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一兆年の夜 第八話 戦いへの一歩を(七)

 ICイマジナリーセンチュリー三十七年九月百二十日午後一時零分零秒。

 場所は町長邸中央庭園。
 ザブリスが駆けつけた時、壇上は赤一色と成っていた! 壇上の周りには数十
では納まらない骨が原形を留めない状態で散乱していた。
「こ、これは……」
 壇上に立つのは獅子型。骨を首飾りにして弄んでいるようだった。
「ザ、ザブリス! い、生きてたんだぶ!」
「お、母さんこそ! 無事で良かっぶ!」
「ンゥわ、ォォ私も幸い無事だったが、クゥここにいる物全員があのモノの、ゥゥウウ!
 ゥゥどうして私は生き恥なんてことをぉぉ!」
 ヘネリエとデュオは自らが今こうして生きていることに強い後悔の念を露にした。
 だが、ザブリスは一方で違う見解を示していた。
「いや、悔いないでくれないぶ! 生きてぶのはお母さんや町長様だけじゃないでは
だぶか! いや、お父さんは肉体は尽きても魂は残ってぶじゃないか!」
「わ、わかぶの? あなたはなんだか左のほうをあまり意識してなぶような気がすぶ
のに?」
 ザブング・クロレットの肉体は今も原形を留める。ザブリスは見えなくともそれだけ
はわかっていた。
「ゥィザブリス君。ンンどうやら君は穢れを纏ってしまったね。ゥスそれでも自らの前足
にさらなる穢れをつけるのかね?」
 デュオはザブリスに問いかけた! 答えはすぐ帰ってきた!
「ああそうぶ! 俺は子供の頃から戦う道を選ぶと言い続けぶ!
 でなければ俺に戦いをやめさせよぶとしたお父さんに自ら諦めぶことを認めぶ
じゃないか! お父さんはお父さん! 俺は俺で考えは常にぶつかっどきぶ!
 でも俺は土壇場になって初めてお父さんの偉大さを知らされぶ!
 だったら今度はお父さんに俺の道をこの場で知らしめなぶといけなぶんだよ!」
 二名はその言葉を聞いて諦めた--だが、彼等の目には後悔の念は微塵も
なかった。
「ザブリス! 私達の力が必要ぶ?」
「いや、ここは俺の足であいつを死なせぶ!
 ん? 話はここま--」
 獅子型はザブリスに向かって飛んだ!
「ンンああ、ゥゥ眼が、ィィ眼があああ!」
 ザブリスの左眼に獅子型の前左足中爪が食い込んだ!
 しかし--
「ググ、左は死んでも前に進ぶのみいいい!」
 ザブリスは衝撃を利用してすかさず持ってきた果物包丁を噛み締めると、回転して
獅子型の前左足の腱を深く切った!
「ザ、ザブリス! だ、大丈夫だの?」
 ザブリスは果物包丁を持っているせいか、返事が出来ない。
(大丈夫ではだぶ! 俺は左眼をやられぶ!
 いや、もう既に初めて死なせぶ時から俺の左眼の機能は死んどぶ。これは俺自身
への戒めだ!
 そして戒めを追えたら俺はお父さんの命のお返しをしないといけない!
 それが--)
「ごがあああああ!」
 ザブリスと獅子型は互いに傷を受けながら死と隣り合わせの荒野を駆けていく!
(死……ぶのか? 俺はここで? 穢れに何も出来ぶまま? それじゃあお父さんに
教えを説かれぶしまぶな。でも易くなんてもっと良くなぶ。誰にも顔向け出来ない。
一体どうしよう)

 午後五時七分十六秒。
 中央庭園に住民が集まってくる。しかも住民はあちこち傷だらけ。
「ムゥみ、ゥゥんな生きてたんだね」
 朝までにいた数の五分の三しかいない。当然ながらそれ以外は皆食われて
しまったか、あるいは--
「その傷が元で亡くなってちまった……」
 右腕の食われたところを包帯を巻くことでなんとか止血した鶴田チュウ蔵は悲し
そうに言う。
「折ー角の嬉しーい日なのーにこんーな悲しいー日になるなんてー」
 犬丸ラビーは大量の血が付いた前右足を見ながら言った。
「でもな! 悲しい時だからこそ俺達はここで死んどいっぶ多くの生命への黙祷を
しなくどぶならないんだぶ! たくさん悲しんぶ、悲しみ尽くしどら明日から俺達は
これから産まれてくぶ生命のためにも今を精一杯生きよぶ!
 それが先に行っど生命への追悼ぶ!」
 ザブリスは左眼を失い、身体中傷だらけになりながらも生き残った住民達を励まし
た!
 そして最後は壇上に再度登り終えた町長デュオ・ジニンが締める!
「ェェ私は何も出来なかった。ゥゥ結局は皆の力がないと自分を奮い立たせられない。
クォ今日という日ではそれが一番良く表れていた。ツァ戦うのも私には無理だった。
 ンンだからといって私はここで諦めることはしない!
 ァァ私はプロティ町の町長だ! ツェ戦えなのなら戦い以外のことで私は皆を守ろう
ではないか! スゥそうと決まればたくさん悲しんだ次の日より私は町をもっと大きく
すべく万物の神々を拡大させようではないか! ィィ神が増えれば生命はより活力を
増す! スァそれは先に行く者達への手向けでもあり、ムィ未来に現れる生命への
贈り物、スゥそれ以上に私達今を生きる者達がやるべき課題だ! 以上である。
 クォこれより今日亡くなった生命への黙祷を始める!
 ムェもくとおおおう!」
 プロティ町の住民は一斉に黙祷を始めた!
(ザブング……結局ザブリスの立派な姿を見せられなぶてごめんなさぶ。
 あなたの言ぶとおりあの子は穢れを全身に覆ってしまっぶわ。これからあの子は
生涯それを背負っど生きていぶわ。膝を折ってしまぶかも知れなぶわ。私はその時
にはもう。
 でも、でもね。私は信じてるわ! あの子ならそれでも前に進んでいぶってね。
 何故ってそれは私ヘネリエ・クロレットはザブング・クロレットの母親だぶらよ!)
 母の確信ある限りザブング・クロレットは前進していく!
 戦いの一歩を踏み出した生命達もまた見えない荒野であってもただ前へ前へと
進んでいく!
 それが遠すぎる過去であったとしても……

 ICイマジナリーセンチュリー三十七年九月百二十日午後五時十五分一秒。

 第八話 戦いへの一歩を 完

 第九話 大地は枯れて、生命は活力を失う に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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