より』

 ICイマジナリーセンチュリー百七十四年二月十四日午後十時五十八分六秒。

 場所は古式神武首都タイガーフェスティ県中央地区古式神武聖堂。
 そこは天同七弓の間。本来、夫婦は共間が普通ではある。だが、出産を控えた雌は別個の間で寝る必要がある。何故ならそこは古式神武医務班が何時でも出動しやすいようにする為。共同だと瞑想に支障をきたす。故に彼女用に用意された間にて臨戦態勢を取らなくては万が一の事があれば責任は取れない。
 さて、この間にて齢三十九にして五の月と十三日目に成る神武人族の老婆……いや、この場合はもう老婆は礼を失するかも知れない。既に彼女とその夫に依って年齢相応の呼び方の基準は変わりつつあるのだから。それでも従来の呼び名を重視するならまだまだ頑張っても五十代しか生きられない全ての生命体に適用しておこう。
 それじゃあその熟女・・こと天同七弓なゆみはお腹を膨らまして凡そ一の月以内に出産するであろう双子を待つ日々。場合に依っては仙者切開の可能性も有り得るこの膨らみ。彼女の主治医を務めるのは齢二十にして九の月と六日目に成るオゲネス鼠族の青年は若いながらも再起活発と医学の師から認められた神の童。但し、再起活発ではあるが臆した病に罹った為に産科部門でしか力を発揮出来ない医者。故に彼はそれ以外では混乱必死でまともに活躍出来ない困った生命。それでもこうゆう部門に於いては彼の助けなしにはまともに機能しない。故に七弓は彼に全幅の信頼を置いて会話する。
「いやあ、七弓様には参りまちた」
「良いのよ、チュルーダ。ロナウジーニョ家の家訓に従ってあたいの娘達を助けなさい」
「え、もう勝手に娘二名にするんでちゅか?」
「ええ何となく。だってこの子達はあたいに似て妊娠九の月経っても出ようとしないわ」
 そ、そうでちゅか--それを聞いてチュルーダは困った表情をする。
「ああ、斬弥きるみがこれを知ったらまた複雑な気持ちに成るでしょうね」
 命懸けで帰ってきても待ってるのは喜ぶべきか悲しむべきかわからない第八子及び第九子の誕生。七弓の言う通り、二の週より後に仙者切開で出て来たのは皆雌の子。名前はそれぞれ七美ななみ七弥ななみと名付けられた。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR