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一兆年の夜 第五十一話 光不変の先へと 前篇(七)

 カモノはサンショウ六を掴みながらもう一方の船へと向かう。
「カモノさん?」と安心できずにいるサンショウ六にカモノは答える。「きと無事だ、もう一つは」
(もう一つは『ハヤブス』よりも五の分遅く発進したんだよね? えっと名前は『フォウルン』で大きさはほぼ同じで本来は旅客船だったから?
 そ、そんなことよりも『フォウルン』は『ハヤブス』より右の岸に着いてたからカモノさんが飛んでいる方角は間違いなく吾妻--東の意味--だね?)
「お! サンショウ六よ、どやら見えきた……重たった。
 やっと……ざつく?」
ざつく? 『ざわつく』ってこと? どうし……まさか--」
 二名は大きく旋回しながら振り返るとそこには数千もの烏型が剥き出しでありながらも歪み続ける空を覆っていた!
「追っていたのか……俺達を!」
「こんなに近づかれたら逃げられない? 仮に逃げ切っても船が危ない?」
 仕方ないなて言い訳でしないけども--カモノはゆっくりと掴む力を抜いてゆく。
「な、何で落とすんだよ?」「お前を掴んで向かっらこいつらはハヤブスのみなずフォウルンの乗組員さえ食らっしまう!」カモノは守るために命を捨てる事を決めた!
 カモノさあああん--海に落ちながらカモノを叫ぶサンショウ六!
「ベアケット隊長、副長、サイ頭、きね由さん、メエメン、そてマルノオビ……腰砕け共の仲間入りを果たす!」
 カモノは最後の戦いを遂行して見せた……!

 午後二時二十五分十四秒。
 サンショウ六はカモノが黒い霧に呑み込まれるのを目撃する。
(カモノさんまで居なくなってしまった? 僕はもう一名だけで戦わなければいけないの? それとも僕も守る為に死んで見せるの?
 そうじゃないだろ? 僕は副長が死んだときに誓ったんだよ? 死んだ者を背負って生き抜くって? まだ覚悟がないのかな、僕って? まだ謀りないことに挑戦するのかな、僕って?
 ってそんな哲者達が考えそうなことよりも早く『フォウルン』に乗らないと? 『フォウルン』は、『フォウルン』はあの船体の色だったね? 急いで乗らないと?)
 サンショウ六は光を目指して四本足を動かしてゆく!

 午後四時二十七分二十八秒。
 場所はフォウルン甲板。
 プハアア--サンショウ六は船首の方から甲板まで攀じ登った。
(もうお日様は沈んでゆく? そう言えば昼ご飯は食べたっけ? 食べたね?
 そ、そんなことよりも--)
 サンショウ六は四本足をだらしなく伸ばしながら気付く--空がお日様の大きさまで歪んでいる事に!
(元の歪み? いや、これは全く新しい歪みだよ? しかも沈みそうなお日様と同じくらいの大きさはある? えっと……カモノさん?)
 サンショウ六は気付いてしまう--カモノの死を認めた後の自分を。
(こんなにも身近にいる者の死が悲しいなんて? 今まで戦ってきた仲間の死が悲しいなんて? もういなくなってしまうとこんなにも誰かを欲しがるのか……誰か?)
 サンショウ六は気付く--甲板には誰も居ない事に!
(おかしい? 本来なら船夫や傭兵か軍者が見張りをしているのにどうして居ない?
 信じるか? 良くないことを信じるくらいなら自分の目で確かめてやる?)
 サンショウ六は甲板から降りてゆく……。
 
 午後四時四十七分五十九秒。
「ここにも居ない?」
「どうしてここにも……オーイ?
 誰か居ますかああ?」
 サンショウ六の出したくない予想に反して陸上種族用の階層には生命が誰一名も居ない。
(急いで調べたから詳しく見てないけど、あちこちに血の跡が見える? 絶対に銀河連合の仕業だ? あいつらはどこかに骨を隠してるんだ? どこに……それは僕ら両生系と呼ばれる水陸両用の系統だから出来る種族がやるんだ?
 海洋種族用の階層にあるんだ、きっと?)
 サンショウ六はそれでも僅かな希望を信じていた……。

 午後五時零分零秒。
 場所は海洋種族用二階廊下。
 サンショウ六は潜ってすぐに気付く--血が流れ出ている事に!
 その後を辿って彼は泳いでゆく--それが銀河連合のやり方だと知っても!
 そして彼は辿り着く--鯨族区域へと通じる扉に!
(この先にはあいつらが待ってるのか? それとも避難してる途中で傷を受けた生命が居るのか? 今の僕は後ろ向きな方にしか頭が回らない? 確実に銀河連合が待ち伏せする方を考えてしまう?
 今の僕は頼れる仲間をみんな死なせてもう疲れ果ててしまった? たった数の時しか経ってないんだよ? どうしてなんだろう? どうしてこんなにも疲れ果ててしまったんだろうかな?
 ……本当ならどっちも正しいのが見えるんだろうか? 答えは--)
 サンショウ六は網式扉に身体を潜らせてゆく。

 未明。
 サンショウ六は鯨族区域に入ってから五日間の記憶を置いてゆく……気付いた時にはシャーク傭兵団東藤原海洋珊瑚島支部直轄の船に拾われる。
(ここは? 僕はどうしてここに? 確か海の中に入ったはずなんだけど?)
 山一サンショウ六はまだ生かされている……!









 ICイマジナリーセンチュリー百六十七年十二月百二十三日午前四時二分十二秒。

 第五十一話 光不変の先へと 前篇 完

 第五十二話 光不変の先へと 後篇 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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