FC2ブログ

一兆年の夜 第五十五話 再誕の火 日は火を呼び寄せる(四)

 二月十三日午前十一時五十八分二十八秒。
 斬弥率いる遠征部隊に向かって何かが飛来--それがある軍者の頭部を命中!
「フ、ゥ、ン……」
 飛来した物の直径は団子虫寸法にして凡そ二……それをでこの中心に受けたのはあろう事か筋肉鍛錬したばかりのフッドル。彼は後ろに弾き飛ばされながら想念の海に旅立った。
「フッドルウウウウウウ!」
「銀河連合端既似--」
「うッわあああ、フッドルの遺体が勝手に!」
「飛来した何かも生きているのかねええ!」
「落ち着っけ! これは銀河連合の戦法だと落っち着け!」
 遠征部隊の誰もが誤った算出を弾き出した。そう、戦いは陣地の外で唐突に始まる。それに誰もが想定しなかったが故に真面目に結構の二の分より前まで緊張を高め合ってしまった。
(何て事だ。俺とした事が肝心な事を忘れていた。マルータは生前、俺に言ってた事を……おのれ!)
 だが、悔やんでも始まらない。戦いはこうして始まった。彼らが為すべきなのは何としても銀河連合に変わったフッドルを倒す事。それは自分達にとって胸の痛む話ではある。
「はあはっあ、倒しましった」
「倒しました……じゃなかろう。こんなの苦しかろうよ」
 それでも俺達はやるしかなかったんだぞ--因みに銀河連合化したフッドルに襲われて五名が重軽傷を負った。
「斬弥様。重傷を負った者達は--」
「当然、帰せ。彼らが居ては余計な犠牲者を招くからな」
「まさっかあの演説から舌の乾かっぬ内に--」
「一言多いんだよ、コケ都留。今は後ろを向いてる場合じゃないからな。死んだフッドルや先に送り返した奴らの為にも俺達は進むんだよ」
「そっすね。そ、そっしま--」
 危ない、コケ都留のおっさん--そう叫ぶチーチョスはコケ都留を左に突き飛ばした!
 その時、何かがチーチョスの口元目掛けて飛来。速度はチーター族の全速力を凌駕。それを躱す余裕のない彼は受けて--
「いいや、チーチョスは掴み取った!」
 御名答--上と下の鋭い歯で器用に掴み取ったチーチョスは噛み砕いてから外に吐き出した後、同じチーター族の少年から受け取った水筒を口一杯まで飲むと一気に吐き出した!
 はあはあ、心配はない筈--と若干弱気なチーチョスはそう口にする。
「無茶於し居る牙、助かったぞ」
「それはわいの台詞っで」
 フッドルには申し訳ないが、あいつが水から死んだ事で俺は当たる瞬間を読む事が出来た……あいつには申し訳ないが--と早口訛りなチーター族らしからぬ流れの良くない口振りのチーチョス。
「だっが、気を付けっさ。もしも体に異変が起きたら直ぐに誰かを呼っぶだ。良っな?」
 俺を誰だと思ってるんだ、キシェールの末裔--とキッズィに強がりを見せるチーチョスだった。
(気を付けるのは寧ろ俺の方だ。今度のはたまたま対応出来たから良かった。対応の早い事で名を挙げるチーチョスだから良かった。でも俺だったらあれを何とか出来たか? いや、俺には自信がない)
「また迷い於起こされてますね、斬弥様?」
「良くないか、迷ってばかりで」
 いえ、迷い端あって当然出あります--と変わらず迷う事は良いと口にするシデンドウ。
(だが、ここで迷ってる場合じゃない。フッドルの為にも進むんだ)
 一名たりとも犠牲者を出さずに完遂する……それはフッドルの死とそれに続く五名もの重軽傷者を出した事で断念。さて、暗雲立ち込めるこの大事業は果たして多大なる犠牲を払わずに済むのか? それとも--

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR