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一兆年の夜 第五十三話 再誕の火 真正神武最後の最高官(三)

 午前三時六分五十三秒。
 場所は不明。いや正確には七弓でさえもわからない泥の大地へと足を踏み入れた。彼女の服は大事な部分こそ見えない物の破けは激しく、とても国家の最高官たる姿ではなかった。
「チースタンもジンデンズも死んだ。あたいだけは生き残った。この無様な姿こそあたいの弱さ。それにこの泥は容赦なくあたいの指に変な具合を起こしてゆく。これは健康に良い泥ではない。銀河連合の排泄物から出た穢れた泥なのだ。作物の育成を快くさせない泥なのだ。当然、生命体であるあたいがこれを踏み続けるのは健康を損なう事正しい」
 と独り言を口にする七弓。だが、この沼を越えないと生き残った仲間達が隠れ蓑にする何処かに到達する事も叶わない。彼女は我慢して穢れが進行する沼を進み続ける。それが徐々に足の指の神経信号に溝を作ろうとも。
 そんな彼女の努力を大笑いするように沼の底より顔を出す蛙型。彼らは幼生型で七弓を囲んで彼女の進路を妨げに入る。
「そこを退くのだ、銀河連合!」
 言われて聞くようなら今頃生命は銀河連合を倒そうとは思わない。故に彼らは反対に七弓を転ばしに掛かった。しかも前進を泥で濡れさせる事で益々穢れを纏わせようとするのであった。
「気持ちの良くない感触。それに……ゲホゲホ! 爪先から入ってくるこの吐き気、催し……これは生死にと変わらない」
 何度も立とうと試みるが、その度に蛙幼生型がそれを防ぐ為にとうとうその泥の穢れに肉体の自由が利かなくなった七弓。それは意志ある七弓の命令すら拒んでしまう程に穢れは深刻であり、七弓の精神すらも穢れで纏い出す--意味は生きる気力が徐々に流れて行き、致命傷でないのにも拘らず最後は生命活動の全てが止まる事。
 その様子を確認した蛙型一行はとうとう捕食を開始--














「……に於為さってる科!」
 七弓の耳に届く声。それは気のせいなのか?
「……端何於為さってる科!」
 まだ聞こえる幻の声。それは果たして幻の聴こえか?
「七弓様! 何於為さってる乃です科亜亜!」
 いや幻の聴こえではない。七弓はそう断定--すると今まで精神および肉体にまで進行していた穢れも僅かな生きる希望を糧に主の期待に応え始める!
「その声……恐らく齢四十二にして十一の月と二十日目に成るテネス鬼族のギデロシウス・ダッジャールか!」
 その通り出あります、七弓様--老年は蛙型を始めとした周囲の銀河連合を折れ曲がったこん棒で叩き倒した!
 それから七弓は立ち上がり、ギデロシウスの胸元に身を寄せた。
「良くぞ耐え抜いた……ではわしが運びますのでどうか楽にして下さい」
 七弓は心配する。自分が原因でギデロシウスの身に危うさを残す事を。
 一方のギデロシウスは七弓の全身を覆う泥は老体に鞭打つモノだと知っていた。
 だが、二名はそれを承知で互いに果たすべき事を貫くしかなかった--何故なら互いに命を大事にする以上は拘っていられない。
「済まない、ギデロシウス」
「いえ、謝罪端必要ありません。既似わし端長生きし過ぎました乃出」
 こうして二名は泥の道を突き進む--それがギデロシウスに深刻な状態へと至らすとわかっていても!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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