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一兆年の夜 第四十九話 燃える氷の怒り火(十)

 午後八時十七分三十四秒。
 長谷川カブ弥は甲羅にはいくつもの傷を受けながらも彼は一名で四方八方より合計二十七体もの銀河連合との死闘を繰り広げる! 最初の十分は優勢に働くも今では一対一の状況は最早なく、身体を掴まれながら一方的に食われてゆくばかり。
 そんな彼でも誰かは知らない鯛が救援に駆けつけたお陰で死の状況は回避されてゆく!
「無事なのか?」
「ナマンダが死んだ!」
「これでもう三名だけに……そ、それじゃあどうして副長イルカナは居ない!」
「あのじじいの頼みだ! 若い命をこれ以上……囲まれたぞ、カブ弥!」
 ああ--カブ弥ら二名はそれぞれの道を進むかのように泳いでゆく!

 午後八時二十分三秒。
 老年イルカナは尾びれごと尾を食われ、以て五分の命となった! それでも己の精神は高潔であり続ける!
 銀河連合は油を断つのか、急襲する戦法をとる! そこに狙いを付けたイルカナは間合いに入った銀河連合の急所を次々と狙い、噛み砕く! 下手に身体を動かさず、銀河連合を限界まで惹き付けながら一体一体丁寧に倒す。
 制限時間内で最初の一の分まではそれが有効だった。だが、そこを過ぎると銀河連合はゆっくり近付く戦法に変更。もはや返し技は通じなくなった。
 そんな状況でイルカナがとった行動は何もしない--命を捨ててでも魂だけを残す最大限の抵抗であった!

 午後八時二十五分十二秒。
「じゃあ行ってきます、父上!」
 アラツネを比較的安全な場所に隠れさせたアラカツは最後の戦いへと赴く! 彼がまず向かったのは自分達がは行っていった道を通る事--即ち外へ出る為に出入口に近付く。
 ここでアラカツは奇妙な感覚に襲われる!
(おかしい! 自分ここ通ったはず! なのにさっきとは景色が違う!)
 そう思い、振り返るとまたしても奇妙な現象を目撃--さっきまで泳いでいた道が変わり、目の前にあるのは奇妙な崖。
(これが『秘境』呼ばれる場所なのか! こうも景色変わりすぎると自分どこ向かっているのかさえわからなくなるぞ!)
 また振り返ると予想通り景色は誰も居ない左右に人族像が並ぶ通路から三体もの巨大な人族像--左には指揮官型によく似た複数本もの手が生えた筋肉隆々の像。右には両肩に穴の開いた望遠鏡を生やす全身鎧の像。中央には無数の目を抱え、背中に複数の翼を生やした像--を背景に百体以上の銀河連合が居る部屋に遷る。
(奥にある三体の人族像一体何を示す? 神々何自分伝える? 最早遠すぎる時代しかわからない予言!
 今は目の前の銀河連合全部倒してやる!)
 それが出来るのは歴史上見ても天同生子だけ……わかりきってはいたが、敢えて挑戦するのがアララギノアラカツ! 彼は真っ直ぐ駆けて行き、三体もの銀河連合を倒した所で限界を迎える!
(食われてゆく……し、ぬぅ、かぁ? ぁ、ァァ、ん……)
 目を全て食われて視界を失い、耳の器官を食われて音を失い、全身を食われて痛みに喘ぎながら彼は何かが怒りを込み上げる感覚に気付く……『秘境』周辺で大規模な地震が起り、それは雄略大陸南西部に巨大津波を与える! 巨大津波は当然炎のように燃える為、流すと同時に流れなかった建物、木などに火を付ける!
 この地震と津波による死者は十万名以上、負傷者はその倍の三十五万名以上、行方不明者は五万名以上となる。神々は銀河連合による都合の良い展開への対抗策として巨大地震を発生させたのかも知れない。別の見方をすれば大陸移動で生じた力によってこれだけの巨大地震が起ったと言える。
 いずれにせよこれだけは確かだ……アララギノ小隊の生存者は零名である事を。







 ICイマジナリーセンチュリー百六十年十二月百八日午後九時零分零秒。

 第四十九話 燃える氷の怒り火 完

 第五十話 エーテルは否定される に続く……

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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