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一兆年の夜 第五十三話 再誕の火 真正神武最後の最高官(一)

 ICイマジナリーセンチュリー百七十一年一月二十二日午前零時零分零秒。

 場所は真正神武首都六影県中央地区真正神武聖堂。
 そこにある襲名されたばかりの天同七弓の間にて齢二十七にして十八日目に成る神武人族の女性は神武包丁を右手に持ちながら迫り来る銀河連合を次々と斬ってゆく。だが、その刃は既に錆が発生して間もない。三回斬っただけで使い物に成らなくなる。それでも持ち前の技を以って何とか五回まで使い物になるよう振る舞ってはいたものの……銀河連合の学習能力の前では二十八回振るった所で先端から肘の所まで欠けた。
「クウ、これまでなの!」
 女性はそれでも折れた神武包丁を持って銀河連合を殴って倒して見せる。が、今度は柄が折れ曲がる事に。幾ら頑丈で少し尖った部分をぶつければ倒す事が可能でも所詮は持ち手。其処は人族或は猿族や鬼族等が安全に握る為に用意された物であって矛の役目を担う訳ではない。故に折れ曲がるのも無理はない。
「御免ね、神様。あたいはあたいの為に用意してくれた生命達の思いさえ踏みにじる事をしてしまって」
 と言いながら女性はまだ倒し切れてない銀河連合虎型の前で正座をした。神武包丁を無残な姿にしてしまった罪を償おうと死を決める。
 それは自分が無力でしかも雌として産まれた事への罪。星央の血統を自分の代で絶やしてしまった罪。
 そして、愛する真正神武を銀河連合で埋め尽くしてしまった罪。ここだけではない。首都六影県以外も報告されてる限り、無数の銀河連合が空より降り積もり、多くの生命を食らいつくしてるという事を。
「御免ね、みんな。どうやらあたいじゃあみんなの役に立てなかった。だからここで罪を償うよ。ほら、食べてよ」
 女性が目を瞑り、両手をそれぞれの膝に手を掛けながら頭をやや下にする。一方の銀河連合は既に行動を起こして、喜びの表情で女性の頭から喰らおうとした時--
 そこに居ましたか、七弓様--齢三十三にして一の月と一日目に成る雄略チーター族の中年が背面突進で割り込んで虎型を凡そ成人体型五も吹っ飛ばして救助!
「チースタン! 生きてたのか?」
 探しましたよ、七弓様--彼の名前はチースタン・斎藤。
「何故あたいを助けた? あたいはもう職者が入念籠めて作り上げた包丁を台無しにしたんだぞ」
 それでも……クウ、もうここまで--会話するほどの余裕がなかったチースタン。
 とそこに齢二十四にして九の月と十二日目に成るメデス蟷螂族の青年が蟷螂式雄略膨張二本を駆使して急突進する虎型の首筋に深々と右の包丁で斬り込んで出血多量で仕留めた。
「危うい所でしたねス」
「ジンデンズ! 何て事をしたんだ!」
 そんな事を仰ってる場合ではありません、七弓様--とチースタンは喝を入れる。
「で、でも--」
「確かに七弓様の代で途絶えましたス。でもス、それでも天同家の生命としてス、仙者としてス、先祖代々に誇れるように生きていて下さいス!」
 お前達--と涙を浮かべる七弓。
 七弓はここで気付く。只命を差し出すだけじゃあ意味がない。全生命体の希望としての役目がある事を。例え自分の代で途絶えたとしても最後まで輝けるなら後に自分の思いを受け継いだ者が現れて連綿と続く使命は果たされる、と!
「わかったよ、二名。あたいはまだ生きなくちゃいけない。それにあの子を思い出したわ。あの子の成長する姿を見る為にもあたいはこの不明瞭な道を必死に駆け抜けないと駄目ね」
 やっとお気付きに成られましたか--とチースタンは安堵した。
「全く弓葉様と同じく手も足も掛かる御方でありまス」
 じゃあ行こうか、二名共--と両膝を立てて更には顔を真っ直ぐにした七弓は真正神武聖堂からの脱出を始めた!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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