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一兆年の夜 第五十話 エーテルは否定される(四)

 させるか--シャーケンは先牙必勝をかけるべく大王烏賊型の鰭に噛みつく!
「体格差が有り過ぎる! 団長がいくら鮫族で傭兵であってもこれは……うばお!」
 安全じゃないなあ--アン駈歩は勢いよく右へ横切った大王烏賊型を眺めながらそう呟く。
「あのままじゃ団長が危ない! 鰭伝うか?」
「わてらは実戦慣れしてないんだぞ! 鰭纏いでない証拠があるか!」
「確かに、それがしは学者肌の生命だからなあ」
「それを伝うは学者肌の傭兵だろ? 生命じゃあ一般生命なのかそうでないのか判別する?」
「だろうな。けどもこのまま団長を一名だけにする訳にもいかないって。
 誰か戦える傭兵がいるか見渡していいか?」
「こんなくらい深部だぞ。見える範囲は縮まって--」
 見つけた--アン駈歩の見る方向とは反対より近付く生命をチヅヨが発見。
「泡で『見つけた』と示すか? どれどれ……あれは先輩!」
 現われたのはオニ子。彼は何故か銀河連合から逃走中--追いかけるのはアン駈歩を追い回した傷ものの鯛型!
「逃げてるのではない! 挟み撃ちをかけている! 後ろをよく見るんだ!」
 あれは深海の鮫族といわれる羅鱶族の誰かだ--齢二十六にして八の月と十八日目になるフィスト羅鱶族の青年は鯛型の尾鰭に噛みつくと勢いよく右回りに振ってゆく!
「そんであの豪快な戦法はまさか--」
「知ってるのか、アン駈歩!」
 間違いない、ラブレス--と二名は既にラブレスらしき羅鱶族の青年に驚くばかり!
「てめえらは生命の名前を間違えてんじゃねえっつーの!」
 ラブレスと間違われた青年は岩目掛けて鯛型を放り投げると、すかさず鰭の水圧を調整して急加速--跳ね返って間もない鯛型の左肋を強く噛み千切った!
「凄い! あれが羅鱶族で『最速のラブリッテ』と呼ばれし傭兵の技なのか!」
「間違いなく『ラブリッテ』だな、チヅヨ!」
「また名前を間違えてんじゃねえよ、てめえら!」
「じゃ、じゃあ他にいるのか?」
「きっと『短気のラブラドーラ』に違い--」
「ラブリッテもラブラドーラもラブレスもみんな雌だろうが!」
「じゃ、じゃあ本名は--」
「ラブカディアなんて名前じゃねえ! そいつは俺の兄貴だ!」
「何だって! 羅鱶族最強と謳われし雄『ラブカディア』じゃないなんて! じゃ、じゃあ他に誰が居るんだよ!」
「目をかっぽじってよく見てろ! 俺の名前は--」
 突然巨大な音が三名に近付く--なおも持久戦を続けるシャーケンと大王烏賊型が全身の神経を周りに見せながら激闘を繰り広げる!
「わあれべ! 団長と大王烏賊型を忘れていたよ! えっと……あれ? 何で先輩が居ないんだ?」
「先輩? ああ、オニ子班長ならシャーケンと共に大王烏賊型を倒しに向かったぞ!」
 本当だ--チヅヨが大王烏賊型の全身を眺めているとそこには触腕二本と残り八本腕を何とか避けながら追撃するオニ子の姿を捉えた!
「止めは団長で先輩は陽動なのか? 二名だけじゃあ足りるか?」
 ならば俺が行こうか--そう伝えるなり全身の連動させながら急加速する--名前の判明しない羅鱶の雄は大王烏賊型打倒に加勢してゆく!
「これじゃあ誰が主役かわからないけど、いいのか?」
「わてに振るな! どうせわては外野のような存在で十分か?」
 あのなあ--愚痴を必ず吐くアン駈歩に困った表情を見せるチヅヨ。
(今日はどうゆう訳かいろんな案件が絡まりすぎる気がするんだけど。これも全てはこいつと会ってからなのか? それとも先輩と会ったのが良くないのか?
 どれも関係ない事柄だし、わてはそろそろ調査に入らなくては--)
 おーい、そこの二名さん--もう一つの案件が飛び込んできた!
「あの雌は確か海馬族のタッツ代。武内海馬族で--」
「齢二十三にして十一の月になったばかりのピチピチな雌よ!」
「お前か! だったら次に訪れるのは吉じゃない!」
「え? どうしてさあ」
「えっとタッツ代ちゃん? 君は何の仕事をしに来たんだ?」
 そりゃあ勿論『貴重種探し』よ--それは正しく二名の体内を冷やすには十分な条件だった!
「じゃ、じゃあ今度来るのは--」
「た、た、大変だ! ベボバグベベ……ああ、ええ、うー。
 じゃなくて銀河連合がまた一体来やがった!」
「ワオ、すっごーい!」とタッツ代は喜ぶようだが、現われたのは普通じゃない鮟鱇型--しかも全長成人体型が何と十という規格外の存在が来るとは!
(規格外を超えすぎる! わてらの選択肢は逃げるのみ! わざとかで何とか出来る銀河連合ではないぞ!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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