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一兆年の夜 第四十七話 質量は保存される(終)

 俺達迫り来る銀河連合の雨から逃げなければ! だ炎に包まれている今なら間合う! 俺もベンジャロボロスさん同じ考えの下逃げ続ける! こればかり生存本能の為すがままに逃げるしか道ない! 俺落下速度が加速する前に船に戻らないと! 銀河連合降下速度はいくら空気抵抗というもので限界が設定されたとしても雨の一粒を一般生命は避ける事出来ない。俺吉なし考えを隅に置いてでも鳴き声を背一杯出して自らの力を引き出し逃げる!
「耳に響くん! 俺は昔からお前ら蝉族の鳴き声が好きじゃない!」
「御免なさい! も残った生命よりも自らの命を優先した俺達の償いこれしかないです! 鳴き声せめて誰かが気付いてくれたらそれ十分!」
「などと言ってるん間に銀河連合の雨がもうあんなに--」
 近すぎる! 落下速度加速し出した! 早く港に戻らないと……瓦礫にひび?
 何て考えてる暇は--






 イデデ……な、んで俺寝てる? そもどうして傷付きなが? いやいやいやや整理しよ! 俺どうして傷付きながら倒れていたかを!
 の為……は? あわわわわ! ベンジャロボロスさん?
「がはあ……下半身がないことくら、いはしてる、ん。しく、じ、た。あん、なこと、が、あ……」
 あの世逝くのは当然! そもどうして俺達は気付かなかったか何て……落下音? 悲鳴? 考える暇もう無い! 全体見渡しながら俺は逃げる! 申し訳ありません、ベンジャロボロスさん! 俺あんたとのほんの僅かな時間を共に過ごした事生涯忘れません! 俺……うわああ! まただ! ひび割れた所から突然……ひび割れた?
 そう! 銀河連合俺達全員を食らう気なん! から……わああ! から予め島に入った銀河連合は潜んでいてベンジャロボロスさん諸共俺達襲いかかった! 奴等自然現象と同じように見たがいけなかった! 銀河連合……あの蝉は?
 間違いない! あれ--
「先輩! 先輩なんだ!」
「ん? その声……セミ吉? セミ吉・後藤! 生きてい……ワア!」
「先輩! 大丈夫か!」
「わし心配よりも己の心配しろ! 雨予想以上に不確定! 気抜けば……ドワ!」
「ワア! 質量持った雨なんて避ける方難しい! も銀河連合は死なないの?」
「あれだけ高さから? ゆう原理か知らないが奴等の構造は星の中に入る時だけ落下に耐えるように出来てるらしい……もう少し錬金術が発展しないと解らない、んなもの!」
 折角再会なのにどうして俺達には感動させるものない! それ以上食われてゆく建物、公園、生命この目で見るから? 悲しいから? 怒り込み上げるから?
 んなつまらない疑問を考える内に俺達は東地区の港に着い……タ?
「燃えている! 船食われてやがる! あいつら木板や竜骨さえ主食にするの?」
「何船の中なら安全なん? 俺達蝉族短い命を全うする生命よな、先輩?」
「悲しんでいる場合じゃない。一体どれほど生命が死んだのかを数えるよりもどうやってあの雨から切り抜けられるか考えよう!」
 俺今助けようと考えてしま! 何て事! 燃える倉庫もしかすれば有野さんや大原のおっさんが生きているとさえ考えようとするなんて腰砕けだ! 生きている訳--
「何ボケッしてる! さっさ……倉庫から生命出る? あ、れ団子虫族中年?」
「大原おっさん! 生きてたん!」
「も、う死あにそあい、う。大量に火炙あり、さいうれた空気を吸あいすえおあぎ、た。はあはあ」
 俺考える暇もなくおっさん近付く! 火傷……ないど、呼吸少し過剰な気。
「わしの最後の、願あいをかな、いうえてくれ! ア、デスの海へ、わしを、沈あいうめ、て……」
「セミ吉。生き返らせようなん思うな。死んだ生命もう戻らない。俺達蝉族一番わかる事だろ」
「わかってる、先輩。から俺は最後の願いを叶えるべくおっさんを海沈めないと!」
「助力何でもしてやる! だし雨に当たらぬようにお互い神々祈るしかねえ!」
 俺達おっさんの遺体背負い、西アデス海へ飛び立つ!

「はあはあ、つまらなく一生送るものだと思ったのにこんな目に遭うなんてわしらの成虫以降の人生は山と谷が連続してない?」
「はあはあ、そうだ。でもやくおっさんの願いである西アデス海着いた」
 お日様沈み、お月様輝き増す時間。さよなら、大原ダン児。
 おっさん身体は海とぶつかるり、身長より三杯程の飛沫上げた! して後は浮力なのか知らないど、おっさん浮かばせながらどこかへ流してゆく……。
「からわしらはどこへゆくか言わないと」
「アデス県あったよね、この近く」
 あれ? 返事ない。いうか先輩? 消えた?
「ねえ、先輩! 鳴き声高々と出しますから返事し下さい! ねえ先輩!」
 下方を向いても先輩居ない。そもここに一名でおっさんの死体を弔いに来たというに! どこ行ったというです、えっと。誰だろう? かく俺はアデス県向かわないと!
 何だろ? みんな死の悲しみよりもどうして何も知らない何かを悲しいんだろ? 何知らない何かってどんな者なんだろ? いうよりか俺は何を担いで……これは--
「日記帳? おかしい! 俺こんなものを持ってきた覚えない! って俺は--」
 さっきまでおっさん背負った俺がどうして日記帳担げる? それ俺は逃げ遅れた者探す時、倉庫置いたっきり! のに何で俺は日記帳?
 もういい。短い人生だし、信じてみよう? 超常現象やらを一つ二つくらい……。
 して俺は悲しみと解けない謎を心の中に残したままアデス県着く。当初、アデス県へ通行に必要な許可証なくて困った。けど中央が被災者支援に積極的だったお陰で俺は被災者として中入れた。勿論、避難所以外通行は当分無理だった。許可証発行する時間は一の週を切るといえ、時間かかる作業だった。
 から一の年より後が経つ……そろそろ俺は自らの人生に幕を下ろそうしていた。

『羽はもう動かせず、毎日毎日這いずり回って残りの生を全うする。どうやら人生とはつ
まらないものだったのかも知れない。解けない謎についてだが、俺はようやく解った気が
する。日記帳は現在二十冊目。
 その日記帳全てに目を通すのは時間のかかる作業ではあるが、恥ずかしくもあり、楽
しい時間だった。そこからわかったのは一冊目の方だ。一冊目には所々辻褄の合わな
い箇所が多く見られた。ほぼ最初の部分ではあるけど、俺は幼年期に先輩と呼べる者
を一名も持った事がない。それなのにどうゆう訳か俺は幼年期の思い出を書く度に<先
輩>という単語を十以上も使ってある。一体誰なんだ? <先輩>って?
 まあいいか。例えわからなくても俺には<先輩>と呼べる存在が内側にあった。それ
は何であれこの日記帳なのかも知れない。腰砕けだけど。
 とにかく俺はこの日記を出す事で一躍名を上げられるだろう。ただし、書いた本者は
想念の海に旅立ってるが。時間がない、時間がない。家計簿に取り掛からなくては』







 ICイマジナリーセンチュリー百五十八年五月四十四日午後九時十八分二十七秒。

 第四十七話 質量は保存される 完

 第四十八話 大陸移動の予兆 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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