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格付けの旅 Gネスαの攻防 芸能の世界は恐い

 金(かね)……それは欲望の代用物。人類はそんな代用物如きに人生を懸け、人生を狂わせてきた。金とは人生を決定づける代物。少なければ餓死を呼び、多ければ争いを招く。
「んな事はわかるだろ! てめえら二本足はどうして紙とかコイン如きで争うんだよ!」
「わからないか? お金とは命よりも大事なんだよ。特にここイカンザ宇宙海と呼ばれる頭が破裂しそうな宇宙が山ほどある所では信心を示す為に大量のお金がセンセイ大宇宙に流れ込む」
 誰だよ、センセイって--アルッパーは絶対零度が当たり前の宇宙海で冷や汗を流す。
「名前を記せば作者が消される。俺達が入った場所は正しく黒魔法そのものさ」
「誰に向かって喋ってるんだよ、二本足!」
「もちろん、これをチェックしてる片言女にもな」
 彼ら二体はピンハネ型宇宙『Gネスα』へと入る……

 Gネスα……それは支配者α・グネのα・グネによるα・グネの偽善を表す為に構成された宇宙。ここでは募金の額が上下関係を示す。
「『α・グネ』って誰だよ!」
「かの……を模したチャイナ系の歌手さ」
「『……』は一体何が入った? お前は俺と同じようにタブーを気にしない存在だろ?」
「俺達がタブーを気にしなくても作者はタブーを気にするんだよ。坂本義太夫になりたいか!」
「誰だよ、坂本義太夫って?」
「高名な虚構学者。あらゆる分野に何故か詳しく、数々の虚構記事で必ず登場する奴だ。言わば虚構版民名書房」
「それ、ジャンルが違うぞ」
「何てべちゃくる間に俺達を歓迎する連中がやってくるとは」
 二体の前に現れたのは縦、横、高さが全て一キロ以上ある募金箱--赤い羽根が隅々まで付着。
「募金箱? なんで募金箱があんだよ! 俺はコインなんて興味ねえよ!」
 えっと、あるかな--デュアンは懐から福沢諭吉が描かれた紙を十枚取り出す。
「それ、何だ?」
「諭吉=一万という常識も知らないのか? まあいい、ここに入ったからには『α・グネ』に誠意を示すべく『募金』しかないだろ!」
 募金……それは社会的弱者を救う為に募るお金。社会的弱者の説明はここでは省く。要はお金がなく、食べ物や衣服、家に困る者達の事を示す。そんな彼らを助ける為に募金はある。募金が渡る事で彼らの未来は保証される……はず。
 ところが、そんな募金も一部では--
「はあ? なんじゃそりゃ! てめえら二本足はどこまで愚かなんだよ!」
「ああ、そんなに大声を出すな。いくら真空だらけの宇宙でも『α・グネ』の耳元に入るぞ」
 デュアンはアルッパーを諭しながら紙十枚を募金穴に入れる。
(さて、さて。俺達は何故かこんなところに来てしまったな。ここではどんなに屈強な奴でも募金の額が少ないと力を行使出来ない。んで俺達は日本円にして十万までの力を行使できる。日本円にしてな。それ以上の力を出すにはもっともっとお金を掻き集めなくちゃならない。何て酷い所だ)
 二体は募金箱を後にして『ばあニングゥ銀河』へと入ってゆく……

 『ばあニングゥ銀河』には様々な太陽系が溢れかえる。go太陽系もあれば、ワッツデュオ太陽系と呼ばれるウェッツ太陽系とてっちゃん太陽系が重なり合った物や、かつてはのりかい太陽系もこの銀河の所属だったりと本当に様々。中心太陽系は別名『コブコー』。
「オイ、俺にはここから出るべきだと危険信号が鳴ってるぞ!」
「『ジャンニー銀河』と同じく小指を詰めた連中が星の数以上に居る銀河だ。だからこそ……早速出迎えのようだな、アルッパー」
 彼等の前に現れたのは三色で彩られた隕石群--軌道にズレ無くデュアン達に向かう。
「これが俗に言う『Dヴィクトリーストーン』か!」
 Dヴィクトリーストーン……それは仏教の念仏と同じく口にする言葉を体言化した隕石。そもそもその言葉自体も何故普通に……呼ばずわざわざDヴィクトリーと呼ぶのか? その理由を記すには作者があまりにも無力。よってDヴィクトリーの用法を説明する。ウッソ君が喜びを示す際にDヴィクトリーと叫ぶ。敵が悔しがろうとそうでなかろうと去ってゆく姿を見てウッソ君はDヴィクトリーと叫ぶ。救いを求める人や或は敵側からこちら側に引き入れた際にもウッソ君はDヴィクトリーと叫ぶ。マコトが圧力に屈する姿を見てウッソ君はDヴィクトリーと叫ぶ。最後にビッチがどないしたんや……や落ちるという事は……という事やなあ。なんて聞かれたウッソ君はDヴィクトリーと叫べない。つまりDヴィクトリーとは攻撃の合図と敗北を覆い隠す用語として使用される。そう、ウッソ君はヴィクトリーを求めているのだ。そんな風に説明すればDヴィクトリーストーンがいかに強力な隕石かがお分かり頂けよう。
「誰がわかるか! もう目の前まで迫ってるぞ!」
 諭吉十枚じゃあ反応速度まで保障出来ないのか--デュアンは今、Gネスαの恐ろしさを体験する!
「こんな隕石群は俺の放射能熱線でえ!」
 アルッパーは口から光線を放つ--数百ものDヴィクトリーストーンは粉々に灼かれるものの、一部は独りでに光線を避ける!
「オイ、見えたか?」
「ああ、だからこそ俺も下級魔法で追撃した」
 だが、Dヴィクトリーストーンはデュアンの火、水、風、地、氷、雷、光、闇、重力の合計九つある下級魔法をことごとく避ける! そして、右手の形を描くようにデュアン達に襲いかかる!
「あいつは死んだはずじゃあー-」
「禁句を言うと余計に……グガアアアアアア!」
 『お布施』が足りないデュアン達は反応が追いつかず、隕石群に握りつぶされてゆく!
「ってなんだよオオオオ、『お布施』ってエエ!」
 お布施……それは本来の意味でいうなら慈悲の心で相手に物を送るという立派な行為。所がこの場合は死んだはずの教祖にお金を送る事で忠誠心と従順な心を示す行為に堕落。
 例を挙げるならかの馬鹿笑い本舗と呼ばれるプロダクション所属の何が面白いのかわからない女芸人がどこかの番組で死んだはずの教祖に自ら従順なのを示すべく、心中を語る。そう、後の世では有名に成った頭がパーン。要約すると『私は一生懸命先生に尽くす為に身も心も思考する力も犠牲にしてお布施をしましたよ』となる。
 他の例ではかのカルト政党が票を集める手段として予め信者に住民票ごとその地域に住まわせた後、連携を組む駄目大人党に票集めを頼む。その際、カルト政党の候補者はお布施の量によって票を獲得しやすい地域を選ばされる。お布施の多い候補者は当選しやすく、逆に少ない候補者は落選しやすい。お布施とは信心を表すバロメーターである。お布施が足りないと信心が足りないという証拠。努々気を付けるように。
「ふざけるなよおおおおおお! たかが諭吉十枚で信心ガアアア!」
「ウググ、それがこの宇宙の法則だあああ!」
 デュアンは苦しみながらも零詠唱でテレポートを発動--彼等の姿はフェードアウト!

 Dヴィクトリーストーン群から脱出したデュアンとアルッパー。
 疲弊した彼等には最早諭吉十枚分の力はない--無重力空間を自力で進む事が叶わず、『GO太陽系』に突入する。
「宇宙って音がしたのか? 何でパチンコ玉が至る所に弾け飛ぶ音がするんだ!」
「『GO太陽系』ってのはかつては『ジャンニー銀河』所属の太陽系。パチンコ玉が弾け飛ぶ音がするのはこの太陽系は既に将軍様へのお布施を続けている証拠」
「もう将軍様はおっ死んだだろ! 今じゃあ瓜二つの息子が継いでるだけだろ!」
「にしても気温の高い太陽系だ。生命が棲んでいるかさえわからない」
「二本足だったら食うぞ」
「ちい、諭吉が後数百枚あったら自由に宇宙を泳げるのに」
 とか何とか宇宙空間でヒッグス通信をしてる内に青い星に入るぞ--アルッパーの言葉通り彼等は幸運にも第三惑星<ノブタ>へ落下。

 <ノブタ>の青い空と海は心を清浄にする……というのは嘘--真実は至る所でパチンコ中毒者が溢れ返り、空と海を汚す。
「俺は嫌だ! こんな海で待機したくねえ!」
「ごちゃごちゃ五月蠅いなあ。巨乳の人間が出るんだぞ。金髪と藍髪だぞ! 一部四魔……じゃなくてムキムキの緑髪野郎も居るが、問題ない」
「問題あるだろう、パチンコ玉がうるせええ!」
「お前は一生海で暮らしてろ! この先はデュアン・マイッダーの独壇場だ!」
 彼等にチームプレーは存在しない--力を行使したいあまり勝手な行動を取りやすい。
 それ故にアルッパーは海洋生物でさえパチンコに汚染された海でパチンコの弾く音に苦しめられる。
「俺の同胞までパチンコに嵌りやがってエエエエ!」

 一方のデュアンは百平方メートルの巨大な募金箱の前に立つ。手の届く場所に穴があり、誰でもお金を入れる事が可能。
(手持ちはない。どうしようかな? 金を作るべきか? いやいや、偽造は偽造局が五月蠅いしな。いっそ募金箱……は中身自体がブラックホールになってる。よって一銭も入ってない……にしてはパチンコ玉が五月蠅いな。俺は確かにやろうと思ってるけど。ただなあ、日本円にして一円玉がないと意味ないんだよ。換金出来ないんだよ。わかるか、パチンカス共が!)
 そんな時、デュアンの足下に日本円にして一円玉硬貨が転がる。
「誰の仕業だ? まあいい。俺は力を取り戻すべくパチンコ中毒者になってやろうか!」
 デュアンは迷わず一円相当の硬貨を右手で拾う。その行動を目撃する男が背後からデュアンに包丁を片手に突進する!
「俺が気付かないと思ってるのか、パチンカスが!」
 だが、デュアンは右胸を刺される。膝を付いた彼は一円玉硬貨を落とし、それを盗まれてしまう。盗んだ男は通り過ぎると駆け足で逃走!
(反応速度が凡人級かよ。クソ、こんなのは久しぶりだ。このまま死ぬか?)
 うつ伏せに倒れるデュアン--意識を失う寸前、人の足らしき物を目撃する……

 一方のアルッパーは仕方なくパチンコ台--ケンの拳--の前で佇む。だが、どうやってやるのか理解しない模様。なので台を噛んでいた。
「オイ、そこの同胞! パチンコ台を噛んでんじゃねえぞ!」
 そこへ入れ墨をした鯨五頭がアルッパーを取り囲む!
「オオ、久しぶりに俺の同胞に会えたぞ!」
 だが、アルッパーの感動も空しく彼等に身体中を噛みつかれてしまう!
「ややめろ! 俺だぞ、何故噛むんだあああ!」
「どこの馬の骨だかしらねえが、無銭者はとっとと出て行きやがれ!」
 俺は馬じゃエエエ--数十箇所噛みつかれた後、四体に引き摺られる形でゴミ箱に詰め込まれるアルッパー!
 彼はゴミ箱から抜け出す力はあるものの、同胞の鯨達に牙を向けられて深く傷つく。
「ううう、あそこまでパチンコ汚染されてるなんてよ! 俺は只、仕方なくパチンコやりたかったのに。どうやったらパチンコ出来るか悩んでいたのに。ううう--」
 十円、あるよ--そこへ、ピンク色の肌でリボンをした雌鯨がアルッパーに話しかける。
「お、可愛いじゃないか! 今すぐ子作りしようか!」
 本能を剥き出しにゴミ箱から抜け出そうとしたが、空回り。ゴミ箱ごと電柱にぶつかるアルッパー。
「ウガガ、海の中にどうやって柱あんだよ!」
「自業自得な鯨だわ。この世の中では金のない鯨は野垂れ死ぬだけなのよ」
「野垂れるは俺達鯨としては違うだろ! この場合の用法として--」
「それよりも十円あげるから最新機種やらない?」
「パチンコはいいから俺と子作りしよう!」
 アルッパーは雌鯨に抱きつこうとして、空振りする--またもやゴミ箱に顔を埋めてしまう!
「あのね、この世は金なの。金のない男と交尾したくありません」
「ウググ、じゃ、じゃあ金をたくさん持ったら俺と子作りすんのか!」
「ええ、ただし『イケメンに限る』」
 イケメンに限る……それは女の身勝手さを象徴する言葉。本来の意味はあらゆる文脈の末尾に付ける用語。けれども、大体それが当てはまるのが多い程に身勝手な女が多いのも現状。
 そうゆう女達は理想の男性像としてまずあげるのが二枚目。けれどもそれじゃあ男は靡かない。そこで二枚目である事を避けるべく、様々な条件を設ける事で顔じゃない事をアピールする。例えば料理上手、社交的、ファッションセンス良好、何でもそつなくこなす等々様々。けれどもそんな好条件を持った男は居ない。居ても合コンやお見合いで出会う確立は極めて低い。なのに女達はそうゆう条件を迫ってくる。結果として女性の社会進出同様に晩婚化の原因に繋がる。
「うぐぐ、俺は不細工なのか!」
「うん、不細工。だからお金が国家予算あっても興味なし」
 雌鯨の止めを刺す言葉群にアルッパーは尻尾を弱々しくさせる。
「あれ、ショックだった? まあいいわ。さあ、とっととパチンコやりましょう」
 雌鯨の後を傷心状態のまま追うアルッパー。
「そう言えば自己紹介してなかったっけ? 私はレオよ。あたしがやろうとしてる最新パチンコは『アイテムなんぞ使ってんじゃねエエ!』よ」
「それ、ジャンル違うだろ!」

 レオは百円でパチンコ玉百個の入った箱を貰う。一方のアルッパーは十円でパチンコ十個渡される。
「何だ、この差は!」
「だって一個一円でしょ? だったらそんな扱い受けるのが普通なの」
「うぐぐ、絶対に金儲けして星ごとパチンコを消滅させてやるウウウ!」
 そんなこと出来る訳ないでしょ--レオは最新台の前まで近付く。
「おお、これが最新パチンコというやつか? タイトルは『濡れるッ!』」
 『濡れるッ!』の前に立ったアルッパーは歯持ちのパチンコ玉全て投入した。パチンコ玉十個中八個は無残にも落ち、二個は口に入る。
「オイ、これは何だ! 何でアニメが流れんだよ!」
「五月蠅いわね、今いい所なんだから静かにして!」
「ん? スロットか! これは知ってるぞ! 数を合わせれば……って数字の所に女を入れやがって! 俺に食わせろ!」
 そうしている内に左から『3』が二つ並ぶ。
「『3』は刀使う女か! 『1』はともかく『2』は入らん。元彼に付きまとう『2』入らん……じゃなくてこれはひょっとすれば--」
「おお、凄いじゃん! 『7』ではないけど、大当たりだね」
「おいおい、じゃんじゃんパチンコ玉が外に出てるぞ! これは何だ?」
「まあまあ、それを入れてやったらいいじゃん」
 その後も当たりを連発し、アルッパーは一時間で三万円分勝った。
「はあ、今日は不作だったわ。あの大は演出はいいけど、確変低過ぎよ」
「確立変化は知らんが、中々いいものだな、パチンコは!」
「でも勝負はこれからよ。あなたの『ビギナーズラック』はこれで尽きたわ。パチンコの恐ろしさはこの後だよ」
 ビギナーズラック……それは初心者が自分の実力だと勘違いさせる運という名の罠。彼らは初めての賭け事で大当たりをした為に嵌ってしまい、以後抜け出す機会を見失う物。要は初めての競輪で大当たりをした青年は次も大当たりすると思い込んで気が付くと競輪ギャンブルから抜け出せなくなる事。二つ目の例では競馬で大当たりをした主婦が次で外れ続けても大当たりした実感から抜け出せず、以後も競馬の檻に閉じ込められる事。三つ目の例ではデイトレードに初めて挑戦し、大儲けをした引き籠りの少年はその後、損失を出し続けてもデイトレードに嵌る事。それらを合わせてもビギナーズラックは運ではない。それは初心者を無意識の内に勧誘させるギャンブルの罠である。
「だからこそパチンコは恐ろしやですわ。でも、この星ではそれだけの屍を覚悟して勝ち続けないと生き残れないわ! 覚悟出来る?」
「アア、出来る! と言いたいところだが、いっそクソ五月蠅いパチンコを潰せないか!」
「出来るの? 無理だよ。だってこの星の主である『GO』は恐ろしく強いわ! 何でも『α・グネ』に毎月一億単位の募金を寄付してるとか」
「ウググ一億も徴収してんのか! ますます許せない! ああああ、どうして画面に居る巨乳二人を食えないんだああ!」
「あれ三人でしょ?」
「一人は要らん! いっそ刀女がメインヒロインになればいい!」
「難儀な鯨ね」

 あるボロ小屋にデュアンが運ばれる途中、何者かの襲撃を受ける!
「また『GO』の手先だわ!」
「金を寄こせ!」「女は持ってるんだろ、金を!」「金があれば俺達はますます強くなれるぅウウ!」彼らは少女が乗るトラックに素手で奇襲し、既に窓ガラス三つを割った。
「わかってるわけ? あなた達が金を得た所で『GO』は徴収するだけだわ!」
「それがどおしいたああ! さあ、とっとと金を渡せ! 出ないとそこのムスリムを--」
「誰がムスリムだ? 俺は生憎無宗教だ」
 刺された傷の痛みが何事もないように起き上がるデュアン。
「だ、大丈夫なの? いくら包帯巻いたからって--」
「イデデ、大丈夫じゃない事くらい俺は知ってる。けれども、トラックに積んである金のお陰でこの程度の掠り傷で起き上がれない事はない!」
 外に出るなり、デュアンは宮沢熹一の入れ墨をしたスキンヘッド男の顔面に右ストレートを浴びせた!
「てめえ、俺の股間に血を!」
「そんな入れ墨するから思わず殴ったぞ! クソ、五万円でもこの程度か!」
「な、何公表してるの! それじゃあ--」
「五万円か、寄こせ!」
 アクエリオンの入れ墨をした半裸の男がナイフを取り出して、デュアンの眉間を狙う! デュアンは眉間に当たるよりも速く火系低級魔法を放つ!
「アヂイイ!」
「魔法使っても火傷で済むだけかよ! こうなりゃ……そこの女!」
「無理よ! タイヤをパンクさせられて……て、ちょ、離してよ!」
 デュアンは残り三万円分を逃走に使用する!
「クソオ、逃げられた! 金はどうだ?」
「駄目だ! あのムスリムは全部使いやがって!」
「見つけ次第、内臓全部売っ払ってやるウウ!」
 彼らはありったけの金を使い、デュアンと女の捜索をするが月夜が明けるまでに発見には至らない。

 デュアンは女が用意した隠れ家に匿われる。そこは洞窟と成っており、壁の隅々まで札束が埋まる。
「会って早々だが、名前を聞きたい。俺はデュアン・マイッダーだ」
「私は徳川秀美。かつてはこの星の支配者だった徳川家康の子孫に当たるの」
「徳川家康……そりゃあ徳川幕府の初代将軍の名前だろ!」
「異星人であるあなたの常識を当て嵌めてもわからないわよ!」
「そうだったな。それにしても金の宝庫だな。成り金が札を燃やす時代に似て……いやいいか。とにかく支配者の家系がどうして落ちぶれた?」
「私の祖父にあたる徳川慶喜のせいよ。あの方が『GO』に政権を譲渡しなければ!」
「そうか、結局慶喜のせいか……んでパチンコ汚染なのは元からか?」
「いえ」
 秀美は丸い扉を右手に触れた--すると扉は左に避けて、避けられた場所に通路が見える。
「何してるの?」
「何、ほんの少しデータを更新してるだけさ」
「そのノートは不正を働かす為?」
「趣味だ。俺は何かに格付けするのが大好きなのでな。ちょうどお前の事も書いたから見るか?」
「いいわ。悪口に耐えられるほどメンタル強くないから」
「そうか……ところでパチンコ汚染させたのは『GO』か?」
「ええ、そうよ」秀美は通路の奥にある机に腰を持たれながら懐に仕舞ってある煙草の入った箱とライターを取り出す。「あいつは『α・グネ』の手先としてこの星を賭博漬けにしたのよ。そのせいでこの星の者はみんな金に溺れて治安は悪化し続けるわ」煙草を取り出すと、唾液が入らないように咥える。
「こんな場所で煙の草を吸うのか?」
「いけない?」秀美は火をつけて、煙をじっくり味わう。「換気はいいから中毒死しないわ」
「俺は一酸化炭素中毒如きでは死なん。が、そんな事よりも『GO』はどこに居る?」
「勝てるの?」秀美は机の第二引出しから灰皿を取り出すと、吸い殻の火を消す。「百億以上も金を持つ男に?」
「奴の所まで繰ればその金を無理やり俺の物にすれば勝てる」
 デュアンの言葉を聞いた秀美はあまりにも無謀な論理に思わず灰皿を落としてしまう。
「正気なの? お金の所有なんて簡単な……まさかあの時に私のお金を使えたのは--」
「ああ、俺が勝手に所有したからさ! 俺は魔法使いだぜ! いざというときは他人の金を自分の物にしてでも勝利を掴むのさ」
「典型的な『ジャイアニズム』だわ!」
 ジャイアニズム……それは剛田武が理論を確立させた自己中心的な思想。名言として『お前の物は俺の物、俺の物は俺の物』に全てが込められている。
「生憎ジャイアンほど自分勝手ではない。何せ『権利書』を出されたら叶わん」
 権利書……それは土地の所有権などに関わる社会人なら知っておかなければならない書類。これをちゃんと済まさないと穴を利用して悪用する輩の付け入る隙を与えてしまう。そう、重要なんだよ!
「権利書ね。確かにトラックに積まれた五万には権利書が無かったわね」
「ああ、その権利書さえ抑えれば『GO』に勝てる……という訳で早速『GO』の所に案内しろ!」
「今から! あなたがいくら常軌を逸してるとはいえ無謀よ!」
「もう時間はない。次のページに移るぞ!」
 社会人には時間がない事なんていくらでもあるのさ……



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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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