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一兆年の夜 第七話 はじめての戦い(二)

 ICイマジナリーセンチュリー二十五年三月九十七日午前九時七分三秒。

 場所は東物部大陸ピタゴラス地方小プロティ村の四番目に小さな民家。
 そこでは四名の熊族の家族が住んでいた。うち一名は……
「それじゃア行こうゼエ、ベティ江!」
「ちょ、ちょっとオ、べアール君! 食器くウらい片付けなアさいよね!」
「ああ、すまなアかっタヨオ! それだけしイてからア、プロティイムを採りに行イくか」
 齢十にして二の月と二日目になった少年ベアールはベティえに言われるとおり
食器を片付けて彼女と一緒に外へ出た!
「行ってらアっしゃい、ベアール、ベティ江!」
「「いってきまアス!」」
 ちなみにベティ江について紹介する。齢一一にして零の月と一日目になるプロティ
熊族の少女だ。
「もう、ベアール君ったらア、足が速インだから!」
「僕はこう見えエて人族の二足歩行を応用しタア走法を使ってるんだアよ!
 ベティ江には真似デエきないんだね、これって!」
「それでどうやったラそう速くなんノヨオ!」
「それ以上はア……言いイたくないよ!」
「ごめんン、ベアール君」
 ベアールの走法は飛遊実奈通から教えて貰ったものであること。それに触れること
はベアールにとって我慢出来ないことであった。
 一の時間より後、二名はプロティイム果樹園に着いた。
「クゥ来たか、小童共!」
 主である齢三十九にして五の月と十八日目になるテレス蟻族の中年が
働いていた。
「あれ? デュアさんだけエ? ダガン兄ちゃんとドラグル兄ちゃんハア?」
「ィォちょうど手紙を鳥に村野外で待機中だ」
「危ないよオ、お外ニイいたら。あれが来イタらどうするの?」
 その言葉にベアールは過剰反応した!
「それはいけなアイ! 今すぐ二名のトオころにい--」
「ンァ待て! ィイ日頃から避難出来るようにしとるから安心せい!」
 デュアと呼ばれる中年はベアールを注意した!
「ご、ごめん。そ、そうだよネエ。兄ちゃん二名はアアれで身体鍛えてるから大丈夫ウだよ
ね」
「ゥウわかったようだな。ゥスそれじゃあプロティイム採取を始めるぞ!」
「うん! じゃあ、あたしは持ってきた果物包丁で一番斜め右にあるノヲ採るよオ!」
「あ、ずるいゾオ、ベティ江! そレエ僕が採ろうと思ってたノニイ!」
「こうゆう場合ハアお姉さんに譲るのが一番ヨオ!」
「誰がお姉さんトオ思っタア! 勝手な事言っテエ!」
「ゥフ微笑ましいな、二名とも!」
 デュアの監視下で二名はプロティイムを採り続けた。それから三の時が経過。
「キゥ今日はここまでだ! ヌゥ二名ともお疲れ様!」
 ベアールとベティ江は合計百九十七個採った。
「ハア、ハア、僕ハア九十八個だよ! 後一個あっタラ、同数だったのに!」
「へあ、へあ、今日はあたしの勝ちダヨ! これで六十一の勝ち星ネエ!」
「明日は絶対に勝ってやルンだから!」
「クゥラ! ゥウプロティイムは限り在るんだからいつまでも採り続けると神様からの
お叱りを受けるぞ!」
 プロティイムは十二月に栽培され、来年の十二月初日前後に実が成る。
 ただし、月を過ぎると甘味成分が無くなる。これはプロティイムが木へと成長する
段階にきたため。よってプロティイムが味わえる期間は十二月に限定される。
「ンァまあプロティイムは果物の中では筍に近いと言えるかもな。種がない代わりに
果物そのものが果物の木になるって事よ。
 ンゥだからつまらない競争はやめんかあ!」
 デュアは二名に怒鳴った。彼にとって、それは日常茶飯事である。
「ごめんナアさい、次からはきょうそうしまセエん」
「あたしモオ同じく」
 ただし、二名はこの言葉を言った次の日、また同じように競争をする。
 このようにベアールにとって四の年は、同じような毎日が繰り返された。
 今日も同じような事が繰り返されると思われていた。
「ウォ親父! ァァ大変だ!」
「ゥウ何だドラグル! ンァやけに急いでる感じだな、ィイ一体何があった?」
「ィイ決まってんだろ! ゥォこの手紙を読んでくれ! ィア早く!」
「ドラグル兄ちゃん? そんな息あらクウて大丈夫なの?」
「ゥゥんなわけあるか! イィ一大事なんだよ!」
「ゥア渡せ!」
 ドラグルは言われたとおりデュアに手紙を渡した。そこに書かれてあること。
 それは日常の終りであり、小プロティ村の終りを意味するとはこの時、誰にも分か
らない。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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