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一兆年の夜 第五十話 エーテルは否定される(二)

 現れたのは銀河連合二体--二つとも鯛型。
 彼らの狙いはなぜかアン駈歩。「何故わてを逃さない!」と鮟鱇族独特の遠回りなエラ訛りを示しながら逃走する!
「狙いをつける相手が異なるぞ! 俺はお前らを死なせに来たのに!」
「銀河連合とはそんな連中です! それがしも協力しますか!」
「いや良くない、銀河連合を死なせたことのない君では食われて同然だ! ここは俺が責任を果たす!」
 だったらさっさと見守るのやめろ--逃げ回っても愚痴を示すアン駈歩。
「示さなくともわかるぞ!」
 オニ子が最初に狙うのは左側の鯛型--まん丸とするが遊泳速度は僅かに速いけど、オニ子に比べれば少し遅い。
 二つの距離は現在成人体型二百を切る--両魚互いに気づく!
 いざ尋常に勝負--まるで遊戯の審判をするかのようにチヅヨが泡で合図する!
 先制したオニ子はまん丸な鯛型の背びれを噛みつく! 鯛型はもう一体の鯛型の方へと鰭を動かす事で二体一の状況を作ろうと画策!
「正しい選択、それが戦いというもの! だが、掴んでいるのが俺でなければこうやって--」
 オニ子は何とチヅヨが居る方角に真ん丸な鯛型を投げた! 「それがしが危ない!」とチヅヨは背中を向けた! すると鯛型はチヅヨの背中にぶつかり大きくのけ反りながらオニ子から見て左の方角へ流されてゆく!
 これも戦い方だ、許せ--とオニ子は鬼金目族の強面な形相と共に鋭い牙を剥きだす!
「勝負あったな、まん丸い方は目ん玉を噛まれてさらに痛がり、止めは--」
「もう着いた! お前さんは恐がるのか楽しんでいるのかどっちだ?」
 どっちも正解だよ--チヅヨは素直に答える。
「さあ残りは傷ものただ一体だけ!」
「それが……アン駈歩を追っかけたまま姿を眩ました」
 本当なんだな--オニ子は本当かどうかを動き回りながら確認する。
「まあ心配無用ですって。あいつは満足しないことばっかり言うけど、ちゃんと生きて帰りますぜ」
「そうゆうもの伝えは却って安心させなくするだろう! 十六の年より前に起きた雄略大陸西側で起きた大地震とアララギノ正体全滅事件のように!」
「あの二つは大袈裟だよ! それなら二十七の年より前に起きたラテス島を食らった空の方が--」
 とにかくそれくらい安心できないってこと--話を打ち切ったオニ子。
「ま、まあゆっくり待てばいいでしょう。ここは深部五。安易に探せる場所じゃないからね」
「はあ、ここは心に留めるのは諦めよう。却って健康を良くなさせるし。仕方ないから場所を変えて銀河連合の打倒を続けよう」
「そうしましょう。ついでにそれがしは『光観測』を続けよう。光は果たして波なのか? それとも粒なのか?」
 それが『光観測』なのか--呆れるようにエラを動かすオニ子。

 午前九時三十分八秒。
 ここはどこまで離れたか--アン駈歩は傷の付いた鯛型から逃げ切ったもののどこにいるかを見失う。
(こんな深海で先輩やチヅヨに会うんじゃなかった。あの者達と出会う度に思い知る、痛い目に遭うってのを!)
 それでも全てが全て痛い目に会うわけではなかった--下の方を見ると輝く何かを発見。
(下へ行けばいくほど光はない。なのに光るということはもしや『竜宮』がここにあるのでは?)
 彼は『竜宮』に憧れを抱く。それは将来『竜宮』で一生を過ごすのが目標。純でない動機の下、輝く何かに近付くアン駈歩。
(もちろん周りを見渡しながら泳ぐのは共通の常識。わては『竜宮』に辿り着く前に死んではならない。誰も居ないなら安心だが、世の中はそうは上手くいかねえ)
 それでも普段から愚痴の多いアン駈歩にとっては悲観的になりやすく、両鰭は思うような速度が出ない。そうして輝く何かの正体が解ったのは発見して十の分より後。
「んだよ、てめえ! 期待を高めさせるな、コラ!」
 その愚痴はあんたなの、駈歩ちん--齢三十にして九の月と六日目になる藤原鮟鱇族にして従姉弟にあたる藤原アン貴茂だった。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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