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一兆年の夜 第六話 特別配達員 シュラッテー(七)

 配達員達は恐怖心を呼び起こした!
「ダ,ダ、メダ、ア、アレハ、オレデモ、デモ、ダダめダヨ!」
「モウイヤダアアア! カラダジュウカコウチャクシテ、オチソウヨーダ」
「ふっざけてどうする! おっちる気分でどどど、どっすんだ、だ」
 ただ二名は怒りで一杯だ。そして--
「お前のせいで沖田スラ貴殿やタッ蔵兄はーあ!」
 ヤマ蔵は雀型に真っ直ぐ突撃した!
 だが、先に回り込んだシュラッテーはヤマ蔵を真下に突き飛ばした!
「な、な、ぜですか隊長ーう! あれは--」
 シュラッテーにも分かっていた!
 十七の年より前に起きた西アデス海上空の海難事故。あれは意図的な事故
だった。配達本部は日頃から天気予報を徹底していた。当たる時もあれば外れる時もある。それでもいかにして当てるかを日々研究に研究を重ねていた。
 当時の新生沖田燕隊は最新研究された天気予報を配達員達に送っていた。
その日は西アデス海近辺で地震が発生していた。それ自体は天気予報通りだった。しかし、予想外の事態が起きた。新生沖田燕隊の配達員だった柊タッ蔵は
隊長スラ貴の命令を無視するように海面の方へ落ちていった。焦ったスラ貴は単身
タッ蔵のところに向かった。その時だった。スラ貴はタッ蔵があるモノを捉えたせいで硬直することになったのを。そこから先は通説である。
 その日を境にタッ蔵は配達任務を無視してでもスラ貴を捜索し続けた。
 職を追われながらも。公式上の捜索を終えた後でも。怒りに身を任せながらも。
 だが、過酷な捜索活動は彼の肉体に大きな重荷となった。
 事故から十の年、ついに帰らぬ鳥となった。
 話を現在に戻す。
 ヤマ蔵を突き飛ばしたシュラッテーだったが、その間に雀型は大きな嘴を開けて
食らいついた--だがシュラッテーは落下速度を上げてこれを回避!
「サッスガシュラッテー! ワタシタチニデキナイコトヲスルナンテ
ムダニトシヲトッテナ--」
「キュッー香! おっ前のところに来てるぞ!」
「エッ?」
 キュー香は反応できなかった。雀型がシュラッテーに回避された速度そのままに
キュー香へ向かい、食らおうとした!
「サセッカ! キュー香は俺の仲間ダア!」
 一秒にも満たない間にザギ次が雀型に体当たりをした--キュー香の眼前を
通るように二体は飛んでいく!
「ウグウウ、ココロの痛みが何だッテ、エ?」
 まさかザギ次も雀型がそのまま食らおうなんて思わないだろう。ところが--
「さっせるかよ! こっどもを食らおうなんてどこまでも分からずさんだよ!」
 二度目の偶然。一秒にも満たない間に嘴で雀型を怯ませた!
 その反動でザギ次は雀型から離れた。
「アリガトウ、デッガサン! オカゲで助か--」
「よっくなかったぜ、どっうやら我が先に--」
 反動を活かしてデッガの方へ急加速! 悲劇はここで--
「これ以上余を怒りで満たすなあああーあ!」
 三度目の正直。右翼の方からヤマ蔵が雀型を突き飛ばした!
「ヨンドメハモウヒツゼンダヨ! ワタシハキョウフシンダッテノリコエテミセル!」
 突き飛ばすところに更にキュー香が突き飛ばして、雀型に食らう機会を与えない!
 彼等が雀型を追い詰める間にシュラッテーは合流した。
「皆の者ーお! 隊長が合図を出ーす!
 それに併せてあのモノに生命の輝きを見せるんだ!」
 シュラッテーの合図により、四名はそれぞれの動きを駆使して
雀型との対話を始めた--肉体同士がぶつかるココロに重荷を与える対話を!
 対話を介してからわずか五の分より後に事態は急変する!
「これで生命を死なせた罪を認めろーお! 自らを変えるんーだ!」
 キュー香による体当たりで飛んでいった雀型にヤマ蔵は突撃した!
「な、何故だーあ!」
 雀型は落下速度を上げて回避した!
「ドウシテタイチョウノマネデキタノ? アンナノハヒトメデデキナイッテ!」
「まっさか! そっういえば知り合いから聞いた話じゃあれは……
 がっ学習しているというのか!」
 デッガが言い終えた時さんが危ナイ! デ、デモ間に合わナイ!」
 二体は接触した! 雀型の嘴がシュラッテーの首筋に向かって伸ばす--
「ま、間に合ってくれーよ!」
「じっいさんをやらせるかよおお!」
「オレが来るまでに間に合ってクレ!」
「ムリダヨー!」
 不思議なことに燕の嘴の先端くらいギリギリをかするだけで済んだ!
「ドコマデオトロエシラズナノヨ、コノロウネンハ!」
 シュラッテーはこの時、ストルム・ササーキー、藤原カエ彦、
フッケン・メッサーシュミット、沖田スラ貴、木戸デュー雄、そして陽孫諾が居るという幻覚に見舞われた!
 それは即ち--
「マ、マサカシュラッテーッテアレニクワレルキナノ!」
 キュー香がそれを言った瞬間、シュラッテーは自らの声を最大限にして配達員達に特別配達任務の内容を叫んだ!
「いっま更それを言うなんて、まっさか!」
 デッガが驚いた瞬間、シュラッテーは怒鳴り声を上げた!
「あなたのお叱り、お聞きになりましたーあ!」
 ザギ次以外の者が一礼をした瞬間、シュラッテーは雀型に噛みついた!
「マサカ死ぬなんて良くなイヨ! クワレルなんてお爺さんの家族へは
どう説明するのでスカ!」
 ザギ次は納得のいかない様子だった。そんな様子すら待つことはない。
 シュラッテーは力を振り絞り、雀型と共に廃テレス山北東付近に向かって
連れて行った!
「ダ、ダメダアア! モウフリキレタアアア!」
 キュー香の叫びすらもうシュラッテーの耳には届かない。

 午前二時五十八分九秒。
 廃テレス山北東付近上空。
 シュラッテーは悲しんだ。雀型はもはや限界に近づいていることに。シュラッテーは気付いていた。初めて見た時から。怒りで心が満たされても。良心の呵責が起ころうとも。
 けれどもシュラッテー自身も限界に近づきつつあるのではないのかと
自問自答した。答えたところで待っているのは自身の死であろうと。
 そう考え続けている内に二体は廃テレス山北東へ落下していく。
 シュラッテーの人生はこれで--

 午後五時十一分二十八秒。
 廃小ティスノス村村長邸屋根。
 四名は待っていた。任務よりもただ一名の老年を。ただ一名の隊長を。そして--
「タダイチメイノトクベツハイタツインヲマツ。ココロガイタイノニサラニココロヲイタメルコウイナノニ、ナノニ。ワタシハシュラッテーヲマチツヅケルジブンシカ、
カンガエラレナイヨ!」
 キュー香は泣き叫ぶ!
「オレはお爺さんに憧れてイル。タシャを傷つけた罪を分かち合える者は
シュラッテーお爺さん以外に誰がいるンダ!」
 ザギ次は訴えた!
「じっいさんは死なないんだ! だってササーキー隊で唯一の生き証者だぞ!
 たっとえ剥き出しモノとあっても生きてここへ来るんだ!」
 デッガは願った!
「妻はどうするんだーあ! 愛する子供達をおいてどうすーる!
 余は身内を苦しめるようなことをするのはもうやめるんだーあ!
 お願いだから家族のためにも戻ってくーれ、隊長ーう!」
 ヤマ蔵は責めた!
 しかし、シュラッテー・ベンデルウムは戻ってこなかった。
「イエ、モドッテキタヨ!」
 訂正する。シュラッテー・ベンデルウムは任務を果たさずに死ぬような雄
ではなかった。
「そっらあ見てみろよ! じっいさんはそうゆう燕だったんだよ!」
「ヨカッタ! オジイサンは俺達を叱りに戻ってきたんダヨ!」
「喜んでるのかそうでないのかはっきりしなくなったーよ!」
 四名は喜びの飛行をした! そしてシュラッテーは怒鳴り声を上げた!
 こうしてベンデルウム特別隊は神武秘境へ向かって飛んでいく。
 こうして生きて神武秘境へと入り、任務を達成した。
 これからも彼等の物語は続いていく。代々語り継がれる未想史として……

 ICイマジナリーセンチュリー二十年三月六日午後六時零分零秒。

 第六話 特別配達員 シュラッテー 完

 第七話 ??????? に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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