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一兆年の夜 第四十九話 燃える氷の怒り火(九)

 午後七時十五分十五秒。
 場所は不明。海の秘境と思わしき場所。
 秘境とは神々が眠り続けるまか不思議な地。地理も年を追う毎に変化するなら正確な面積も精神のように変化。なおかつ正確な位置すら掴めない。それが秘境が秘境たる由縁。
 アラカツら六名は水の惑星に現存する秘境の一つに着く。
「父上、ここから先は自分めが指揮を執ります!」
 イカレガの死を以て精神が崩れたアラツネの表情は笑顔で満たされる。
「年をとりすぎるとああして情緒が保てなくなってくるの?」
「そうじゃないよ、先輩。分隊長はあまりにも仲間の死を見すぎて精神の均衡がおかしくなった。もう死んだも同じ状態だ」
 死んだも同じか--誰か知らない者はアラツネに見えない角度からそう伝える。
 彼等は不思議と躓くことなく秘境を泳いでゆく。その訳は秘境の水温が深部一の場所以上に安定しており、それでいて周りが見える程に照らされる。
 あまりにも住み心地よい場所を探索してゆく六名は襲撃に備えて今日最後の食事を摂り始める。
(元々が支援分隊だから食事明日まで保つ。いや、正確には一食ずつと換算すればあと三日は保つかな? 取り敢えず腹ごしらえを済まさないと戦いに支障をきたす。食事時こそ自分達生きている証!)

 午後八時零分十一秒。
 六名は秘境にある不可思議な建築物や構造物、それに像を調べ回る。
(鯨系の海洋種族使う信号を応用してそうな巨大な人族像二つカンガルー拳法が使えそうな人族像まである。後は超巨大な建物型の人族像それ乗っかる鳥族の姿……いや人族にも人鳥混合型にも成れそうな像まで。神々眠る地とはこうゆうものだったのか!)
「不思議な所だね、総長!」
「カブ弥か。確かにこの地は見ていて飽きない。これが神々が眠る地『秘境』なのか!」
「ところでイルカナにはいざという時、信号を送るのかしら?」
「そのように指示を出したよ。今じゃあ指揮官は自分とイルカナだけになった。父上はとても指揮出来る状態じゃない。となると前線指揮はイルカナしか居ない」
「どうゆうことだ、七光り?」
「あんた聞かなかったの? 総長は分隊長を安全な場所に避難させる為に私達に指示が出せないのよ。だから戦う際はイルカナが直接指揮を執るのよ!」
「その方がいいですね。誰だって肉親が一番大切ですし。僕なんか生まれた時から既に肉親どころか兄姉さえ居ない。親が居るだけでも幸せな方ですって」
「よくわからん……な?
 お前らよお、七光りどこ行った?」
 総長なら神々が宿っていそうなあの木造建築の建物に入ったわ--身体の方を神武聖堂に近い形をした建物の方に向けるナマンダ。
「あの場所は入りづらい気がするよなあ。僕みたいなどこの骨とも知らん種族が入って……副長から届きましたか!」
「ああ、こんな時に銀河連合が来やがった!」
 ほんとだ--ナマンダは空がある方面に身体を向けるとそこには一の時より前に襲来した時よりも十倍の量で現われる銀河連合の大部隊!
「俺達は六名だが、分隊長と総長は現在戦力から外れる。となると--」
「たった四名……どう考えても死にに行くわ!」
「だけど僕達は守る為なら数なんて関係ない! この命を燃やしてでも--」
 四名はイカレガ同様誰かの礎となるべく--
「「「食い止める!」」」
 駆け抜ける!

 午後八時十五分零秒。
 アラツネとアラカツは神々の住まいを進んでゆく。
(父上。もう治すこと叶わなくとも魂はまだ生きておられる。どんなに辛くても生きていればこんなにも嬉しいことはない。どうか神々、父上支えて下さい!)
 アラツネに気配りしながらもアラカツはある考えが浮かぶ。それはセネカ集落に伝わりし、『竜宮』伝説。『竜宮』には空、陸、海の種族それぞれによる主張が異なる。
 空中種族によれば『竜宮』とは実在が危ぶまれる恐竜族の都を指し、彼等が過去へと還るまでに理想郷と呼ばれる世界を作り上げたという説。
 陸上種族の場合は『竜宮』とは海に住むであろう陸上種族達が捨て去った技術を用いて作り上げた都市。遙か未来に実現する文明都市という説。
(海洋種族場合はそれこそ弥勒菩薩そのものであろう。それは即ち人生の終りに相応しい極楽の地。自分またここに来て命を捨てる時が来た。済まない、みんな)
 アラカツは父アラツネと共に巨大な魚荒族が拝む像を眺めながら何かを唱えるように口を動かす。彼には外で何が始まったのかに気付いていた。それだけでなく、自分達に逃げ場がない事にもようやく気付いてしまった。
 只一点だけ気付かない事があった。それは徐々にではあるが、悲鳴を上げるように響く大陸移動の音に……!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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