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一兆年の夜 第九話 大地は枯れて、生命は活力を失う(三)

 九月六十五日午前十二時五分九秒。
 場所はキュプロ町南西地区四番地真島労働派遣本部。
 四番地で最も大きい建物である真島労働派遣本部。本部長を務めるのが
真島ポニー太。ギャラッ都の二つ年上の従兄弟にあたる。ギャラッ都は今、ポニー太がいる四階の本部長室におり、羽毛が一杯詰まった椅子に座ってくつろいでいた。机を挟んでギャラッ都と向かい合うようにポニー太が同じ椅子に座っていた。
「何度も言ううが戦いいのためにい要員を派遣んするなんてえ認めないぞお! 
ギャラ坊! いつまでえも我が儘あが通ると思ううなよ!」
「ポニー兄者! もう少しで俺達のエウク町を取り戻せるんだよ!
 頼むむからあこの通りいお願いいだ!」
 ギャラッ都は深々と頭を下げるが、ポニー太は首を振らない。
「僕は別に戦いそおの者をお認めないいわけではあない。ただあ僕はあ部下を
思ってえ首いを振らなあいんだぞ!」
 ポニー太には大事な部下がいる。その部下一名一名を思って彼は反対している。ギャラッ都は既に気付いてはいたのだが、それでも譲れなかった。
「それは十分わかあることだあ!
 でもおな! ここで取りり返さなけれえばどこでえ取り返すう!
 真島派遣本部創設の切っ掛けになったあのエウク町を!」
 真島派遣本部創設秘話。代々真島家の者だけしか知り得ない事だ。
 創設の切っ掛けは九十八の年より前、当時齢五の子供だった創業者真島マル子はある時上空配達本部で働いていた齢三十を超える燕族の中年と出会う。マル子は中年との話を通じて配達本部の厳しさと同時に誇り高さを知った。それ以来彼は配達員になるべく必死の努力を続けていく。
 十三の年より後、彼は陸上配達員になった。配達員となったマル子は五の年もの間に及ぶ下積みの後、彼は上空流通商業初代総長陽孫諾にスカウトされた。彼はそこで陸上流通商業を設立。配達員時代の経験を生かした戦略で企業を大きくしていく。
 企業設立から十の年より後、陸上流通商業を部下であるアデス羊族の
メレエ・メヒスイトに譲り渡す。同じ年にエウク町南東地区三番地に真島派遣本部を設立。要員不足で発生する過労死を抑えるために設立された。
「……俺達の先祖であるるマル子のお夢でもああった睡眠不足をお少しでえも削るためえに設立されたあって事だよお! ただあ子供のお頃の夢をそのままあにしてなな! わかるよなあ、ポニー兄者!」
 ポニー太もその話は知っていた。何故なら彼は真島家の馬である。それ以上に彼は本部長だ。知っていないと身崩しでしか成らない。
「だからといってえ要員をお戦いのたあめに派遣するることにい首は振ららないぞ!
例ええそれがあ先祖の思いい出の場所でえあったとおしても、だ!」
「思い出えの場所おだからこそお俺は、いやや俺達はあ取り返さなあければ誰があ取り返すう!
 息子のお代か! 孫の代かあ! それれとも曾孫、夜叉孫お! 子孫んに借りを残しいてどうするる! いいのかそれでもも!」
 ギャラッ都の必死の訴えにさすがのポニー太も心が折れたのか--
「考えることはあしてやるるよ! ただあし、僕は戦いに使ううのは了承しいないことだけはあわかってえくれ! 部下をお戦地に赴くうのは心があ痛む!
 でもお、ギャラ坊の意見をお無下にはあ出来ないい! その為考えることは
するるよ! それえでも満たし足りないかあ?」
 ギャラッ都の顔に諦めの表情が浮かぶ。
「そうか。そうだあよな! ポニー兄者にいは頼まんんよ! 戦ってえくれるものはあ他にい当たってえみるよ! 急にい頼み込んでえ御免な! じゃああ仕事頑張れよよ!」
「ああ、期待を外してえ済まなあかった! これかららはそううならないよおうに気を付けるるよ! 身体にい気を付けえながらまたあ来いよ! ギャラ坊があいないと
寂いしいよ!」
 ギャラッ都は前左足で手を振った後、前右足を器用に使って取っ手を回して扉を
開けて部屋の外に出た。
「あの世にいるるマル子爺さんは僕にいなんて言ううだろう? 怒るのかな?
 いや、怒るだろうな。いけないな、やっぱり僕は戦わなきゃならないな!
 神々のためえでもありり、町のためえでもあり、生命いのためでもあり、先祖のお
ためでもあり、家族のためでえもあり、一族のおためでもおある。
 そして何よりい自分自身をお見つめるためにもお!」

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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