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一兆年の夜 第四十八話 大陸移動の予兆(三)

 銀河連合が全生命に休息を与えるはずがない。そんな事は常識中の常識。けれども、全生命は性質故に休息を望む。同じように痛みを分かち合えると思い込む。これ生命と銀河連合が分かり合えない小さくて大きな理由。
 ならばこそ銀河連合は話をさせる時間など与えるのか? それは『世界観補正』と呼ばれる都合の良いものが働くせいなのか? そもそも『世界観補正』は神々が作りしモノではないのか? 遠すぎる過去に於いてはまだ解明されない謎として残る……。
 そんな風に明石サン幕は神々のように思考する。しかし、生命が神々のように考えるのは無理な話。生命の脳は矛と盾が互いにぶつかり合うように一致しない箇所が多い。数学で説明するなら「私は真実を話さない」と言った生命の矛と盾を証明するのが困難なように。
(こんがらがるなあっちゃ! かつてのアリスティッポス奪還に関する歴史書では氷が襲ってきっちゅ、氷上とはいえアザラシがチーターよりも速く動いたりするという異常現象が発生したっちゃ。あの現象と同じく我々を保護する『世界観補正』は一体どうゆう原理で銀河連合の時間を遅らせるっちゃ?)
 サン幕が十の分もの思考時間に秋山班と銀河連合の比は一対三。圧倒的に利がない。サバ蔵が所持する五本の海中式雄略包丁は刃毀れで使い物にならない。イワ男が所持する袋は五つだが、既に中身は空っぽ。サケ眼が所持する三本の銛は全て丸まって刺しにくい。残ったマッグネスは徒歯空牙。だが年のせいもあって上歯は残り三本、下歯は二本の状態。
「僕の頭脳を使わなくてもこの状況は既に戦えないと宣言してるだろ!」
「けれども、俺達が撤退出来る空間が少ない。二択なんぞ傭兵はやってはならんぞ!」
「一方は銀河連合が狙いを付ける位置。二分の一程それより少ない数値よりも難しいものはない!」
「若いのう、サケ眼は。けれどもその答えは少し正しいぞ」
「また燃える氷が助けてくれたらこれほど俺達が助かるものはないと思いますよ。ただし、その時まで俺達が無事であればの--」
「神々に頼るのは本当に死ぬ時以外にしろ!」
「その通りです、班長! サン幕よ、それは『気合いで何とかしろ』と同じ意味だ!」
「わしはいつでも気合いで--」
「何とか出来ません! そもそもそれは空想話で通用する話で--」
「などとお喋りしている内に奴等が一斉攻撃を仕掛けたぞ! 全員俺に拍子を合わせろおおおおお!」
「班長! どどど、やててややるるなおえおうえ--」
「ちゃんとエラ会話して下さい! 混乱しすぎて伝える内容が訳わかりません、先輩!」
「今が班長の拍子だ、皆!」
「んじゃあバラけるぞい!」
 五名は全ての持ち物を放り投げて銀河連合の一斉攻撃を躱してゆく!
(ギリギリっちゅうねん! けどっちゃ、生きてるだけマシだなっちゃ!)
 サン幕は他四名同様銀河連合から逃れる為に異なる方向を泳いでゆく--更に深い深部四の光が僅かに届く所まで……。

 午後十時三十分三十秒。
 場所は北アリスティッポス海深部四。月の光が届かない暗闇の海。より凍える水温。だが、真下には星々のように輝く何かが見える。真正細菌族だ。彼等は極冠の地に適応された真正細菌族。
 真下に済む真正細菌族達のお陰で明石サン幕は可能な限り壁にぶつからずに泳げる。
(はぐれたのは仕方ないっちゃ。ああするしか……サビイっちぃい! がくがくっちゅ、とっとと深部三に戻らないといけないっちゃ! でっちゅ、でも上が暗くてわからないっちゅお! かろうじて下は真正細菌族が生命の炎を放つからいいけどっち、上は銀河連合が潜んでそうで泳げんっちゅ!
 下に向かう以外に他にはないっちゃ! まさか『竜宮』へと至る道を発見出来るかもっちゃ? ちなみに『竜宮』とはかつてのセネカ集落に伝わりし話っちゅうねん。確かIC一から十の年くらいに銀河連合に食われた……と伝えられたっちゃ? 昔過ぎてもうわからんっちゅうの。
 はあっちゅ、海洋種族は昔から後継者争いをしたがるっちぇ。俺はそんな争いから逃げるように傭兵団に入って自分のしたい事に挑戦してるけどっちゃ。跡継ぎ優先主義は俺には向かんっちゅうんや。いくら海が厳しい環境とはいえっちゃ。俺は俺の進むべき道で……サブイっち!
 ごのばばじゃあ……あれはっちゃ?)
 彼は体調の事を気にしない程に下の方に光る不思議な何かを探りに深く沈んでゆく……。

 午後十一時零分零秒。
「これが燃える氷なのか!」
 一名だけの世界でエラを動かすサン幕--深部五という周りの光に助けられる世界で上質な炭化水素を見た!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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