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一兆年の夜 第四十八話 大陸移動の予兆(五)

 暗闇の世界では影とは光を表す。それは闇だけの中で唯一光を放つ影。命無き魂が残す光の影。命無きモノ達はそうとは知らずに光を放ってしまう。それを見逃すサバ蔵ではなかった!
「では逃げるぞ、付いてこい!」
 ままてくれ--サン幕は慌てながらもサバ蔵にひっつきながら跡を追う!
 その逃走は正に命の駆け引きに等しい! 次々と死んだ角度を狙うように仕掛ける銀河連合にサバ蔵は耳と肌で波の音を嗅ぎ付ける事で躱すと同時に軽く噛み付ける事で銀河連合に損傷を与えながら逃げる!
(何だかよくわからっちゅうが、班長は銀河連合の気配がわかるっちゃ! しかも何だか噛み付いてもいるっちぃ。知らないけっちゃあ、血の波が僅かに見えるからそうだろうっちゅう事! 噛み付きなんて良くやるっちょ、班長っちぃ! 多分勝ちたい性分がこんな状況でも現われている証だっちゃあ。またまた班長も強者の誇りが強いんだからっちぃ。俺は絶対そんなこと出来ないっちゃあ、噛みつく前にか見つかれ返されるどころじゃないっちゅうねん! 下手すれば食われてしまうんだろうなっちゃあ。恐い恐いっちゅうねん。俺は学者筋でよか--)
 サン幕は気付く--あまりに思考しすぎて付いて行く対象が異なる事に!
(ええとっちぇ、どちら様でしょうかなっちぃ? 銀河連合様っちゃあ? 暗いけど、触ってみるとわかる気味の良くない感触っちゅうもの。他には……四面楚歌っちゃあ? ところで四面はわかるけどっちぃ、楚歌は何っちぃ? 多分神々の名前でしょうなあ……って腰砕けた事はいいから早く--)
 全く手間をかけさせる魚だ--通じない事を承知でエラ会話しながらサン幕を食らおうとする鯛型を噛みつく!
「班長! 血が--」
「見える訳無いが、伝えたい事はある程度わかる! けど……俺もこれまでか」
 右眼をやられてこの場に三体いる魚種の銀河連合に食らいつかれようとしていた……が都合のいい事が起こる!
 秋山班の頭脳係ただいま参上--右エラに傷を受けながらサバ蔵を救助する秋山班の副長蘇我イワ男だ!
「副長が--」
 エラ会話はここでは意味がないぞ--救援に来たイワ男と共に二名を助ける為に銀河連合河豚型の毒無き部分を噛むマッグネス!
「爺さんに……サケ眼まで!」
「俺が来ない訳にもいかないでしょ、先輩! さっさと蹴散らしてさっさとこんな寒い所から逃げましょう!」
「みんなして腰砕けた奴等だ。最早何を伝えているのかさえわからん。ただわかるのは……俺達全員むさ苦しくくっついてろ、いいな!」
「「「「おう!」」」」
 四名は一斉に目で返答した! そして、五名とも狭苦しくくっつく!
「大丈夫かの、班長や?」
「右眼しかやられてはいない」
「十分大丈夫じゃない怪我だぞ、班長! それでどうする?」
「頭脳の癖して俺に頼むな」
「銀河連合の数が増えている気がする。このままじゃあ俺達は--」
「あわわー! あべればがげだぐじゃべぢら--」
「先輩! ちゃんと目の開閉をして下さい!」
「無理じゃな、サケ眼の若造。サン幕の若造は土壇場で何とか出来る生命じゃない事くらい--」
「長文ばかり伝えてないで……時間切れ」
「僕はこんな所で死ぬ?」
 五名は己の運命を受け入れ始めた。刻一刻と数十体迫る銀河連合の牙に触れようとしていた。
(死ぬ前にアルパカルトの『我思う故に我あり』を研究したかっちゃあ。それか『自然数の最終定理』やら『カーモネー予想』やら『バルケミン方程式』やら『フク兵衛予想』やら『世界観問題』やら『ヒトデナシ龍脈図』やら……えっちゅ?
 『ヒトデナシ龍脈図』っちぃ? 思い出したら死にたくないイイイイイ--)
 牙が触れるよりも先に……燃える氷は周囲にいる銀河連合に襲いかかる!
(って何っちゃあああ! 突然灯りが……うわっちいい!)
 今度は五名に向かって氷の炎が襲いかかる!
「ち……これで少しはわかる! 皆の者! 火に気を付けながら逃げるぞ、付いてこい!」
「僕は右エラに傷を受けている以上は誰かに支えて貰いたい……マッグネス殿!」
「わしで不十分かの?」
 十分だ--満面の笑みを浮かべるイワ男。
「先輩、火と遊んでいる場合じゃないでしょ!」
「だけど、俺に降りかかっていて中々消えない! 海の中なのに--」
「早くして下さい! 銀河連合にまた包囲されたらもう機会はないんだから!」
 わかったって--サン幕は火傷を覆いながらもサケ眼の後を付いて行く!
「班長、奴らが追っかけてくる!」
「想定内だ! 気合いで逃げ切るんだ、いいな!」
「わしはイワ男の若造を抱えている以上は中々どうしてか--」
「まだマシな方ですよ、お爺さん! 俺なんか先輩を先導させなくてはならな--」
 突然五名は強烈な揺れで意識を黒い場所へ飛ばされた!









 未明。
 サン幕の意識は日の光によって取り戻してゆく。
(ンァ……ぁぁ、ぃぃ、ぇ、ぉ、こはっちゃ?
 眩しい……えっと何だっちゃあ? そうかっちゅうねん! 俺達は囲まれて死にそうだったのを突然『燃える氷』によって……そう考えたらみんなはどこっちゃあ!)
 全身に受ける軽度の火傷に苦しみながらもサン幕は周りを見渡す。そこには彼と同じく全身に軽度の火傷を受けながらも日の光で起き上がる秋山班の四名が居た。
「生きてるんだ、俺達!」
「そうじゃの。また老いぼれは生き延びてしまうとはのう」
「あつい……全く何だったんだ、あの揺れは!」
「僕の考えでは多分、『燃える氷』が溢れたのは地震の前兆」
「前兆? 詳しく伝えてくれ、イワ男」
「はい。サン幕の話を基に僕なりの解釈をするけど、恐らくは棒同士が擦り合う反動で大地にくっついていた炭化水素の固体は飛散した。本来なら深部六にくるまでに海に溶け込むはずだったが、どうして僕達を襲ったのか? それは深部六が最も深い所だったのが原因だろう。逃げてゆく僕らと銀河連合を捉えるように強烈な揺れが発生し、現在の深部零付近まで持ち上げられた……だろうな」
 深部零--サン幕のみならず、他の者も空を見上げるとそこにはお日様の光が眩しく照らす!
「じゃあどうして我等はここまで持ち上げられた?」
「そこはサン幕に任せる」
「やっと出番が回りましたか! 出番は大事ですので--」
「いいからさっさと説明しろ、サン幕!」
 サン幕によると星の活動で生じる棒同士の擦り合い。そこから発生する力こそが地震と呼ばれるもの。地震もまた距離が近ければ近い程、対象は放たれる力に大きく左右される。結果として秋山班と初めとした深部六のもの達は強烈な反動で深部零付近まで吹っ飛ばされる形となった。
「……成る程。ただ、安心出来ません。俺達が生きているという事は同様にあいつらも生きている証拠じゃないですか! この先どうするというのです!」
「心配無用じゃ、サケ眼の若造。この場所はどこじゃ?」
「どこって……あ! ここは北物部海!」
「そしてここは海洋稲目市が近くに……あったね」
「じゃあ我々は稲目市に針路を向けて出発するぞ!」
 五名は海洋稲目市へ向けて鰭を縦横無尽に動かしてゆく!
(北アリスティッポス海には『ヒトデナシ龍脈図』に記された血管があるっちゃあ。二度の揺れは間違いなく血液が流れっちぇ、大地が躍動しっちゅうた! そしてっちぇ、近場のものを揺れ動かすっちゅう訳だ!
 あんな力が出たら間違いなく大地が少しずつずれてゆく……『大陸移動論』の示す通りにっちぃ! ひょっとすると大陸は俺達の人生を数千回もかけて変動してるかもしれっちゃあ! いやっちゃあ、可能性は……いつになればこの理論は証明されるのかっちゅうねん。悠久すぎて誰も彼もわからんと違うかなっちゃあ)
 星が我々と同様に成長するのならそれは我々とは違う時間軸で形を変えてゆくだろうか? そもそも現在の地図が遠い時代の地図と一致するのか? もはや知らない内に改竄された世界地図を精査する程の時をかける事は超越者にでも成らなければ実現出来ないだろう……。




 ICイマジナリーセンチュリー百五十八年十二月九十八日午前六時零分零秒。

 第四十八話 大陸移動の予兆 完

 第四十九話 燃える氷の怒り火 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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