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格付けの旅 デュアン・マイッダー死す デュアン伝

 宮本武蔵……それは黒い方でも説明したとおり、剣豪一の詐欺師。その詐欺っぷりは巌流島の決闘のみならない。彼の履歴その物が詐欺の塊。あらゆる顔を持つなんて史実上おかしな話。そもそもどうして島原の乱では農民の投石を受けて引き揚げたかわからない。それだけの実績があるんならわざわざ投石如きで引いあげるヘタレである筈がない、と。
 さて、魔界に跳ばされたデュアンは己がわからない。わかるとしたらかの『学級裁判』物である超高校級が十五人以上集まるサイコポップ物みたいな場所に同じような己が集まって何かしら己を主張していた。
 俺がデュアン・マイッダーだ、魔法使いなんだぞ--と某三幹部一のコスプレイヤーに良く似たたらこ唇のデュアン・マイッダー。
 俺を誰だと思う、デュアン・マイッダーだ--と某かませ眼鏡、強制シャットダウン、挙句には轟沈エクスカリバーという不名誉なあだ名が付いてそうな御曹司風のデュアン・マイッダー。
 俺は、あ、俺はデュアン・マイッダーだよね--とおどおどしてるのもデュアン・マイッダー。
 俺はデュアン・マイッダーだべ--と妙に馴れ馴れしいのもデュアン・マイッダー。
 な、何よ、俺がデュアン・マイッダーで悪いの--と根暗そうな雰囲気のデュアン・マイッダー。
 俺はデュアン・マイッダーで良いんだな--とセーラー服を着たムキムキの格闘家風もデュアン・マイッダー。
 あら、俺はデュアン・マイッダーですわ--と栃木県宇都宮市出身そうなゴスロリ衣装を着たのもデュアン・マイッダー。
 おっす、俺はデュアン・マイッダーってんだ--とアポを言いそうなパンクファッション風なのもデュアン・マイッダー。
 ……デュアン・マイッダーで良いかしら--と両手が火傷してそうなのもデュアン・マイッダー。
(駄目だ、どいつもこいつも俺だ。だが、俺が俺である自信がない)
 尚こちらは多分本物のデュアン・マイッダー。本物疑惑のあるデュアンは何故こんな所に跳ばされているのかを考えるのであった。
 それは学園で出会った最強キャラに依って背後から卓袱台返しで魔界へと叩き込まれ、『設定』の海に偶然叩き込まれたせいで本来そこの主は学級裁判物で尚且つラスボスが後付けで超分析力を持つ絶望的なギャルに成る予定だったのが全員己のフルネームでしかも一人称さえも己の物に統一された形でケン・イシカワテイストが加わって始まった。しかも銃後のデュアン・マイッダーを集めるのは何と最近神勝平からさくらまるこに変わったばかりの白黒の熊型ロボット……デュアン・マイッダーである--そう、マスコットさえデュアン・マイッダーにされた!
(という事は俺自身の肩書は超高校級の何とか運という一期先輩が厄災級の才能で紹介されたりしてな)
 デュアン・マイッダーは厄災なんかじゃありません--とシャワールームで殺される予定のアイドル風のデュアン・マイッダーは本物疑惑のデュアン・マイッダーに声を掛ける。
「エスパーとかほざくなよ」
「勿論エスパーですので」
 俺は魔法使いだよ--とあくまで本物を主張するデュアンは答える。
 どーもー、デュアン・マイッダーでーす--と本当は体力以外ポンコツの無理してギャルを演じるデュアン・マイッダーは自己紹介する。
 デュアン・マイッダーだよ、宜しくね--と声はモビルアーマーのりっぽそうな水泳選手のようなデュアン・マイッダーは元気に名乗る。
 俺の名前はデュアン・マイッダーだ、忘れるなビーム--とわざわざ無理なキャラ付けをする目が狂気に満ちたデュアン・マイッダーは自己紹介する。
 俺の名前はデュアン・マイッダーだ、宜しくな--とリーゼントをしたデュアン・マイッダーはやる気のない様子。
 超高校級……それは読んで字の如く一般高校生を遥かに凌ぐその分野で天才と呼ばれた高校生を指す。彼のスパチュン超宇宙にあるダンロン大宇宙ではどう考えても諸悪の根源に加えて上層部がドイツもコイツもどす黒い事で有名な希望を標榜する高校はそんな超高校級をスカウトする事に余念がない。卒業すれば成功したも同じと謳われるから……だが、スピンオフもといダンロン探偵銀河ではロッククライマーが殺し屋やってるのは成功したと言えるのか? 後は資金難を理由に予備学科を新設して俺でさえドン引きしてしまうような人体実験の末に元々短髪だった予備学科生を何と髪切れと言いたくなるくらい超ロングヘア―のつまらない人間にしたのは流石になあ。まあ俺に掛かればそんだけ掛けてその程度しか出来なかったと思ったら……いや、止めよう。横槍が来たら怖いしな。
(とまあこんな感じだが。本来はこの魔界ではダンロン大宇宙みたいな世界を作るつもりだったのを俺が来たせいで名前と一人称『設定』が全て俺に合わさる形と成って結果として俺の俺に依る俺の為の世界と化してしまうとはなあ)
 設定……それは作品を作る上で重要と成る基礎工事。人間の筋肉で言えば骨であるように基礎無くして作品が出来ない。勿論どんなに良いシナリオを作ろうともストーリーという基礎がなければ意味がない。ストーリーを作るにも舞台がないとストーリーは作れない。舞台を作るにもキャラが出来ていないと無人の荒野とさほど変わらない。このように設定とは作品の身体構造を形成する上で重要なパーツなのだよ。俺がデュアン・マイッダーであるのも基礎という名の設定があるからさ。
(その基礎の段階で俺だけの世界が出来てしまった。しかも俺が俺である保証もない。このまま逃げたいが……設定が俺に定着するまで時間の問題だな)
 本物だと主張するデュアンは世界とは何なのかを知ってる。それは世界にキャラが定着する時、初めてキャラは創作者の意図を越えて動き出すという事を。逆に言えばキャラが余り定着しないキャラは居ても居なくても問題ない事を意味する。本物疑惑のデュアンが採る行動とは自分がキャラ定着する前にこの場を脱出したいが--
「おっと動くな、そこのデュアン・マイッダー!」
「このデュアンは何か逃げ出そうとしてるぞ」
「その隙に逃げて--」
「逃がさないわよ、馬鹿デュアン!」
「デュアンからは逃げられないぞ」
「ウワアア、勘弁してくれえええ!」
 本物疑惑のデュアンは『バランス調整』されてる事に気付く。
(何なんだよ、俺達は! 俺が弱体化したんじゃない。それぞれの俺はそれぞれの肩書に合わせて強さを調整してやがるぞ! くそう、折角ここから逃げられると思ったのに俺を侮ってしまった!)
 本物を主張するデュアン自身は大昔に言った事、告げられた事を今更思い出す--他人を知る前に己を、己を知って初めて他人を--神を越えたつもりのデュアンはブーメランとして跳ね返る事に。
 バランス調整……それは格闘ゲーム物なら良く聞かれるアルゴリズムの安定化の事。それはあらゆるジャンルに言える事でこれを怠ったゲームは高確率でクソゲーの烙印を押される程に重要な代物。どんなにストーリーやシナリオが良くても肝心のゲームバランスが余りにも杜撰ならやる気は起こらない。それくらいにバランス調整とは重要な代物である。
(と成るとこの中で最も厄介な俺は格闘家の俺とギャンブラーの俺と他には--)
「ちょっと、誰が『学級裁判』に参加すると言ったの?」
(と俺が考えてる内に何故か時間が進行してアイドルだった俺はシャワールームに転がり込むという事態に陥ってる模様。瞬きのレベルじゃないな)
 どうやらデュアンと同じく光の速さすら超えてシナリオが進むようで瞬きしてる内にギャルだったデュアンはハリネズミにされ、何時の間にか学級裁判で野球選手のデュアンが千本ノックされるというあの神父も驚くような進行速度で駆け抜けるのであった。これはどのデュアンの仕業か? いや、全てのデュアンの仕業だった! それは自分自身が良くわかっていた。何事も早く終わらせたいという願望に加えて光よりも速く動く事を可能とした身体能力と膨大な魔力、それに加えてアンチエイジングを容易に可能とする肉体……それらが複雑に入り混じって十五人とマスコットのデュアン・マイッダーはこうして解説してる間にトリックも内容も杜撰と話題の三章を既に終わらせ、格闘家とマスコットのデュアンが体育館で壮絶な死闘を繰り広げる所まで話しを進めていた。
「どうしても裏切るんだ」
(その後の会話は容易に想像出来るが、ここまでダイジェストだと逆に褒めてやりたい)
「実は裏切り者はデュアン・マイッダーだよ」
 だが、流石のデュアンもこの発言やこの後の--
「デュアン・マイッダー……デュアン・マイッダーには気を付けて」
 という言葉には思わず吹き、既に補修という名の処刑を受けてる事に気付く。
(えっとこの世界は本来は『学級裁判物』を基にしたのを偶然にも俺が来たせいで設定が全て俺の俺に依る俺の為の世界へと変容され、えっと俺を助けるのも俺が倒す黒幕も全てデュアン・マイッダーでしかも外の世界を無茶苦茶にする連中もデュアン・マイッダーだったよな)
 デュアンはここでやっと一つの物語の完結を見、そこから定着した己を引き剥がす。その痛みは全方位に亘ってデュアンを苦しめる。何故なら本物疑惑からようやくデュアン・マイッダーとしての己を独立させた代償。そのデュアンを引き剥がさんと世界は彼の島に連れて行こうとするが--
(あの島に連れていかれたら間違いなく十六の俺にされてまた『学級裁判物』を強いられる。幾ら早送りでもそれだけは避けたい)
 その為デュアンが採ったのは禁呪魔法の一つであるエンドオブアクターを使用する事だった。その禁呪魔法に依ってデュアンは一時的に能力を失うとともにその世界での登場人物から『モブ』の扱いを受けて何とか縛り付けから解放される。
 モブ……それは脇役の更に脇役。いわばエキストラであり、背景その物の役割を意味する。この役割を与えられたキャラは居ても居なくても物語に影響を及ぼさない。故に補正も掛からず、直ぐ死ぬ確率は高い。何故ならそれだけ要らない存在だから。但し、背景という役割である以上は縁の下の力持ちのような存在だという事を覚えておこう。
 代償は存在した。それは突如襲い掛かる絶望の因子にデュアンは背後から一突きを受けて何度も経験した死の恐怖が彼に襲い掛かる事に。
(折角、この物語の登場人物から外されたのに……畜生!)
 デュアン・マイッダーの命はここに来て尽きようとしていた……

 一方のアルッパーはどう成るか? 彼は二つに分かれた上に何と冷凍保存されて別々に運ばれた。一方は無双地域に、もう一方はワカモトらに依って。では視点をワカモトらに移そう。彼らはアルッパーの一部を貰う事で『クロスオーバー協定』を結ぶ。そこには彼らの野望も多分に含まれる。
「良いかねえ。『クロスオーバー協定』に依り、ありとあらゆる権利はこちらへ有利に運んでゆくのだあ」
「でも半分のアルッパー君を運んでどう成るというの?」
「そこですよ、エルステッド。この子には大いに利用しないといけないのですから」
「解説するとだな、アルッパーの半分から漏れ出る膨大なエネルギーは喉から手が出るほど欲しがる連中が多数。我らの天敵であるZランク戦士共を惹き付ける格好の餌と成る。だが、このエネルギーを餌にZランク戦士を手先にすればどう成る?」
「ああ、それはイケルイケル」
「そおうだとも! 我らは核弾頭を手ええに入れたのだあああ!」
 一味の野望に利用される事に激怒したアルッパーは何と半身でありながらも更に分割するような行いをした! その結果、ワカモトらにあるアルッパーは六分割。しかも六つ全てが次元の壁を越えて去ってゆく光景に彼らは唖然とする!
「馬鹿な! 半身だけで抵抗するとは何たる強靭な自我か!」
「いけませんねえ、折角の交渉材料が手元から逃げたじゃありませんか」
「アルッパー君ったら、どれだけタフなんだろう?」
「えええい、探すのだああ! あれを奪われてはまずうううい! 何としても探し出して手中に収める時だああ!」
 こうして予想外の事態に突入。アルッパーの意志は想像を絶する程に意地汚い模様。その結果が、七つのアルッパーを手にしたもの即ち、二次元を征するという超展開に次ぐ超展開が幕を開けた。一体全体何がどう成ってるかわからないと思った読者。これを記すデュアン自身もどうしてそうなったかを予想出来ない。というかデュアンは果たして死んで居るのか、生きているのか?
(……はあはあ、どうやら俺は白紙スペースの中で漂っていたな。デュアンロールのお蔭で俺はエキストラとして死んでも魂その物は無事のようだ。さあ、ここから反撃開始と行こうか!)


 白魔法03 デュアン・マイッダー死す END

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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