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一兆年の夜 第六話 特別配達員 シュラッテー(四)

 午後二時四十三分五十六秒。
 場所はエウク町南東地区四番地。
「じっかん切れが午後七時までって言うのは辛いな!
 まっあ三名や四名では死んだ親父が怒るからな。いっそいで探さねえとな!」
 特別配達員となったデッガはシュラッテー達と共に特別配達員を引き受ける者を
探していた--鳥系の子供服を売りながら。
「チョットアンタッテモノハ! ジョウクウリュウツウハイタツノシゴトヲ
コトワッタンジャナイノ!」
「そっれとこれとはまた別の話だ! そっれにこうしてサク夜が丹精込めて作った
子供服を売ることはあいつの生活の足しになるぞ!」
 彼はまだサク夜を断り切れないようだとシュラッテーは思った。
「シッカシササーキータイノハイタツインハ、ドレモコレモイダイナカタバッカリダネ!
 サキノデューオサンダケデナク、ソンダクサンナンカハ、
ジョウクウリュウツウハイタツギョウヲタチアゲタンダシ!」
 正直シュラッテーは今は亡き陽孫諾を余り好きになれなかった。というのも孫諾の口数や生き様はシュラッテーと真逆に位置する。
 そして一番の理由は長生きだけ一致すること、そこに尽きる。
「まっまああの御方は遺言ですら書き表せないほどに口を出したからな!
 そっりゃあシュラッテーの爺さんが羨むのも必然だろうな」
 シュラッテーは目を逸らした。恥ずかしい思いをして罪を感じた。
「さって我は我なりに探すとします! どっう業者関係の者なら引き受けるかも
知れない! じゃっあ一旦別れます!」
 そう言ってデッガはシュラッテー達とは真逆の方角に飛んでいった。

 午後三時二分六秒。
 四番地の二番目に小さな民家。
 エウク鶴族の宮村アル羽はシュラッテーの申し出を断った。
「僕ではそのようなれる穢れありし多かれることは出来ようるるとにもありませぬ。
 御免なすりまする、シュラッテー様」

 午後三時三十八分十九秒。
 エウク町東地区一番地の真ん中より二番目に大きな民家。
 ゼノン雉族の鉦晋平しょうしんぺいは病を理由に断った。
「穢れがどうしたというの! 俺は引き受けてやる!
 と! 言いたいが! あいにく! 俺は高熱を発している! すまん!
 こんなにも! 甲斐性無くて! 御免シュラッテー殿!」
「ヤマイジャムリデキナイヨ! イキマショウ、シュラッテー!」

 午後四時一分五十七秒。
 エウク町東地区三番地の五番目に大きな豪邸。
 アデス鴨族のワタリ・テッツーノは一般配達員の方になりたかった。
「ごめんね、特別配達員を引き受ける気なれないね。
 おいらはね、一般配達員に憧れてるね。だから断るね!」
「デモトクベツハイタツインニナレタラ(略)」
 キュー香は懸命にワタリを説得した! しかし--
「本当にごめんね! おいらには荷が重すぎるね!
 おいら以外に適任いると思うね! だから諦めないでね!」
 励まされるかのようにやはり断られた。

 午後五時零分五十一秒。
 エウク町中央地区一番地。
「モ、モウホカニサガススベアル? モウテガミハスベテクバッタヨ!
 ジカンガナイヨウ!」
 キュー香は嘆いた。シュラッテーは諦めそうになる。
「アーア、コンナコトナラハルロウサマノツバサヲカリタイヨ!」
 その言葉を聞いたシュラッテーは何も言わず、そのまま町長邸へ翼を羽ばたかせた!
「チョットドヘイクノヨ、シュラッテー!」
 キュー香は慌てながらシュラッテーの後を追った!

 午後五時四十五分八秒。
 一番地町長邸一階広間。
 シュラッテーとキュー香は待っていた。
「ヤッパリコトワルヨ! ダッテオヒマヲシテイル、ヤマゾウサマハ、ハイタツインガ
ダイノオスキデハナイノダカラ!」
「お静かにしなさーあい! ここをどこだとお思いですかーあ!」
「ス、スミマセンカセイフサン!」
 セネカ鳩族の家政婦に注意されたキュー香は縮こまり、しばらく口を動かすことを
躊躇った。
 そんなこんなで例の者が現れるのを待って、三十の分が過ぎようとしていた。
「ヤッパリハイタツインガオスキジャナイカラコナイノカナ?」
「ああ、顔を見ただけで怒りたくなるくらいなーあ!
 来てやったぞ、配達本部の使い共よーお!」
 彼の名前は柊ヤマ蔵。齢二十五にして零の月と一日になる。元町長柊ポッ多の
第三子にあたる。
「言っておくがーあ、余は配達員になるつもりはなーい!
 だが話はきーく。何の用ーだ?」
 シュラッテーは彼に特別配達員になるよう申し出る。
「成程ーな。だが、断るとわかっていながらどうして世に申し出るーう?」
「ソレハ、トクベツハイタツインヲハジメルニハ、サイダイゴメイ
ヒツヨウダカラデスヨ!」
「だが余なら断るーう! 余以外でも断るぞーお。
 何故なら、特別配達員は穢れに満ちた職業ーだ!
 誰が引き受けると思うたーか!」
 その答えに対してシュラッテーはある質問をした!
「イヤイヤ、ヤマゾウサマニタイシテ、ドウシテハイタツインガスキデナイリユウヲ
キクナンテドウカシテマスッテ!」
 だが、当のヤマ蔵は答えに詰まった。彼が配達員が好きでない理由はあった。
それはシュラッテーにとって許しがたいある存在が絡むことになる。
 そんな答えを聞いたシュラッテーの心の内では赤いモノが大きくなっていた。
「アワワ、ア、ワ、ソ、ソ、ソレハコワイヨコワイヨ!」
「それが恐怖心というものだーろ?
 余はそれゆえに配達員というものから逃げたんーだ!
 タッ蔵兄様が死んでしまうような怒りを抱えるくらいならいっそのことそんなのに--」
 話の途中でシュラッテーは怒鳴った! それはヤマ蔵のためだけではなく
自分自身にある赤いモノを抑えるためでもあった。
「ウヒイ、シュラッテーノカンロクアルシカリハハクリョクガアルヨ!」
「そ、そうなんだーあ。あんたも逃げ出したくて仕方ないのにそれでも真っ直ぐ
進んでいるんだーな。
 わかったーよ! 余はもう逃げないとここに決めるーう!
 一番上の兄であるタッ蔵ならあんたと同じく余を怒鳴ったはずだーよ!
 余はタッ蔵の遺志をついででも配達員になるーよ!
 ただし、いきなり配達する以上何か便がよくないことあって迷惑かけるけど、
その時は助言を頼もーう!」
「ウウ、チョウシイイコトイウケド、ナニカアッタラチョウチョウニナニイワレルカ
ワカラナイヨーウ!」
「大丈夫だーあ! 二番目の兄であるリツ蔵は余と違い懐が広いーぞ!
 気にするものでなーい!」
 こうして特別配達員は三名となる。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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