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一兆年の夜 第四十九話 燃える氷の怒り火(二)

 午後零時一分五秒。
 場所は深部三。かつては銀河連合の拠点だった海底洞窟。シャーク傭兵団の拠点になってまだ九の年しか経たず、現在も大量の活性炭が設置されたまま。そんな場所に潜伏するのはアララギノ小隊。現在の数は十一名。残った分隊はタダナガラノ分隊のみ。この分隊は主に支援活動に精を出す。よって小隊に於いて欠かせない存在。彼等のお陰で残った十一名はこうして昼食を摂る。
「置いていった分隊の中に命を惜しんで生き延びる傭兵を待つのはいいけど、お父上よ。可能性はありますか?」
「無ければ困る。彼等が軽傷で済む状態で戻ってくるとは限らん。けれどもわしらは銀河連合とは異なる。無事を信じないでどうする!」
(無事を信じる? 生きている可能性が薄い状況でお父上どうして楽観的だ! 自分お父上考えが読めない。あの時だってそうだ。お父上命令がなければ四分隊無事でいられたのに!)
 どうやら若は満足なさげそうだな--齢二十五にして一の月と一日目になるエウク海月族の青年は身体を揺らしながらアラカツを見つめる。
「コラ、クラ彦! エラ会話で示さないの!」
「もう気付いてるよ、ヒト菜。というか五本腕で感情表現するな!」
 はあい--齢二十六にして二の月と十二日目になる武内海星族の女性ヒト奈は反って省みない反応を見せる。
「どうやら学ばないな、この雌。まあ雌の心はいつだってその場その場で変わると言うしな」
 あなたが伝える義理--齢二十九にして三の月と二十五日目になる物部海栗族の青年に反論するヒト菜。
(そう思えばタダナガラノ分隊個性豊かな連中が犇めきあった。分隊長タダナガラノイカレガ始めとしてヒト菜に大川クラ彦、それにナマンダ・ナマーネ、さっきの宋雲丹、長谷川カブ弥、ヤッドン・アリアスとどれもとても戦闘に適さない者達ばかり。ん?
 誰か居たような--)
「おかしいわね。私達って十一名しか居ないのに後一名思いつかないわ」
 本当だ、どうしてなの--齢二十にして四の月になったばかりのルケラオス甲蟹族の青年は齢三十一にして六の月と五日目になるラテス海鼠族の熟女から聞かれた通り残った小隊員すべてを数えた。
「まあたい亜の事は後にしようじゃないの。今は四分隊に生き残りが逃げ延びて来るのを待つしかないだろ?」
 果たして居んのかよ--齢二十四にして七の月と二十一日目になるクレイトス宿借族の青年は待ちきれん様子。
「クラ彦のように楽観し過ぎるのも良くない。かと思ってもヤッドンのように我慢強くないのも良くない。我ら分隊は心の均衡が保たれてないと支援に向かない」
 よくそんなことを伝えるか--誰かはわからないがとにかく齢三十五にして八の月と四日目になるセネカ鯛族の中年は齢三十四にして九の月と三日目になる仁徳烏賊族の中年タダナガラノイカレガに宜しくない態度をつく。
「まあいいじゃないか、タダナガラノ分隊の者達よ。これはわしの独断じゃ。いつ死んでもおかしくない老年じゃからとうとう気がおかしくなったと思えばいい訳じゃ」
「お父上! そうやっておかしいフリをするのは止めて下さい! そうやって下にして自分を持ち上げる行為はますます情けなくさせます!」
「まあまあ若。気持ちだけでも受け取ればいいのよ。何ならあたしが--」
「どうやらその暇はないっての、ヒト菜先輩」
 もうこんな所まで嗅ぎ付けるか、銀河連合--ヤッドンの視線に移るのは片方の二分隊を食らった梶木鮪型。眼光こそ銀色に光るもののその輝きはまるで相手を殺し尽くすかのようだ!
「皆の者共! ここに銀河連合が居るということは反対の方角にも同様のモノが……どうやらわしの思った通りになるようじゃ」
 は--ナマンダが振り返る先には別の二分隊を食らった梶木鮪型が反対方向に位置する同種に目で合図を送る。
(わかりやすい合図! あれ『食べ物が動いたら一斉に挟むぞ』という文字。いや……異なるか?
 簡単な合図で正しいのか? もしかすれば『~と見せかけて別方向から』……いやこの洞窟二箇所しか出入口がない。となればここは『~と見せかけて逃げる振りをする』の方か?
 他考えられるか?)
 小隊の命運はアラカツの頭脳にかかる……!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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