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一兆年の夜 第四十九話 燃える氷の怒り火

 ICイマジナリーセンチュリー百六十年十二月百十八日午前十時八分二十三秒。

 場所は古式神武江田船山海深部三。雄略大陸の南西にある海。
 海洋種族の住居は新天地(があればの話)を除けばほぼ全ての海、川、湖に生命が
暮らし、地域社会を形成。だが、唯一雄略大陸の周囲だけは未だに開拓されない。
 理由は雄略大陸が技術集団の住処故に清浄な川、海が形成されない。よって、海洋
種族が暮らすには適さない環境になりがちだ。そんな清浄でない海である故にとある存
在にとっては極楽浄土であり、繁殖に適した環境と化す。
 ここ江田船山海にシャーク傭兵団江田船山海担当小隊『アララギノ隊』は深部三に拠
点を置く銀河連合の大部隊と遭遇したばかりだ。
(自分アララギノアラカツ父小隊長アララギノアラツネ指揮下に入る。自分どこの分隊に
も所属しない。情けないことに自分副長を務める。父曰く有能だとのこと。果たして自分
有能なのか?)
 齢二十二にして五の月と十日目になる応神魚荒族のアラカツは自分に自信の持てな
い青年。彼は齢四十五にして十の月と二日目になる応神魚荒族の老年アラツネの第三
十五子として誕生。彼は末っ子として産まれたが故にいつも兄や姉達と区別され、己の
無力感を味わう毎日。何をやっても兄姉達と比べてしまう。そんな彼も一族の掟なのか、
シャーク傭兵団に就職。だが、己は七光りである事を認める故か父アラツネの小隊に自
主転属。そして現在に至る。
「アラカツよ。お前はわしの伝える通りにすればいい。そうすれば立派な魚荒になろう」
「お父上は昔から自分を子供扱いする。けれども、この状況では従いましょう」
「わかっておるわい、主の気持ちくらいは。んで銀河連合の数が多い時どうする?」
「決まってるでしょう。真っ向勝負を避けるのみ」
「そうじゃ……各分隊のヒヨッコ共! 我等小隊の数は何名か伝えてみるが良い!」
 アラツネは泡で貝式エラ会話を五名の分隊長に伝える。全員--四十名--と返信。
「向こうは素者目で見ても百体以上……撤退じゃあ!」
 アラツネは後ろを振り向く--アララギノ小隊では『撤退』を意味する。
(撤退するのはいいが、自分副長である以上は全体を見渡さな……これは!)
 アラカツの反応にいち早く気付くのは同じく副長である齢三十八にして二十八日目に
なる武内海豚族の老年イルカナ。無口だが、伝えるべき事を素早く伝える雄。イルカナ
から電信された情報を頭に届けられたアラツネ。彼は撤退方向を包囲するように襲いか
かる銀河連合への対処法を各分隊長に伝える!
(『各個撃破』ってのは自分達数が甲足す一以上になってはじめて出来る戦法。普通の
銀河連合であればこれは有効だが……向かってくるのは二体。それも梶木鮪の形をした
銀河連合! 普通じゃない!)
 アラカツの反応にまたもや気付いたイルカナはそれをアラツネに伝えるが--
「各個撃破じゃ。例え二体の梶木鮪型が小隊を食らう為に包囲してきても……じゃ」
 右方二分隊と左方二分隊は梶木鮪型一体を倒すべく突撃する! 一方で中央分隊と
アラツネ、アラカツ、イルカナは真っ直ぐ撤退してゆく!
 アラカツは後ろを振り返る--右方を見ると圧倒的な強さを誇る梶木鮪型相手に次か
ら次と食われてゆく傭兵達を目撃!
(済まない……明石分隊、東郷分隊、山本分隊、シャチルソン分隊!)
 彼等の覚悟を見たアラカツは背ビレを向けて生き残ったタダナガラノ分隊の後に付い
て行く!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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