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一兆年の夜 第五十三話 再誕の火 真正神武最後の最高官(五)

 午前十時一分八秒。
 場所は変わらず。
 七弓が披露するのは彼女の先祖であり、真正神武を起こすきっかけにも成った天同星央が得意とする『剛胆の舞』を披露。それは星央に依ってより確固たる動きへと昇華し、星央の第一子星季、第三子美世に依って体系化されて三つの分類に変化。剛胆でありながらも星央の動きを忠実に再現した『剛胆の舞・央』。常に全面より向かってゆき銀河連合による攻撃を全て受け流しながら返すという基本中の基本。
 二つ目は剛胆でありながらも若干疾風の舞に近い動きで更には星央の第一子星季の動きを忠実に再現した『剛胆の舞・季』。三名の子供の中で唯一仙者ではない星季が辿り着いた動きでこちらは戦況に合わせて狙う相手を選び、正面から撃破するという物。一見すると疾風の舞に近いが、やはりこれも剛胆の舞。戦況に合わせて選ぶ為に体力の消費は激しい物の銀河連合からの攻撃に対しては何時如何なる時でも先手無しを心掛ける。故に激しい動きをしながらも防御を重視する姿勢は変わらず、尚且つ正面から対峙する事を忘れない玄者くろもの向けの動き。
 最後は剛胆でありながらも通常の剛胆以上に静かな動きをして反撃時には爆発するように各個撃破を得意とする『剛胆の舞・美』。こちらは星央の第三子美世が得意とする仙者の呼吸法を知る者しか出来ない動きで尚且つ剛胆の舞・季以上に体力の消費が激しい為に真正神武の歴代最高官は仙者以外の使用を認めない。なので七弓はこれの使用を許される。だが、こちらの動きは普段が静かであって攻撃する時に力を解放する為に実戦で使用するには余りにも難易度が高く、真正神武に居た歴代の最高官でも実戦で使用したのは名前の元に成った美世只一名のみ。それくらいに実戦では多用されない動き。それだけに真正神武で毎年行われた様々な行事に於いてのみ美世以外の他の最高官(主に元々体の弱かった初代最高官輝星以外は採点でのみ披露してきた。
 さて、長々と説明は済ませた。つまり七弓は剛胆の舞に於ける三つ全てを古式神武国民及び新天神武から来た生命又は喰われた真正神武の生き残り達に余す所なく披露したのであった。
「凄い、人族なのはわかるけど……俺様はこの芸者の信者に成りそうだ」
「凄いっけ。とってもなく剛胆の舞っち」
「これーは、まさーか。で、でーもそれはなーい筈」
「スゴイデスネ。マサカクワレテシマッタトキクシンセイジンムサイコウカンガツカエルトイウミッツノゴウタンノマイヲヒロウシテシマウトハ」
「どうゆう事だいーい? 特にーい美世様の使用されたーア動きは例え人族でも使用は認められないーイ筈」
 何かに気付く生命も居る模様。それでも感嘆の声がそれを掻き消す。
「どうです。あたいが見せた剛胆の舞。これは天同家に伝わりし三つの舞の内の一つである剛胆の舞。それらは星季様、美世様に依って三つに分かれました。一つ目が本来の剛胆の舞で在らせられます星央様の名前に因んだ『剛胆の舞・央』。基本的な動きを忘れず、先手無しを忠実に守られております。
 二つ目が星季様が八弥様に敬意を称して動きに取り入れた『剛胆の舞・季』。こちらは当てると離れるを併せ持つ実戦向けの動き。普段、銀河連合と対峙する時はこちらの動きが目に付くと思われます。
 最後に美世様が使用する余りにも体力の消費が激しくて秘伝すら仙者の中でしか伝わらないと謳われる『剛胆の舞・美』。名前の通り美しい動きでありますが、実戦で使用為さったのは美世様只一名だけで他の仙者は行事でしか披露しないと伝わる幻の動き。故にここでお披露目するのはあたい自身が亡き七弓様の姿を見ては自分なりに改良を加えて今日実現する事が果たせたんだよ」
 と七弓は自らの素性を隠して説明した。これに対して周囲の生命はこう囁くのであった。
「そうだね。見て実践して実現したなら本当ね」
「馬か鹿かで納得なさるのではなかろう。特に美世様の動きは見ように実現出来よう代物じゃないでろう」
「というううか喋り方が何処かで聞いた事あああありそうな」
「確かにだ、七弓様の母上でいらっしゃる弓葉様も余り綺麗な喋りが出来ないと聞くだ」
 そう、それ--これはチーター族の訛り故に敢えてそうした。
「でも異なぶ生命だったらどうすぶ?」
 とやはり周囲の生命達はその芸者が七弓ではないかと薄々気付き始める。
「では次に古式神武の代々の仙者が魅せる『疾風の舞』を披露したいと思います」
 いや、その舞をするん前にちょっと来て頂きたい--と観客の中に齢三十にして三十日目に成る神武猿族の中年が前右足を出して七弓を連れてゆこうとした。
「用事? 早くしてよね、あたいは必要じゃない事に時間を掛けられないから」

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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