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一兆年の夜 第五十四話 再誕の火 男女は運命に導かれて(二)

 一月三十四日午前九時十五分八秒。
 場所は首都タイガーフェスティ県中央地区第三八理やつり公園。
 そこは古式神武初代象徴である天同恵弥めぐみが亡き姉を忘れないように建造するよう当時の歴代最高官達に申し入れた八つの公園の内の一つ。だが、当時の情勢は今みたいに真正神武が喰われるよりも幾分か大丈夫とはいえ公園を作る為の余裕はなかった。最初の公園が作られても数の年より後にその町で銀河連合が襲来して廃公園と化した。もっと良くない時には村或は町が喰われて公園その物が泥と化した事も。そんな波乱な事が起こりながらも首都に建てられた事もあってこの公園は今も残る。もしかしたら初代象徴天同恵弥は死して魂と成りながらもこの公園を守護していたのかも知れない。
 さて、この公園の広さを大体記そう。凡そ鯨体型一万。尚、鯨体型とは土地の広さを表す尺度として新天神武にて採用。一般的な鯨の全長は成人体型凡そ十六から十七。更には横幅が成人体型三から四。それらを掛け合わせた数値は面積にして大雑把に成人体型六十六から六十七。そうする事で算出する。だが、こちらの尺度は少々弱点がある。そう言った弱点は公にはしないが、後々成人体型と共に時代が経ると共に使われなくなると言われても過言ではない。そんな風にして公園の広さを算出。
 それじゃあここで何が起こるのかを紹介しよう。発起者は天同七弓。彼女の独断に依り、ここで何かが開催される。それは腰の重い首脳陣を動かす為に彼女は古式神武国民に対して危機感を募らせるよう訴える為であった。そんな彼女がどうしてこのような事が出来るのか? 要因は七弓の傍に立つ斬弥だろう。斬弥は七弓が活動出来るように首脳陣に訴え、見事それを実現させた。
「あの方はーやはーり」
「確か真正神武の弓葉様の唯一の子供で在らせられるん」
「ああ、七弓様だったのでっすね」
「でえもお、どおうしいてえ斬弥様が傍あに?」
「それは勿論っぐ、七弓様と婚約する事を発表すっ為だっざ」
 と公園周囲に集まった国民凡そ十万名は混み入りながらもそれぞれの会話に終始する。始まるまで私語が止まない。始まれば終わるまで私語が止まる。それだけに全生命体は話に集中する。
 さて、始まる時は誰が合図するのか? それは斬弥自ら前に出て古式神武包丁をお日様に向けて抜いた時。蛇に足を付けるようだが、もう一つ加えるなら次の通り。
「御覧の通り、俺は天同九八くやの第一子斬弥である! 今回は真正神武の生き残りにして最高官を務めた俺の遠い従姉妹」更に追い上げを掛けるようにこう言ってのける。「天同七弓が俺の、そして彼女が愛する全生命全てに発信しにここへ来た!」
 これがここに集まる古式神武国民の静寂を約束する出だし。そこから先は斬弥も後ろに下がって銀河連合の襲来に備えて他にも守護に回った軍者達と共に構える。さて、静寂が確認されてから七弓は前に出る。
(七弓は緊張してるのは良くわかる。良くわかるから俺は七弓の為に奴らが何かするのを警戒しなくちゃいけないんだ)
 斬弥の思った通り、七弓は確かに緊張で体が震える。本来慣れてる筈の演説前なのに震える。原因は自ら逃げて来た事にある。だったら斬弥は静寂の中で何かするのか?
(いや、彼女に余計な重圧は与えたくない。彼女は何もない生命と同じ。だったら何も手を足を鋏……を貸さない方が彼女の為にも成る。だから七弓……自力で良い。少し滑っても俺は別に良いんだ。俺は未だに滑ってばかりな生命だしな)
 と斬弥は何もしない事を選択した。七弓はそれに気付くと直ぐに両眼を瞑って笑みを零す。それを見た一部の国民は声を出そうとしたが……そんな事は罪深い、神様のお叱りが来る、周りを考えろ、といった具合に自らに納得させて見逃した。その結果、七弓は眼前の国民も真正神武の国民と同じく心優しい事を改めて感じ取って眼を開くと同時に勇ましい表情と成る。斬弥は後姿から七弓の勇ましい何かに勘付いて思わず微笑んだ。
(やっぱり七弓は凄い。俺にはとても真似出来ない)
 そう思い、安心して斬弥は銀河連合の襲来に備えて構え直した。
 こうして七弓の演説は幕を開いた--

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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