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一兆年の夜 第五十一話 光不変の先へと 前篇(六)

 午後一時五十七分五十八秒。
 場所は甲板。
 至る所に銀河連合が埋め尽くす--空から降り、軋む音は響き、船体を左右に揺らす程の数。
 そんな場所に一番乗りを果たしたベアケット分隊は現在も心の葛藤を続ける--怒りと恐怖が互いに揺れ動きながら!
(こんな時こそそれらを呑み込んで勇敢なる心にしないと? 数がどうだって言うんだ? もうすぐ三小隊が来るんだ? そうすればこんな状況だって?)
「『何も考えるな』アアなんてエエ無理な相談だが、こうゆうウウ時こそオオ心を強く持て! オオお前らあああ、アア必ず生きイイ抜くんだ! アア誰よりイイもなああ!
 でエエは進めエエエ!」
 五名はそれぞれの方向へと足(翼)を運ぶ--固まるよりも分散して戦う方が有利と判断!
 サンショウ六が向かった先は落下が最も少ない箇所--そこは即ち銀河連合が比較的少数配置された所。
(問題は質なんだよな? いくら数が少なそうでも質に関してはどうにもわからない?)
 サンショウ六は今、陸上銀河連合十五体と真っ向勝負を仕掛ける!

 午後二時二分三秒。
 ベアケット分隊に続いて蘇我小隊の二分隊が甲板から現われる。そこで彼等は数の少ない方へと足並み揃えて進撃してゆく!
「いいやわ、みんな! 奴等の数は八体よの。二分隊合わせて十一名居るよの! こちらに負けはないやわ!」
 分隊長蘇我パタ康は自信満々に言う。だが、二分隊の運命を決めたのはそんな安易な判断であった。
「パタ康分隊長ス、あれをス!」「何だ……えよの!」二分隊全員が空を見上げるとそこには無数の流れ星が彼等に向かって降り注ぐ!
 流れ星の速度は空を見上げた頃には事既に遅い--瞬時にして二分隊の傭兵達を肉の塊と化すには十分であった!
 腰砕け、共めス--右刃をもぎ取られ、限界に達するマルノオビはその光景を一部始終する。
 彼は死の間際に「俺、も腰、砕けス」という言葉を呟き二十五体もの銀河連合に一斉攻撃を受ける……

 午後二時五分四秒。
 きね由はくの字に折れた棍棒を離さず、振り回す--自身は左腕を食われた形で!
「済まない。どうやら俺端生き抜く斗いう約束尾果たせそう似ない。けれども数端……減らしてやる!」
 棍棒を投げ捨てるときね由は片手で二体もの銀河連合を、身体に食らいつく計九体の銀河連合を抱えて海へと身を投げた!
 彼は海に潜りながら組み付く銀河連合に食われてゆく……。

 午後二時七分十五秒。
 ようやく全ての小隊が甲板に辿り着くも数は既に二十五名だけになっていた。そんな状況であっても彼等は戦いを止めない--僅かな希望を頼りに!
 ジャンゲル・ベアケットもその内の一名だった--彼は死ぬ寸前まで血を流しながらも二十八体もの銀河連合を相手にしながら!
「はあはあ、オオ俺も、どう、やらアア死ぬ……。イイ死、ぬウウ前に、せ、めて--」
 ジャンゲルは鎌鼬流を披露する--近付きすぎた三体の銀河連合はまるで自ら飛んでゆき、海に投げ出された!
 それがジャンゲル・ベアケット最後の攻撃になった……。

 午後二時十分二十三秒。
「デエ……はあはあ、やっと十五体、目?
 でも僕一名だけになったかな、分隊は?」
 独り言を呟きながらサンショウ六は周囲を見渡す。分隊長のジャンゲルもタケナカノマルノオビもカモノ・カーモネーも鈴村きね由の姿がどこにも無かった--正確には骨が多すぎてどれが当てはまるか憔悴しきったサンショウ六には判別出来ない。
(僕の周囲に銀河連合は……一体だけ? 相手して良いのかな? それとも一体と見せかけてるのかな?)
 お前ら、一体だけ奈羅問題なくゆくぞ--物部小隊羽田分隊生き残り三名はサンショウ六が狙おうとした一体だけのアルマジロ型銀河連合に向かう!
 サンショウ六は空を見上げるが、降る可能性はないと決めていたが--
「たいちょおおおう!」「うわあああああ!」「こんなとお……」サンショウ六が振り返るとそこには一体だけのアルマジロ型銀河連合から出てきた若布型三体に呑み込まれる!
(こんなことになるなんて僕はどうして仲間を死に追いやってしまったんだ? 少しでも言葉を添えていたら死ななかったのに?)
 三体を食い終えた若布型は地面を這いずるようにサンショウ六に近付く。
(徒足空脚ではこいつらを倒せない? 僕は逃げるのみ?)
 サンショウ六は周囲を警戒しながら四本足を勢いよく動かす!

 午後二時十三分六秒。
 ベアケット分隊ではサンショウ六だけでなく、カモノも生き残っていた。彼は残り一本となった物部刃入り籠を背負いながら分隊の生き残りを探す。
 そして彼は若布型やそれに付いて行く銀河連合に追われるサンショウ六を発見--高度を徐々に下げてゆく!
「そこにいのはサンショウ六か!」「その訛りは鴎族。しかも僕の名前を呼ぶのはカモノさん?」サンショウ六はカモノに捕まる事で難を逃れる!
「ありがとう、カモノさん?」
「やっぱ重たい。もう俺達し居ない、分隊は」
 その事実に心を重くする二名。彼等は無断で船から離れてゆく--小隊長クマ孫の最期を見届けながら!
「船から脱出している住民は居るかな?」
「そなことまで頭が回ないが、少なくとも小隊は全部で五つ分船に乗ってただ! 二小隊を信じしかなだろ?」
 そうだけど--サンショウ六は安心出来なかった。
 だが、本当に安心出来ないのは彼等の方だ--前方に集中している為、後方より迫り来る数百もの追っ手が接近するのを……!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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