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一兆年の夜 第五十話 エーテルは否定される

 ICイマジナリーセンチュリー百六十四年十二月百十日午前九時零分九秒。

 場所は真正神武東海洋藤原。珊瑚島より西におよそ成人体型三千二百。深部五。光
が届かず、暗闇だらけの世界……深海。
 そこでは陸上種族が地上と地下で大きく異なるように海洋種族もまた浅海と深海では
生態系が変わる。光すら届かない上に水圧が大きい世界では目は闇を照らす方が暮らし
やすい。
 説明はこのくらいにして今一名で泳ぐ生命が居た。
(全くシャーク傭兵団は深海の管轄にまで口を出すんだから質が良くない! 鮫族なんだ
から浅海にだけ口出し……いやエラでもだしゃあいいんだよ。こんな碌でなしの世界にま
でエラを出しやがって!)
 彼の名前は藤原アン駈歩。齢三十にして十の月と三日目になる藤原鮟鱇族の雄。彼
は満足しない事を息でも吐くようにエラで示すが、やる事はやる生命。今日は調査の為
に珊瑚島に近い深海を泳ぐ。
(その調査とは『藤原マス太の子孫』。何で実在するかもわからん一族を調べなくちゃいけ
ない? わてはそれが理解出来ない! もしや支部はわてのような深海種族を遊ばして
いるじゃないだろうな! 奴等は深海を泳ぐ事が出来ん身体だからか?
 ああー! そう考えると怒りが込み上げてきたぞ!)
 オーイ、オーイ--泡による貝式エラ会話で呼ぶのは齢二十九にして十一の月と二日
目になる物部鸚鵡貝族の青年。
「あめえは物部チヅヨか? 雌みたいな名前しやがって!」
「ここはお早う御座いますだろ、アン駈歩! 会ってそうそう愚痴をこぼすな、腰砕け!」
「ほざいてろ! わては暇が欲しいんじゃ!」
「全く気分が落ち込んでゆく一方だ。お前との会話は」
「年上じゃないんに『お前』とは何だ!」
「それの何が良くない? いっつも--」
「こらこら二名」
 あなたは--チヅヨの視線に現われしは齢三十一にして一日目になる蘇我鬼金目族
の中年。
「蘇我オニ子を知らぬ者は居たら返事しろ」
「オニ子先輩だろ? 雄らしくない名前しておいて雌らしくない先輩!」
「君らが雄として情けにないのがいけないだろ? こんな所で油売りの真似をしている場
合じゃないぞ」
「そうだった! それがしの目的は『光観測』だった!」
「『光観測』? まあ良いとして先輩は目的がない訳じゃないだろ?」
「相変らず鮟鱇族のエラ会話はややこしい。
 そうだな、『銀河連合を打倒すること』かな?」
 うう--アン駈歩だけでなくチヅヨも表情を硬くする。
「確かに恐い。銀河連合は会いたくない。だが、仕事だと思ったらどうしても……早速来
たぞ!」
 オニ子先輩は必ず吉とは縁遠いんだよ--アン駈歩の見る場所に愚痴を溢さない箇
所はなかった!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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