FC2ブログ

一兆年の夜 第六話 特別配達員 シュラッテー(五)

 午後六時四十一分一秒。
 場所はエウク町北西地区配達本部正門前。
「ケッキョク、ニメイシカヒキコメナカッタネ」
「二名ーい? お前は特別配達員ではないのかーあ?」
「ワタシハトクベツカンヒショデアッテモ、トクベツハイタツインデハアリマセン!」
「どっちもかわんねーだろ! ちっがうか?」
 割り込むように特別配達員になったデッガが話に入り込んだ。
 後ろに雁族の少年を連れてきたみたいに。
「デッガネ! ドウダッタ? トクベツハイタツインニナレソウナモノ、ミツカッタ?」
「ぜっろ名だよ! どっいつもこいつも特別配達員を引き受けなかった!」
 シュラッテーは後ろにいる見覚えのある少年は引き込んだ者ではないのかと
質問した。
「いっや、こっいつは北西地区二番地にある真ん中より三番目に小さな民家に
暮らす知り合いに受け入れを断られた時だ。ぐっうぜん我のところに来て配達員に
なろうとしたんだ! 第一配達員は齢十八以降でないとなれん職種だろ!
 だから--」
「トクベツハイタツインなら一般と違って断る理由に当たらないのではなイノ?
 オレを特別配達員にして下サイ、シュラッテーサン!」
 少年は遠山ザギ次である。午前一一時頃にシュラッテーが手紙を渡した
遠山ササ子の第一子だ。
「ヨクナイニキマッテルデショ! ハイタツインハスイミンジカンヲケズルヨウナ、
カコクナショクシュナノヨ!」
「ダカラどうシタ! オレは母さんのためだけじゃないンダ!
 カミ様のタメ、ホカの生命のタメ、ソレニ俺自身のためにも特別配達員にな
りたいんダヨ!」
 ザギ次は心に訴えるように頼んだ! だが、それに耳を貸す者は誰もいなかった。ただ一名を除いて。
「エッ? イイノ? アノネ、シュラッテー!
 アイテハマダジュウハチニモミタナイノヨ! ソウカンタンニヒキイレタラ--」
「何か考えあってのことなのーか? 同じゼノン族だかという理由は良くないーよ」
 シュラッテーはゼノン族だからザギ次を引き入れたのではない。
 ただ、ザギ次がどこか自分と似ているという感じで引き入れた。子持ちだから
というのもあるが。
「しっかたないよ! シュッラッテーの爺さんは老いで感性が鈍ったんだからよ!
 だっが我はその感性に従ってそいつを引き入れても良いぜ!」
「まあ責任はとれないぞーお! 特別配達員になると言うことは穢れを一身に
受け入れるに等しーい。覚悟しろ、遠山ザギー次!」
 デッガとヤマ蔵は感化されるようにザギ次を受け入れた。
「エエイ、ワタシハトクベツハイタツインジャナイカラ、ケッテイケンアリマセン!
 スキニシナサーイ!」
 キュー香はふてぶてしくした。
「アリがとうございマス! ハジメテのことなので皆に迷惑をかけまスガ、
イッ生懸命やりますのでお願いしマス!」
 こうして特別配達員は四名となったところで一行は配達本部へと入っていった。

 午後七時二十一分二十二秒。
 場所は上空特別官室。
 特別官ヒシャウ・シャウルルの眼前に四名の特別配達員が立っていた。
「残念なことでええはあるううが、深夜から行わああれるう特別配達のおお
任務は諦めええざるしかないいいな」
 仕事の世界では約束事は必ず守らなければならない。折角、特別配達員に
選ばれた三名の顔には諦めきれない想いが立ちこめていた。
「トクベツカンドノ! シュラッテーハガンバッテアツメタノニ、イマサラソンナノハ
ヒドクナイデスカ!」
「キュー香よおお! 大人のおお世界はああ甘くできていなああい。
 もしそうなああってはああ神々へ真おおに礼を欠く行為だああと
思わんかああね?」
「ソ、ソウデアリマシター!」
「ナットクいきまスカ! オレは遊ぶためになったんじゃなイヨ!
 カミ様や母さんや自分のために特別配達員になったノニ!
 タトエ四名でもいいから早く--」
「出来たら苦労しないーぞ! これは特別官が勝手に決めたことではなーい!
 お前も配達員になるなら大人の世界は勝手なものと理解しろーお!」
「グ、ソ、ソレでも--」
「ナッとくしないのは我も同じだ! がっまんしろザギ次!」
 ヤマ蔵とデッガの二名がザギ次を宥めることでとうとう--
「ガマンしなきゃ神さまに申し訳が立たナイ! ワカッタヨ!」
 諦めることを覚えた。
「酷いことをしてええ心が傷つくのおおは皆同じだ。私だってこんな決断を下しいいて悔いがああ残っているよおお。もっと早く期限をおお延ばああせば五名いいに
満たせるといいいうのにい--」
 突然シュラッテーは信じられないことを口にする!
「アノ? モシモシ? ゴメイニミタシテルッテ?
 ホントウデナイコトヲイウモノジャナイデスヨ、シュラッテー」
 それでもシュラッテーは五名の条件は満たしていると頑なに口にする。
「な、何をおお言うのかああね? 目の前にいいは四名しかいなああいぞおお!
 どおおこに五名目ええが居るというううのかねええ?」
 それに対してシュラッテーはキュー香を羽差した!
「エッ! ワタシデスカ!」
 シュラッテーは肯定した!
「なっる程な! キュッー香は特別だよな!」
「余もキュー香が特別配達員らしいと思っていたよーお!」
「キュウカンゾクのキュー香ならシュラッテーの爺さんが何話しているのかも
口に出してくれそうだシナ!」
 三名は喜びに満ちた顔で納得した!
「チョ、チョ、チョット! カッテスギルワ!
 ワタシガトクベツハイタツインナンテミトメナイヨ!
 トクベツカンドノダッテカナラズコウテイシナ--」
「うおああ、確かにいい五名に満たしていううるな!
 良かろおおう、これより特別配達のおお任務はやってええもらうぞ!」
 既に判子を押した後だった。
「ソンナアア! ホントウジャナイトイッテクダサアアイ!」
 キュー香の叫びはぞとまで響いた! すぐ後にヒシャウ特別官の怒鳴り声が
館内に響き渡った!
 こうして特別配達員は五名となり、午後十時をもって始動した!

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR