FC2ブログ

一兆年の夜 第四十八話 大陸移動の予兆(二)

 明石サン幕--空の張家、陸のアルパレア家なら海ではお喋りな家系として有名な明石家に産まれた。明石サン隆泊の第七子として。
 彼は現在シャーク傭兵団に就職。理由は自分がやりたい研究が出来る環境だけではない。けれども、それ以外に話す事は今すべきではない。やりたい研究というのは運命学の創始者マルメロ・バルケミンが提唱した大陸移動論。サン幕はその為に傭兵団に入り、前線を泳ぎ抜く。だが、戦闘能力は低い。なので戦闘に入ると見守る及び逃げる以外の行動は命令無しには行えない。正にお荷物と変わらない。
 そんな役に立つのかわからない彼でもこの日起こった地震と火を噴く津波に関しては誰よりも異なる反応を示す!
「あの地震は……間違いなく大地が移動している証拠だ! 恐らく大地を支える棒と棒同士が擦り寄って--」
「は? 頭の良い僕でも解るように……ここは熱すぎる。別の場所に移動しましょう。宜しいかな、班長?」
「自分で『頭良い』とか言うな、イワ男。だが、場所を変えるのは正しい。よって、撤退に変更無し!」
「そうじゃのう、段々熱くなってきた! わしはいいが、他の皆を死なせる訳にもいくまい!」
「という事でサン幕先輩は水温が比較的マシな場所に行きましょう! 急激な温度変化はさすがにきついからね!」
 四名に遅れるようにサン幕は--って聞いてる、みんな--と撤退命令に一拍子ずれながらもその場を後にした!

 午後九時零分零秒。
 北アリスティッポス海深部三。無数にある廃洞窟で二番目に小さな場所。水温は先程戦闘した場所に比べて僅かに低い気温。だが、彼等秋山班にとっては燃える津波で暖められすぎた場所に比べれば住みやすい環境。
「寒い。長話はするなや、サン幕の若造」
「え? 何の話?」
「御免。僕がいきなり場所を変えるように提案したせいで」
「謝るな、イワ男。それにあれを聞いて命令したのは私だ。よって謝罪はするな。それに爺さんの伝えるようにさっさと説明しろ、サン幕!」
「だから何を伝えればいいかわかりかねますよ、班長と蘇我副長。大体何の話をするかを先に伝えないと--」
「先輩。寒いからさっき俺達に伝えたかった『大陸移動論』とさっきの地震がどう繋がるのかをもう一度説明して下さい!」
 ああ、その事か--やっと理解したサン幕は右に一回転する。
「いいでしょう、この天才が伝えましょう! 明石サン幕はお喋り好きな明石家の第七子に産まれたからには--」
「前置きはいい! さっさと本題に入れ、サン幕!」
「そう焦らずに、班長。えっと本題とはどんな話にも必ずありまして--」
「本題の説明じゃなくて君が伝えようとした事を説明してくれない?」
「御免、副長。えっとどこから話そうか迷うんだね。話にも繋ぎはありまして--」
「寒いからさっさとしてよ、先輩。もう始めでも終わりの方でもいいから!」
「それじゃあどこにすればいいか余計に迷わない? 最初から? それともあの部分? それか--」
「「「いいから始めろ、腰砕け!」」」
 サン幕があまりにも余計な事を伝えようとする為、しばらく十五の分は彼等の掛け合いに終始する。そして、ようやく本題に入る……。
 サン幕の話は聞き流していい部分があまりにも多く、台詞に表すのは骨が折れる。よって簡略して説明を始める。
 彼によると地震の発生要因は主に地の奥深くに関係する。奥深くは直接見る事は叶わないが、巨大な棒が重ね合わせにある。棒同士が動けば反動により必ず地震が発生する。そして、地震の発生は時間差に左右されやすく、未だにどの拍子で来るのかを予測出来ない。けれども、地震の前兆だけはほんの短い時間に予測は可能。その予兆は人族を中心とした一部の種族を除けば、耳では判別しにくい音が発生。音の後にほんの僅かな揺れが発生。この揺れ自体は大きな被害には成り得ない。だが、この揺れの後が問題である。それこそが強力な揺れ--地震--が直後に来る。その為、先程説明した判別しにくい音と僅かな揺れこそが地震の前兆。音を聞き取る事が出来れば地震への対処が容易になる。けれども僅かな揺れで感じ取るなら事既に遅い。地震とは全生命が対処出来るような自然現象ではない。
「……成る程。んで深部零まで上った燃える津波はどう説明する?」
「班長……正確には津波は上りません。奥深くにある大地の上下運動が海に作用したり、或は海面の膨張で津波は発生します。しかも燃える津波はある物質が深部零まで上昇する事で発生します。あの物質は--」
「まさか『燃える氷』の事を指すのか!」
「知ってるのかあ、イワ男の若造よ」
「サン幕が説明すると長くなるので僕が解説に入ります。あの物質は海の奥深くに眠る氷。未だに伝承でしか説明されない物質故に鮟鱇族といった深海種族ですら取り出す事は難しい物質。何故難しいかは、水に触れるとすぐに散らばってしまい、使い物にならなくなるからだよ」
「へえ、『燃える氷』かあ。でも、それがどう地震と関係するの?」
「恐らくは棒同士の擦り合いで巨大な熱が発生したのが原因じゃろうか?」
「正解に近いけど、外れだよ。答えは上下運動の衝撃で『燃える氷』は発火したんだ、急激にね!」
「急激に? 偶然にも擦り合う場所に燃える氷が眠っていたと伝えたいのか、サン幕?」
「そうそう。それにしても偶然は恐い恐い。偶然程予想だにしないものはない。必然ならば予想出来るのに偶然なんて誰が予想出来るか--」
「先輩のお喋りは必然である事はわかりました。
 じゃあ地震と大陸移動はどう繋がるかを知りたいけど」
「大陸移動とどう繋がるかは--」
「お喋りはそこで終了だ! どうやらこんな場所にも銀河連合は潜伏してるぞ、気を引き締めろ!」
 え--サン幕以外は表情を固め、武器を構えた!
(ああ……どうするんだっちゃあ、俺の解説っちゅうのは!)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR