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一兆年の夜 第五十三話 再誕の火 真正神武最後の最高官(四)

 午前八時十三分六秒。
 場所は未定。
 六影県を中心に来たに広がる真正神武。だが、仁徳島は既に銀河連合で埋め尽くされた。大陸藤原に至っては埋め尽くされた仁徳島を抜けないと辿り着けない。おまけにそこが無事である保証は何処にもない。天同九星の母である藤原清花が一生を過ごした場所に到達出来ない歯痒さを七弓は痛いほど理解する。悔しい程に彼女は生きてる事に憂いを持つ。そして眠れない程に悲しみで包まれる。
「眠りなさい、七弓様……ゴホゴホ!」既に銀河連合が作り上げた泥が全身を冒し出したのか、ギデロシウスは既に限界を迎えようとしていた。「心配なさらず似。わし端年じゃ。大事那七弓様牙生き残る事牙出来ればそれだけ出幸せだ」
 それでも七弓は目を瞑りながらもギデロシウスの身を案じる。
「老いた者は若い者の盾と成って果てる……それでもあたいはギデロシウスも大切な臣下よ。下手な事は止めだ」
「です科羅お眠り於」
 それでも眠れない七弓。何故眠れないかを問われると次の通りと成る。
「それは出来ない。折角、母上を含めた最高官が守り抜いて来た真正神武が銀河連合に依る消極作戦に依って少しずつ牙城が削られて最後に大陸藤原以外の全てを包んでしまい、ここを除く全てが泥に穢されてしまった。あたいは何て馬か鹿なんだ。どうしてあたいは何も守れなかった。どうして眠りに就けるのだ。神様はみんなあたいを責めたくて仕方がないのに。どうしてあたいはこうしてギデロシウスの命すら吸い取って生きようとするんだ。誰も彼も教えてくれない。どうしてあたいを残してみんな先へ行こうとするんだ! あたいはそれが耐えられない。あたいは、あたいは--」
 その時、老者の右平手打ちが炸裂。七弓の意識は途絶えた。
「申し訳ありません。銀河連合端どうやら……ゲホゲホ!」平手打ちした掌に集まる鬼族の赤い血。「ここ端わし牙七弓様乃快適那夢作り似励んで見せましょう!」
 くの字に折れ曲がったこん棒を右手にギデロシウスは最後の戦いに臨む--

























 午後一時四分十五秒。
 銀河連合に依って齎された雨は大地を穢す死の雨。これを浴びた生命は病を発症して死に至る。その雨を死に体同然の巨体で覆う鬼族が一名。七弓の瞳が開ける時……七弓は彼に亡骸に対して涙を見せない。
「これはギデロシウスがあたいを気遣って」七弓は涙を堪えながら言葉を続ける。「或はあたいを平手打ちした罪を償う為に体を張ったんだね。良く理解したよ。貴方のその命の輝きを」
 ギデロシウスはもう答える事はない。わかっていても七弓は言葉を続ける。
「ギデロシウスだけじゃない。これまでにあたいは多くの生命に助けられた。ここまで駆け抜けるまであたいは忘れていた事があった」未だ涙を堪える七弓は更に言葉を続ける。「ジンデンズもチースタンもそれから……駄目だわ、もう泣いて良いよね?」
 それでもギデロシウスは答えない。
「まだだね。全くあたいは弱いんだから。あたいが、あたいが」限界まで涙を堪えて言葉を続ける七弓。「あたいは弱いからこそみんなに助けられた。みんなが強いからあたいの為に命を投げ出す事が出来た」
 とうとう涙腺は崩壊。少しずつ涙は流れる。それでも言葉は続けられる。
「まだ泣いてない。まだ泣く時じゃない」涙は出ても意地を張って言葉を続ける七弓。「あたいは弱いからこそこうして生き延びたんだね。だから、だからもう泣いて良いんだよねええ!」
 七弓は号泣--凡そ二の時も涙を流し続ける!

 午後四時五十八分十五秒。
 雨は三十四の分より前に止む。僅かな時間でギデロシウスの亡骸を埋葬する。この手際の良さは正に仙者。どんなに抗っても七弓は自らの存在と使命からは逃れられないと気付く。それから一の分もの間、黙祷。
 それが終わると雨雲を頭上にしながらこう叫んだ。
 オオオイ、早くあたいを連れて来るんだよおおお--真っ直ぐ、そして前向きに古式神武の居ると思われるあの雄に呼び掛ける!
 それから雨は降り出す。だが、七弓が居る箇所のみお日様が味方をして当たる事はない。これも一兆年の神々が為せる術? それとも七弓が見せた奇跡なのか?
「どちらにせよあたいはここで死ぬべきじゃない。まだ彼との約束を果たしてないんだからね」
 天同七弓は古式神武目指して走り出す--例え穢れの雨だらけの大陸であろうとも!

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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