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一兆年の夜 第五十一話 光不変の先へと 前篇(五)

 午後一時零分十四秒。
 場所は食堂。
「全員揃ったカア。これヨオリ我々藤原小隊は仁徳島からの一時退却を行う!」
 一時退却--齢三十二にして一の月と十八日目になる藤原熊族にして小隊長藤原クマ孫から発せられた言葉は事実上仁徳島が食われた事を意味する。
「辛い選択ダア。けれどもコオレ以上死者を出す訳にもいかない。北仁徳市ニイ住む生命のおよそ六割は残念ながら瓦礫の下か銀河連合によって食われた。およそ一割は安否スウラ定かではない。残り二割程度は我々が乗る船ともう二隻に載せタアが、内一隻は出発準備さえ整わずに……助かった住民が居るだけデエモまだ我々はいい!
 そして我々の内枠ではアアルが、小隊は全部で四十名からナアル。その内分隊は全部デエ五。我ガア陣頭指揮を執る主力分隊で十名。内五名ノオ死亡を確認。次ニイベアケット分隊は八名。内二名ノオ死亡確認。次に楊分隊ハア七名。内三名ノオ死亡確認。次にメッサーシュミット分隊ハア七名。全員死亡ヲオ確認。最後にプート分隊ハア八名。分隊長ピーキュル・プート以外ノオ死亡確認。小隊はもう残り十六名と成ってシイまった。ピーキュル・プートは今後楊分隊に組み込ムウ予定。
 我々は要員が少ない状態で住民の避難及び藤原大陸ヘエノ退却を行う。他の小隊とは点呼終了次第、合併或は協力体制を取る予定。以上ダア!」
 クマ孫から発せられた言葉の数々は事実上、仁徳島奪還を諦める内容であった。これに反発する者は少ない数で五名に上った。無論ベアケット分隊も例外ではなかった--分隊長ジャンゲル・ベアケットは納得いかない様子だった。
「……以上の観点からアア藤原大陸への退却は銀河連合にウウ追撃を許すことに繋がります! オオそれでエエ良いのですか、クマ孫小隊長殿!」
 もう十分戦っタアだろう、これ以上戦っテエどうする--クマ孫には最早戦う気力はなかった。
「クウ……エエ命令はアア絶対だ!」
「辛そうですなス、ベアケット隊長はス!」
「仕方ないさ、仁徳島尾死守する斗いう任務牙果たせなくなるんだ。肝心乃小隊長端もう戦うことさえ出来ないくらい似疲弊しておられる。辛くなる乃端目似見える」
「けどない、このまま逃げるのは納得いかない! わしは何が何でも戦いたいぞい!」
「だが、数が多すぎる! いくら船に物が積まてもすぐに底を尽く!」
 ベアケット分隊でサンショウ六は誰よりも異なる考えに悩まされる。
(僕は結局何も果たせずに覚悟も出来ずに退却してゆくのか? 強くなれないまま逃げるのか? そんなのは良くない? このままじゃあ--)
 た、大変だ--仁徳栗鼠族の船夫が顔中に汗を流しながら食堂に入った。
「どうしたんダア、若いノオ!」
「か、か、かんぱんに、に、ぎぎぎ、が、れれ--」
 何だっテエ--僅かな文字だけですぐに状況を理解したのは何もクマ孫だけではなかった!
「アアまさか空からアア降る範囲はここまで広いとは!」「そうゆう問題じゃないでちゅよ、ジャンゲル!」「甲板にー出る以ー外に迎撃のー道は無ーいのか!」それぞれの分隊長は銀河連合の対処法に悩まされる!
(甲板に出るなんて一歩先が異なるだけで食われてしまう? そんなの僕でもわかりきったことだよ? 迎撃なんてそんなに長くは--)
 オイ、小隊長クマ孫--先に声をかけたのはサイ頭だった。
「まさカア我に命令しろと言いたいのかな、君ハア?」
「そうだい! このまま何もせずに死ぬのは御免だい! わしは何としても命令されたい! でないと無断で甲板を出て行ってしまうぞい!」
「前だけ進む癖に命令だけは聞きがる奴だな、サイ頭は」
「……いいダアろう。これより我等藤原小隊は単独デエ行動を開始する! 針路ハア甲板!
 もう一度言うゾオ! 我々藤原小隊は単独行動ヲオ開始! 針ハア甲板を示す!
 以上ダア!」
「「「「「「オオオオオオ!」」」」」」
 ここから藤原小隊最後の戦いが始まる……!

 午後一時四十八分五十三秒。
 甲板方面の通路では藤原小隊十六名のみならず、物部小隊十五名、蘇我小隊二十二名。全部で五十三名が狭き道を切り開いてゆく!
「アア……猿型がこんなに強いなんて?
 こ、こいつらは……デエ?
 負けられない?」
「はあはあ……ダアイ!
 数が多すぎて中々多対一に持ち込めない!」
「空から増援が来る以上はどうしうもない……ハ!
 残り翼持刀は十五本」
「十五本じゃあ足りないだろ……ドスウウ!
 俺なんか残り七本……ハッス!
 最後は片方で戦うしかないス!」
「フン、トオ、ドオ、ハアア!
 棍棒端凹んだまま出模俺乃心端凹みなし!」
「ハア、ダア、ダリュウ、ゴオ!
 アア守りのオオ薄い方に進め、お前ら!」
 ベアケット分隊はどこよりも先を進む--既に甲板まで成人体型五に差し掛かろうとしていた!
 あ、エエれは--ジャンゲルは甲板へ通じる穴から緑色の何かを目撃!
「わしが先陣を切るぞい!」「アア止めるんだあああ、サイ頭!」ジャンゲルの言葉は後一歩遅かった!
 サイ頭は緑色の物体--若布型銀河連合--によって全身を包まれる。
「サイ頭ウウウウウ! 何でいから喋ってくれエエ!」
 カモノの言葉は届く事叶わず、若布型が離した頃には骨だけの姿に変えられた……!
 よもサイ頭をオオ--思わず二回も翼持刀の弦を振るわして若布型に二本もの物部刃を貫通させた!
「感情的なる乃端解る牙、二回放ったってサイ頭端戻らない」
「わかる、わかる! だが、気が収まない! あいつがこな所であの世にゆくが納得出来ない!」
 カモノは両眼から悔しさの涙を流す--サイ頭への鎮魂を示すように!
「……ゆこう、みんな? もうすぐ甲板だろう?」
「ああス、副長やメエメンやサイ頭が死んだのは俺達を活かす為だろうス。生き抜く為だろうス! ならば命令を下さいス、ベアケット隊長ス!」
 オオこれより甲板にイイ突撃する--五名はどんな光が差し込むか判明しない甲板へと向かう!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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